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儲け話と戦闘準備


 現実の世界へと戻る。


 軽く食事を済ませた俺は、召喚士についての掲示板に魔石生成、採掘、錬成により自作の魔石を作成。それを(もち)いて呼び出した召喚獣の親密度が10上がった事を書き込んだ。


 ケンヤ(いわ)く、親密度を0から1にする作業で挫折する召喚士が大半だったらしく、今のダリアの様子からしても10から始めれば、たとえ人型でなくとも相当コミュニケーションが取りやすくなるとの事だ。


 これで召喚士の総人口が増えればな――と

淡い期待を抱きつつ、掲示板を閉じた。



 Frontierフロンティア Worldワールドに再度ログインすると、ワンテンポ遅れてダリアがベッドの上に現れた。


 アイテムボックスにある自作の魔石は減っていなかったことから、一度召喚していれば何らかの理由で召喚獣が消えない限り、常に召喚され続けるのかもしれない。


 俺がログアウトしている間、彼女がどんな場所に待機しているのは不明だが……。


「じゃー寝ますかね」


 このゲーム、睡眠欲だけは満たす事ができる。現実世界では簡素なベッドに寝そべる俺だが、ゲーム世界ではキングサイズのベッドに横になっている。


 少しだけ得した気分になるな。と、ベッドの感触を確かめつつ独りごちた。


 ベッドの上に寝転ぶと、ダリアは少し離れた所で小さく丸まっている。


 ――親密度12だからこの距離感なのだろうか。




 時刻は午後5時10分。


 目を覚ますと、晴れ渡る空が青から赤に変わっていた。まだまだ寝足りない気分だが、レベル不足が否めないので、ダリアを起こしてフィールドに向かおうと思う。


「おーい。おきろー」


 揺すられている事に気がついたのか、のそのそと起き出すダリア。

 ともあれ、幼女と同じベッドで寝るのは誤解を生みそうだな……。


 ダリアが定位置(かたぐるま)によじ登った所で、早速フィールドに足を進めた。


 外は相変わらずの賑わいを見せている。プレイヤーの数もピークを過ぎたのか、やや落ち着いたように見える。早い人は、もう次の町にたどり着いてるのかもしれないな。


「お。兄ちゃん、可愛い子連れてるな! 妹さんか?」


 露店を開いている強面の男がダリアを見ながら言う。プレイヤーネームは、オルとある。


「いえ、俺の召喚獣ですよ」


「召喚獣? へぇー、獣ってくらいだから、犬とか鳥みたいな動物だけかと思ってたぜ」


 一般的なイメージは犬や鳥がそれっぽい。が、ここFrontierフロンティア Worldワールドではアンドロイドや天使といった幅広い召喚獣を使役できるようになっている。


「ここは武器屋ですか? 」


「おう。まだ鉱石が流れてないからガラクタみたいな物しか作れないが、見習いシリーズよりは性能はいいはずだ」


 鉱石か、鉱石ねぇ。


 店頭に並ぶ武器に鑑定を使い性能を見と、確かに見習いの剣や杖よりも性能がいい事がわかる。しかし、彼が言うように、金属でできた装備は並んでいない。


「ともあれ、金欠なんですよね、俺。素材とかの買い取りをして頂けたりは?」


「してるぞ。値段はまぁ物によりけりだが、ナットラットとかの素材は捨てるほどあるから金にならないな」


 供給量が多すぎて需要が下がってるのか。ナットラットの素材を使って、何かできないものか。


 俺はアイテムボックスに残っていた鉱石をオルさんに渡し、買い取りをしてもらう事にする。


「こりゃあ……銅や鉄の鉱石じゃねえか。流石にインゴットは滅多に出回らないが、これでも十分装備に使える。これは?」


「採掘してた時に手に入れた物です。買い取って頂けますか?」


 オルさんは少し考えながら、メニュー画面を呼び出し何かを計算しだした。

 そして換金の計算が終わったのか、トレードの申請が飛んできた。


 表示された金額は、銅鉱石250G、鉄鉱石 300G。


「いいんですか? こんなに頂いて」


「ちょっと色を付けさせてもらったが、鉱石とはいえ出回りが少ない。採取職(ギャザラー)が増えれば価格は落ちるが、現状、生産職(クラフター)にとっては必需品だ。問題ないよ」


 ならばと、遠慮なく頂くことにした。締めて1050Gの収入により、食事で失った所持金(サイフ)が潤う。


 何かを期待したのか、ダリアがぐしゃりと髪を握ってくるのがわかった。


 金があれば飯が食えるのを理解してるのか?


 だとしたら相当賢いぞ。


「ありがとうございます」


「それはそうと、何か買っていかないか?」


 これからの戦闘スタイルは、魔法系統のダリアに合わせて近接戦闘にしようと決めている。得物は剣が理想だが、この店に良質な剣は置いていない――やはり金属製の物が理想だな。


「でしたら……また鉱石を採ってくるので、それで俺に片手の剣を作ってくれませんか? 材料費は俺が持ちます」


「片手剣か。ボロの剣しか無い俺の店には必要な商品だな。一度作ればレシピができるし、材料負担となれば……乗った! 任せておけ!」


 腕が鳴るぜ、と、やる気満々なオルさんにフレンド申請を送り、今後の予定を簡単に組み立てる。


 鉱石を掘るには東ナット洞窟に行かねばならない。東ナット洞窟に行けるようになるには、それなりにダリアと息を合わせて戦えるようにならなければいけない。まあこの辺りはダリアの戦闘力に期待かな。




 北ナット林道は名前の通り、幅広な道の両脇に背丈ほどある林が生い茂っていた。先を行くプレイヤー達は林から現れた虫のようなモンスターと戦っている。


 まず初めに、ステータス画面からダリアのステータスを引っ張り出す。彼女は『召喚獣』の括りであるから、俺のステータスと共に確認する事ができるようだ。



名前 ダリア

Lv 1

種族 魔族

筋力__20

耐久__20

敏捷__20

器用__20

魔力__35


召喚者 ダイキ

親密度 13/100


技能(スキル)


【火属性魔法 Lv.1】【闇属性魔法 Lv.1】【魔法強化 Lv.1】【魔力回復 Lv.1】【オーバーマジック Lv.1】



 まず2つの属性魔法が要だろう。回復魔法が無いのはどうにかカバーするとして、オーバーマジックってなんだ?



【オーバーマジック Lv.1】#Active

次に与える魔法攻撃の威力を微量上昇する。消費MPは元々の二倍となる。



 なんというか、難ありのスキルだな。


 恐らくレベルが高くなるにつれ効果が上がっていくタイプのスキルだろうとは思うが、育つまでが大変だな。Activeアクティブとあるから、任意で発動できるんだろうけど……。


 魔力回復のスキルでどれだけ消費量を抑えられるかだな。


 ともあれ、なんとなくダリアの方は戦闘スタイルが決まりそうだ。というより、ルーレットでも出たように彼女は攻撃魔法型だという事がわかる。

 彼女の技能(スキル)は、俺の手で消す事も増やす事もできないから、レベルアップによって覚えたりするのかもしれない。


 問題は俺の方だよな。



名前 ダイキ

Lv 3

種族 人族

職業 召喚士

筋力__7

耐久__10

敏捷__10

器用__20

魔力__14


残り21ポイント


技能(スキル)


【召喚魔法 Lv.1】【調教術 Lv.1】【火属性魔法 Lv.1】【魔石生成 Lv.3】【採掘術 Lv2】【錬成術 Lv.3】


残り4枠



 ダリアが後方から安心して攻撃できるようにするには、前衛として敵の的にならないといけない。となると攻撃の要である武器系技能(スキル)は是非とっておきたい。


 大盾術技能(スキル)もあれば便利だが、耐久のステータスに大きく振る程、ポイントが余っていない俺はケンヤ(盾役)のような安定感に欠ける。


「悩むな。どれを取っても付け焼き刃になりそうだ」


 剣術技能(スキル)を取るにしてもライラさんのような火力は望めない。が、うちの攻撃役(ダメージディーラー)は魔力特化のダリアだから、俺にそこまでの火力は必要ない。


「はは……茨の道になりそうだ」


 意を決し、俺は余っていたボーナスポイントと技能(スキル)枠に手を付けた。

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