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イベントの終わり

 

 会社の屋上にて、俺は紋所を見せつけるようにメール画面を二人に出した。



【第三回運営イベント結果】10/10/8:00


おめでとうございます。


あなたは《大戦争イベント》の総合獲得Pランキングにおいて優秀な成績を収めました。順位に応じて報酬が授与されます。


ランキング四位報酬


報酬1:称号『王国軍四位』

報酬2:記念トロフィー

報酬3:唯一装備取得券

報酬4:騎士のマント



【記念トロフィー】#イベント上位報酬


第三回イベントの上位10名限定で贈られるトロフィー。煌びやかで軽い金属で作られており、部屋に飾ることができる。


分類:置物



【唯一装備取得券】#イベント参加報酬


性能は低いが特別にデザインされた装備。初個体撃破報酬も含まれており、全250種から好きなものを選択し取得できる。


分類:消費アイテム



【騎士のマント】#イベント参加報酬


王宮騎士装備と合わせてオシャレなマント。大きく王国の紋様が描かれている。好みの色に変更可能、長さも調整可能。交換不可。


分類:防具



 それを見た謙也は「ははぁー!」と、深々と頭を下げた。椿はつまらなそうに腕組みをしている。


「両親に会いに行くって言ってた時は何をそんな悠長にって思ったけど、真名解放かぁ」


「お、詳しいな」


 真名解放を椿が知っている事に驚きだった。

 椿はバツの悪そうな顔で目線を逸らす。


「……妙な縁から聞いた話よ。それより部長ちゃんの両親にはもう会ったの?」


 会いに行くよね? いつなの?

 と、ぐいぐいくる椿。


「あー悪いけど特別な理由がない限りは俺だけで会おうと思ってる。なんというか、俺にとっても大事な行事だからさ」


 悪いな。と、俺は頭を下げる。


 すると椿は「そ、そだよね」と申し訳なさそうに後退り、それを見ていた謙也が「察し悪いなー」と茶化している。


 人手がどうしても足りなかったトラップタワーは例外としても、ストーリーだってなるべく自分だけで進めたいと思ってる。


 なぜならナルハ達と俺の物語だから。

 それはダリア達の真名解放にも言える事。


 うちは最高でも三桁順位だったしなと愚痴る謙也は、改めて俺のメール画面を見直した。


「しっかし王国全体で四位とはお見それいたしました。工夫や運で勝ち取ってた第一回や第二回とは違って、今回はガチで実力だもんな」


「失敬な。全部ガチだ」


 感心する謙也にチョップ。

 といっても謙也の言うことにも一理ある。


 今回は軍師ベリルや特効属性を持つ青吉、そして完全蜃気楼(フルミラージュ)やアルデの固有技・魔王術と、積み重ねてきたものが実ったようなイベントだったな。


 それに――


「それに報告はまだあるんだよ」


 言いながら俺は二通目(・・・)を開いた。



【サービス1周年記念エキシビジョンマッチ参加のお願い】10/10/8:00


拝啓 ダイキ様


この度は第三回イベントのご参加ありがとうございました。貢献ポイントはもちろん、王国軍を勝利に導いた召喚獣軍師の存在。そして他の召喚獣とも深い絆が感じられ、その勇姿に運営一同心を打たれました。


さて、本題になりますが、題名通りサービス一周年のイベントの前夜祭として行われる予定のエキシビジョンマッチに参加していただきたく連絡致しました。


対戦相手にはアメリカサーバーの召喚士プレイヤー『S.JacoB』氏を予定しております。


以前、第二回イベントのトーナメント戦にも参加していただいた方で、対戦風景は《こちら》をご確認くださいませ。


開催日時は2/20 20:00を予定しております。


参加記念品や限定アイテムもご用意しておりますので、ぜひご参加いただければと思います。



 といった内容だった。

 読み終えた謙也と椿が同時に声を上げる。

 

「うわこれマジ? すっげーーじゃん!!」

「一周年の前夜祭に呼ばれるって有名人?」


 Frontier Worldが発売してまだ一年しか経っていないことに驚きだが、それはきっと子供達との出会いや日々の成長が新鮮だからだろう。


 マンネリした毎日を過ごしてた俺にとって、このゲームはもう体の一部のようなもの。その運営の方から直々にメールをいただけたんだ、ぜひ期待に応えたい。


 それにこの対戦相手だ。


 S.JacoB――機人族召喚獣で固めた異質なパーティ(俺も人のことは言えないが)で、当時の紋章最強部隊を蹂躙した凄腕の召喚士。オルさんの店で動画を何回も観たから覚えてる。


 以前の俺達じゃ手も足も出なかったアリスさん達を、一方的に倒したプレイヤーだ。今の俺達がどこまで通用するのか純粋に興味がある。


「……参加するのか?」


 少し心配する様子でそう尋ねる謙也。


「ああ。お祭りみたいなものだしな」


 俺の返答に謙也は「そか。なら頑張れよ」とエールを送る。


 それから三人でゲームの話やスクショの見せ合いなどで盛り上がった後、俺達は各々の仕事場へと戻って行ったのだった。

次回 掲示板で戦争イベント完結です

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― 新着の感想 ―
[一言] 読み物としてのこの対決はすっごい楽しみですが ダイキを支持する読者としては、この機械厨PTが対面して欲しくはないですね。 生きる者を否定するようなスタンスに感じて、それだったら(無いとは…
[良い点] ジェイコブさんとの対決楽しみ
[一言] おお、ついに対決か……勝っても負けてもどうなるのか予想がしにくいなぁ
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