17.おや?トウキの様子が……?
進化回です。
今日は更新2回です。
むう。きっつい。
あの斬撃飛ばしてくるやつはくらっちゃいけないやつだな。
多分誰がくらっても即死だろう。
さすがにあれを何度も使ってくることはしないだろう。
モーションだいぶ長かったし。
最初の一撃だけしか使ってこないか、切り札的攻撃だと思う。
てかそうじゃなきゃ攻略は無理。
よし、キリもいいし、デスペナ中だし、飯にしよう
レナに識別後のデータと、さっきの斬撃について、あと昼飯で一度ログアウトするとメールしておく。
さて、今できるのは協力してくれるプレイヤーを1人でも多く見つけることだ。
パーティーメンバー以外だと俺のフレンドはガイとレイナだけだ。
ガイはパーティーメンバー全員がフレンドになってるからみんなに任せるとして、クノアには連絡を入れてみよう。
クノアにボスを発見したので、協力者を集めて欲しいという旨をメールで送る。
待っている間、ステータスの確認でもしておこう。
プレイヤー名:〈トウキ〉
系統:〈不死系〉
種族:レイス
【特性】
〈霊体〉〈無音詠唱〉
【種族スキル】
〈魔素噴射Lv.13(↑2)〉〈幻影Lv.9(↑1)〉
【通常スキル】
〈風魔法:剣戟Lv.15(↑2)〉〈識別Lv.15(↑3)〉〈隠密Lv.15(↑2)〉
うは、めっちゃ上がってる。
識別とか何これ。
あれか。門番識別したからか。移動中にも結構使ったしな。
そして、遂にですよ。
通常スキルが軒並みレベル15になって、なんと〈隠密〉と〈識別〉が進化できるようになったのだ。
〈識別〉はひとつしか進化先がないのでささっと進化させる。〈識別・改〉になった。
〈識別・改〉AS
魔物の名前、レベル、状態を見ることができる。
状態が何なのかは分からない。ボスに挑む前の移動中に確認しよう。
〈隠密〉の方の選択肢は2つ。
〈隠密・改〉か〈魔力遮断〉だ。
〈隠密・改〉でもいいのだが、そろそろ斥候の役目はコウに完全移行してもいいだろう。
〈魔力遮断〉にしよう。〈幻影〉と併用すれば、ノイのように魔力察知を持つ相手にも見破られることがなくなるだろう。
〈魔力遮断〉AS
魔力察知系のスキルやトラップに引っかかりにくくなる。
スキルの進化が終わったとき、何やら騒がしい集団がこちらに近づいてきていることに気づいた。
先頭には昨日見たふよふよ浮いたした緑の玉。
クノアだった。
「やほーい。トウキさん。私を含めて18人。協力させていただきまーす!」
「おお。助かる。まさか3パーティーも来てくれるとはな。」
「多かったかな?」
「いや、ボスについては後で面子が揃ってから説明するが、あれは8パーティーくらいあってようやくまともに戦えるってくらいのレベルだ。さらに多くてもいい。」
「おお……まじすか。もうちょっと探してこようか?」
「いや、あとは俺のパーティーメンバーがフレンドに声かけるらしいから、大丈夫だと思う。それぞれ役割と、魂を幾つ取り込んだか教えてもらっていいか?魂の種類は言わなくていいが。」
と聞いたのだが、全員魂の種類を教えてくれた。
クノアの周りにはいい人が多いようだ。
軍師が2人、忍者が2人、司祭が3人、剣士が4人、拳士が3人、衛士が4人だった。魂の数は、2個と3個が半々くらいだった。
「各パーティーに衛士と司祭が1人はいるんだな。良かった。この2職は多ければ多い方がいいからな。」
「で、私たち衛士と司祭以外はどうすればいいんだい?」
姉御っぽい口調のマミーが口を開いた。
「あんたは、剣士だったか。今回の相手は甲冑を着た巨大な門番だ。あまり斬撃は効果がないかもしれないから、1点を集中攻撃して足を崩せないかやってみようと思っている。
あと、おそらく今回のメイン火力はレイスと拳士持ちになると思う。ガンガン攻めていいが、レイスの司祭持ちは、攻撃より回復優先で頼む。詳しい作戦とかはうちの軍師がやると思うから、軍師の人で意見がある人はレナってスケルトンに行ってくれ。……っと、来たか。速いな。」
レナたちが到着したようだ。
「ただいま……ごめんねトウキくん。」
「もう1時間以上経ってんだ。しょげすぎだよ。俺はもう気にしてないから。」
「ん?何どういうこと?」
クノアが聞いてきた。そりゃそうだよな。俺がデスペナで動けないのに、他のパーティーメンバーは動けてるんだから。
「あー、識別するために俺だけボスに特攻してきたんだ。パーティーのみんなは歩いて帰ってきたわけ。もちろん合意の上だったし、報酬もあるから、別にいじめられてるわけじゃないぞ。」
「無茶するねえ。」
「俺もそう思う。あ、そうそう【剣士】取ってきてくれた?」
「もちろんよ。でないとさすがに申し訳ないもの。はい。」
レナが魂をインベントリから出す。
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剣士:ディーがプレイヤー:トウキを気に入ったようです。
トウキが魂を取り込むことを承認しますか?
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レナが承認を押す。
これで、5個目の魂が俺と一体化した。
だがこれだけでは終わらなかった。
魂の秘密を先んじて知り、ネームドをいちはやく狩ったトウキたちのパーティーは、スキルレベルこそ他のパーティーより低いものの、魂の保有量では不死系プレイヤーたちの中で一番であった。ゆえに、この先に何が起こるかなど、誰も知らなかったのだ。
俺のアバターである真っ黒な球体がぐにゃりと歪んだかと思えば、頭が生えた。目や鼻はない。口だけはある。別に頬まで裂けているなんてことはなく、普通の人間の口だ。次に手が伸び、足が……膝あたりまで生えた。膝下は透明だ。身体を覆う真っ白なフード付きのローブが現れ、頭にフードが被せられる。このフードをとることはできないようだ。
最終的に、白のローブをきた足のない黒いマネキンが浮いている、といった姿になった。
なんだかすごい変化だったが、不思議と気持ち悪くなるようなことはなかった。
「「「「「「「「「………」」」」」」」」」
みなさんなんか喋ってください……俺だって困ってるんです……
こういう時は我らが軍師、レナさんに頼ろう。
「あの……レナさん?」
「……こ、これでボスも勝てるわね!!さあいきまし」
「落ち着け。」
「これは現実だよ。」
「現実から目を逸らさないでください。」
「真面目キャラ崩れちゃうよ。」
上からタカアキ、ナツキ、キキョウ、コウである。
コウ、我らが軍師は素で真面目ですよ。
今は錯乱してるだけで。
「……そうね。見苦しいところを見せたわ。」
みなさんアバターしか見てないからそこそこ落ち着けてますけどね。
さらに問題なのはステータスなんですよね。
進化しとるがな。
これは……アバターが変化しただけ、で誤魔化せるわけないよなぁ。聞かれるよなぁ。根掘り葉掘り。
次は6時にまた。




