22.レギオンクエスト
もうちょいで第1章が終わります。というか途中から第1章として魂ノ章ってのを付け足しておりました。お気づきだったでしょうか?
「「「「たーだーいーまー……」」」」
みんな揃ってヘトヘトになりながら、教会の中になだれ込んだ。途中でリタイアしたみんなにも話があると連絡して集まってもらったのだ。
「おかえりなさい。討伐成功したみたいね。」
「すまねえ。途中でリタイアしちまって。」
「いやいや気にすんな。結果よければってな。」
「それよりもやる事あるでしょう!やりますよ!」
「クノア。少しは休ませてはくれよ…」
「駄目です。みなさん待っててくれてたんですから!」
うへぇ…そうなんですけどね。
「わかった。みんな、わざわざ待っててくれてありがとう。で、話ってのは戦利品としてボスの魂を2つゲットしたわけなんだが、それを誰がもらうかって話だ。誰か欲しい奴いないかー?」
「「「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」」
あれぇ?誰も欲しがらない?
もっと騒がしくなるのを予想してたんだが。
「あのね、トウキくん。それは私たちには取り込めないんじゃないかしら。」
「………あぁ」
そうじゃん………
あれ、何か今までの努力が灰になった様な気がするぞ……
「いや!誰かしら取り込める!きっと!」
「でないと多分門が開かないですからね。」
みんなに閂の外し方の予想を話す。
「なるほど…確かに誰かしら吸収出来る人がいてもおかしくないか。」
レナもこの推測は正しいと思ってくれているようだ。
「じゃあよ。もう今その魂を出してみて、気に入られた奴のものって事でいいよな。」
「よく考えたらそれ以外にやりようがないか。みんな!すまないが、それでもいいだろうか!」
ガイの言う通りにしても良いか了解を求めたところ、
全員が首肯してくれた。
このユニオンの人、欲が無いのかね。
良い人ばっかりな気がする。
「じゃあ取り出します!恨みっこなしで!」
インベントリにある2つの魂を確認する。
〈破魔の魂〉
とある悪魔を封じる門の守護者の魂。
2つとも同じ物だった。
タップして取り出すと、俺の目の前に現れた2つの魂はいきなり動き出した。
俺たちはそれを目で追うが、
どうも様子がおかしい。
どう見ても進行方向には誰もいない。
いや、いた。というか、あった。
今俺たちのいる場所は教会の中だ。
荒らされ放題の教会内で、俺たち以外に1人だけ傷1つなく立つモノがいた。
女神像。
はじめにそれを見たとき、俺は不気味に感じて逃げるように教会から出た。
あれに取り込まれるのだろうかと思っていたが、どうやら違うようだ。
それに近づく2つの魂は再びゲートキーパーの姿になった。
かなり剣呑な雰囲気で、女神像に向かって歩いていく。
突然、ゲートキーパーの片方が、女神像に向けて剣を振り下ろした。識別してみると、どうやらアインの方らしい。
バラバラに砕けた女神像。その中から何か黒いものが空中に飛び上がった。
それを逃さなかったのがツヴァイ。すぐにそれを串刺しにする。
そいつの姿は、ファンタジーの世界ではありふれた者。
一対の翼が生える紫の身体。
頭部に生える捻れた角。
血のような濁った紅い瞳。
両手足には黒く鋭い爪が生えている。
〈【モルブス】病魔Lv.25〉衰弱→死亡
レベル高!
何でレベル10のゲートキーパーが倒せんの!?
って弱ってたのか。
この教会が廃れたのも、教会内に死体があったのも、
こいつが人を殺していたからなのだろう。
それを誰かが門を開け作って封印していたと。
病魔を倒したゲートキーパーたちは消えた。魂も残っていない。
このためだけのアイテムだったということか。
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〜レギオンクエストクリア!〜
廃教会の大悪魔を倒しました!
封魔の門が解放されました!
メニューに新たなページ:レギオンが追加されました!
ホームエリアに名前を付けられるようになりました!
ホームエリアを開発できるようになりました!
不死系プレイヤー限定の掲示板が解放されました!
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いっぺんに色々来すぎ!
「「「「「「「……うおっしゃああああ!!!」」」」」」」
「掲示板キター!!」
「おまえら早速ホームエリアの名前を考えるんだ!」
「「「「「「「「おうっ!」」」」」」」」
ユニオンの皆さん、人が変わったように狂喜乱舞してますがな。このゲーム、掲示板なかったからね。建ててもすぐに削除されてたらしいし。
「メッセージを見る限りでは、門も解放されたみたいね。」
「そうだな。レギオンってのは……?」
「ヘルプには、地域の単位、と書かれていました。」
「そりゃ名前で分かる。自治体みたいなもんか?」
「多分そうです。役職みたいなのがあるんですよ。」
ギルドの拡大版みたいな感じか。役職ねえ。いったい誰がやるのやら。
俺はもう疲れたし、今日はもうログアウトして、飯食って寝よう。




