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2.キャラメイク

気がつくと俺は、白い部屋の中に立っていた。


『これよりキャラメイクを始めます。よろしいですか?』


あいさつも何もなく、突然流れてくる無機質な声。

何もない部屋の中で1人、少し寂しいような、心細いような気分になりながら、


「はい」


少しかすれた声が出た。思ったより緊張しているようだ。


『それではこれよりいくつか質問をします。あまり深く考えず、思ったまま答えてください。これにより魔物の系統が決まります。自由に選択できないのは、ゲーム内での種族が偏って、生態系が乱れないようにするためです。ご理解下さい。』


そう。

このゲームでは、系統を自分で選べない。

質問の答えを考慮して、各系統がゲーム内でバランスが取れる数になるように決定される。


『1.あなたは友人との交流が多いですか?また、友人との会話、宴会等は好きですか?』


なんかスゲェ俗っぽい質問だな。


「交流は人並みにありますが、好きかと言われれば、それほどではないです。話せる相手が1人いるだけで充分です。」


勝とかね。

本当に毎日毎日話しかけてくれる。

俺はあまりその辺積極的でないのでありがたい。


『2.リーダーシップはある方だと思いますか?また、上司や教師に命令されることを苦に思うことがありますか?あるならば、そう思うことはは多いですか?少ないですか?』


「リーダーシップは無いです。苦に思うことはもちろんあります。が、そう思うことは多く無いです。」


なんで俺敬語使ってんだ…採用面接じゃあるまいし。


しかし、なんとなく質問の意図が分かった気がする。

この2つの質問はどちらも人間関係についてのものだ。

集団の中でもやっていけるかどうかを聞いている。

つまり、これに肯定的な答えを返せば、亜人系になる確率が上がるのではないだろうか。

まあ、リーダーシップというなら群れのボスってことで魔獣系ってこともあるかもしれないが。


その後も質問は続き、6つほど答えたところで最後の質問が来た。



『あなたは考えるより先に体が動くタイプですか?それともよく考えてから行動しますか?この質問の後、系統を確定します。』


「考えてから行動する方ですね。」


結局最後まで敬語のまま、堅苦しい系統決めは終わったのだった。


『それでは系統を発表します』


なんとなく気が引き締まる。

大学の合格発表じゃあるまいし、緊張する必要はないのだが。


『質問の結果、あなたの系統は…




不死系です。』



竜ではなかったか。

まぁそれほど大きなこだわりがあったわけでもないし、いいのだが。


それにしても…不死。

種族は自分で決められるようなのだが、他にはどんな種族があるのだろう。

スケルトン、ゾンビがいるのは知っているのだが。




『不死系で選択可能な種族は以下の通りです。選択してください。』


ウインドウが現れる。

書かれていたのは、なんとも微妙なモンスター。


[種族を選んでください。]

・スケルトン

・ゾンビ

・マミー

・レイス


なんかこう…強くなる未来が見えないやつばかりだ。


データを消してやり直す、とかはできないらしいからここから選ぶしかない。


このなかから選ぶなら実質二択だろう。

スケルトンかレイス。

ゾンビとマミーなど、気持ち悪いものの代名詞である。

選ぶ勇気はない。


どちらかといえばスケルトン。

できれば人から遠い姿をしたものの方が良かったのだが、

レイスは実体が無いし、多分魔法しか攻撃手段が無い。

魔法の強さが未知数である現状、どうしても気が引けてしまう。


というわけで、スケルトンを選択。


[スケルトン]

動く人間骨格。普通の骨より多少硬いものの、

打撃攻撃に極めて弱く、殴られたらすぐに折れる。

また、体が軽く、意外に俊敏な動きができるが、その分吹き飛ばされやすい。人間の武器防具を装備できる。

ステータスは平均的で、進化することで特徴が出てくるようになる。

進化で骨格が人間以外のものになることがある。

進化例:スカルソルジャー、スカルマジシャン、スカルシーフ

スケルトンにしますか?[yes/no]



具体的な説明あったのか…

進化先も見せてくれるとは。

しかし思った以上に打たれ弱そうである。

方針変更!他のも見てみることにする。


[ゾンビ]

動く腐乱した人間の死体。

身体から瘴気が漏れ出ており、直接身体に触れた生物は毒に侵される。かなり鈍く、走れば逃げ切れる。

進化によって別の生物の死体になることがある。

力が強く、捕まれば逃れるのは至難である。

進化例:ハイゾンビ、ゾンビラプトル、ウルフゾンビ



[マミー]

動く乾燥した人間の死体。

攻撃方法、素早さの個体差が激しく、強い力を利用した近接攻撃をしてくる者から、呪詛を用いて遠距離攻撃をする者まである。斬撃に弱く、手足を切り落とすのは容易であるが、胴体だけは斬撃ではなく突撃に弱い。

打撃は動きを制限することくらいはできるものの、ダメージはほぼ通らない。

進化例:ハイマミー、リッチ



[レイス]

幽霊。その実態は魔力の塊である。物理攻撃は一切通じない上、魔法抵抗力も高いが、体力が低い。素早さは普段はゾンビ並みだが、魔力を一方向に噴出することで加速が可能。

保有魔力量が非常に高く、魔法をおもな攻撃手段とする。

詠唱は声に出さずに行うため事前に魔法の種類を知ることができないが、身にまとうオーラの色で魔法の属性は判別可能。

進化先:ファイアレイス、フリーズレイス




こうしてみると、意外に他のもいいように見えてきた。

癖はありそうだが、マミーもゾンビもレイスも面白そうである。



「うーん…レイスにしよう」



やはりグロ系はハードルが高い。


『レイスになりました。アバターの外見を設定してください。』


ウインドウに設定画面が表示される。

レイスの外見はただの光の玉であった。

色の変更だけすればいいようだ。真っ白な光を、紫がかった光に変更する。

不死系、というからには、暗めの色の光でもう少し怪しい雰囲気を出したかったのだ。

完了ボタンを押す。



『アバターの設定を完了しました。プレイヤーネームを入力してください。』




そうだな…本名の唐木幸也から、苗字を読み替えて、

「『トウキ』で。」



『キャラクターの仮登録が完了しました。これよりチュートリアルを始めます。』










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