表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/69

16.ボス怖い

強敵出現です。

ライガーを倒した後、俺たちはさらに森の奥に進んでみることにした。

まだそれほど戦闘をこなした訳ではないが、この辺りのモンスターでもある程度余裕をもって戦えていたので、様子を見に行くくらいなら大丈夫だろうというレナの判断だ。

そして戦闘をしつつホームの南に進むこと30分。


「一向に景色が変わる気配がないぞ…」

「スケルトンだから身体は疲れないけど精神的に疲れたよ…」

「ここまで何も変わらないとねぇ…」

「うーん…あ!」

レナが突然走り出した。


「なんかあったか!?」

それを追いかけて俺たちが見たのは、

「嘘でしょう…」

上の見えないほどに高くそびえ立つ崖だった。


「これは…つまり、出口を崖に沿って歩いて見つけなきゃいけないということか。」

「ここは多分ホームの真南だよな。出口が見つかるまで歩いて、大体の方角を覚えといたほうが良さそうだ。でないともう一度来るには時間がかかり過ぎる。」

「もう!急ぐわよ!こんな退屈な探索行早く終わらせましょう!」

レナさんお怒りです。

やっぱ退屈ですよね。

いくら度重なる戦闘でスキルレベルが上がったとはいえ。


「いや、ここで待ってて。俺とコウで左右にひとっ走りしてくるわ。」

「やっと忍者の本領発揮だね!戦闘でも索敵でも、言うほど忍者っぽくなくてつまんなかったんだよ!」

そう言うが早いか、崖の向かって右側、つまり西へ全速力で駆けて行ってしまった。

そんなにですか…十分活躍してたでしょうに。

「…はぁ、行ってきまーす。」

俺も〈魔素噴射〉で加速して、壁に沿って進む。


途中でライガーとかヴァイパーとかいたけど無視だ。

〈隠密〉のおかげで気づかれずに通り過ぎることができた。こういうのはコウのほうが得意だろうな。案外速く出口を見つけてくれるかもしれない、と思っていると、狙っていた様なタイミングでコウからボイスチャットがかかってきた。


「出口発見!ただし!超おっかないボスがいる!」

「生きてんだろうなおい…とりあえずみんなが待ってるところに戻るぞ。死ぬなよマジで。」

「大丈夫!襲われる範囲に入る前に撤退してる!」

「わかった。俺もすぐ行く。」


15分後、みんなのもとに到着した。

コウからもたらされた情報は、出口は巨大な門によって塞がれており、そこを門番である巨大な甲冑騎士が2体で守っているというものだった。


「そいつらが最初のボスってことだな。」

「サービス開始1週間でようやく発見かあ。まあこの壁伝いに進むのは、コウとトウキじゃなきゃこんなに速くおわんなかっただろうしね。」

「ホームの南南西ってとこか?どうする?方角がわかったから一旦戻って他のパーティー連れてくるか?」

「…いえ、挑戦してみましょう。」

「えぇ!いくら僕たちでもさすがにあれはユニオンくまないとむりだよ!?」

「ああ。俺たちよりも強いパーティーに協力してもらうべきだろう。」

「いえ、みんなには申し訳ないけど死に戻り前提よ。ボスの攻撃パターンを把握して戻った方が次の攻略で確実性が上がるでしょう?」


なるほど、デスペナルティは4時間の活動停止。

幸いメニューは開けるので、その間にフレンドに連絡を取れば次の攻略メンバーを集めることができる。

何も活動できないのは痛いが、仕方ない。


「…うし、いくかぁ。」


玉砕覚悟ではあるが、それでも本気でやらないと何の情報も得られないまま全滅、何てこともあり得る。気を引き締めていこう。




歩くのが遅いキキョウやタカアキのスピードに合わせて歩くこと20分ほど。

左側にあった崖が途切れた。どうやら2つの崖に挟まれるようにして、奥へ進む道となっている様だ。


「ここには霧が入ってこないから奥がよく見える。入ったらもう門が見えるはずだよ。」


コウの言った通り、すぐに門が見えてきた。黒く塗られたそれは、崖ほどではないにしろ相当の高さがある。閂は淡く光を放っていて、俺の風の武器のように、魔力だけで構成されている代物だとわかる。

まるで聖なる魔力でなにかを封印しているかの様だ。

まあ、あくまで想像だが。

しかし、遠目でもものすごい威圧感である。

門の両脇には白い甲冑が2体いて、こちらの様子を見ているようだ。

そのまま門に近づく。


ここまで、遠目だったせいで縮尺がよくわからなかったのだが、近づいてようやく、甲冑たちが俺らの2倍以上の大きさであると気づいた。古代ローマで使われていたような兜の隙間からは肌が見えず、こちらを見降ろす、紅く光る目以外はただ真っ黒な空間があるだけ。

中に何か入っているようには見えない。

それでも単体でさえ、キマイラが可愛く見えてしまうほどの迫力があった。



「ねえ…これラスボスの間違いじゃないよねぇ……」


「何で最初のボスがレイド級なのよ……」


「レナ、これはさすがに無理だ。様子を見るにもタンクが後5人はいる。引き返そう。俺たちなんか潰すのに5分もかかんねえぞ多分。」


「…そうね。ていうかコウ。先に大きさは伝えておいてほしかったわ……」


「僕だってこんなに近づいてないもん。わかんないよ。怖いじゃん?寄りたくないじゃん?」


それに関しては全力で同意する。

これに1人で突っ込むのは馬鹿しかできない!


「…トウキくん、せめて識別だけでもできないかなー、なんて……」

今コウが言ってたこと聞いてたよね!?

怖いよ!?1人で近寄りたくないよ!?


「お願い!お礼に帰り道に魂とってきて、【剣士】と交換してもらうから!それあげるから!」

「今の口ぶりだとその帰り道に俺はいない気がしたんですが!?」

「トウキ…」

なんだよう、タカアキ、お前まで賛成するんじゃ……

「あれには隠密は聞かない気がするぞ。」

うわぁぁぁん!!そうじゃねえんだよ!!止めろよ!

「トウキくん、お願いします。」

「「諦めな。」」

キキョウ、ナツキ、コウまでも!?

「……デスペナ中は動けないんだから、俺のとこまで渡しに来いよ……」


「ありがとう!逝ってらっしゃい!」

軍師ェ……


「逝ってきます……くぅっ!」


もうヤケだし。

一応〈隠密〉は使って〈魔素噴射〉最大で門に接近する。



門の手前は円形の広場になっていた。

戦うためのスペースはあるんだな。

あ、なんか広場に入った瞬間、センサーみたいなのに引っかかった…

門番さん達思いっきりこっち見てます…もういいや、〈隠密〉切ろう。

もうちょっとで識別できるんだけど、もうちょっとで門番達が動き出しそうです。

識別可能になった!どうだ!


〈【アイン】ゲートキーパーLv.10〉


〈【ツヴァイ】ゲートキーパーLv.10〉


よし!いろいろ突っ込みたいけど撤退だ!

もう奴らは動いている!

でもそんなに足は速くないと思いたい!


え……

剣を振りかぶってー

地面に叩きつけてー

衝撃波ー。


なにそれ速い。

当然のごとく霊体は機能せず。

魔法攻撃らしい。

真っ白な光に呑まれ、全身ジリジリと焼けるような感覚。


次に目に入ったのは、俺の墓だった。


今回もステータスは割愛。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ