表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
284/304

大戦争イベント最終日⑦

 


 side――???


「っくしゅ」

「風邪?」

「わかんね。なんか寒気が」


 そう言いながら身震いするエミリ。

 既にこの戦争イベントが帝国側の敗戦濃厚なのはスコアを見ても明らかであり、多くのプレイヤーがやる気をなくし駄弁っていた。


 そんな戦場を駆け抜ける――ふたつの影。


「お前がそこまで固執するのも珍しいな」


 竜の戦士 九曜

 戦争屋  ナハト


 帝国軍の用心棒にして最強の刺客。


 二人もまた、凄まじいスコアを出しているダイキの元へと向かっていた。そしてその二人の前に現れた複数の影。


「いま青吉くんが良いところ、です」

「僕の範囲攻撃も通用しなくなったからね!」


 立ち塞がるのは花蓮とOさん。


 ヘルヴォル、ウルティマ、コーラル、風神雷神がズラリと並ぶ花蓮のパーティ。課金額に糸目をつけない廃人プレイヤーのOさんと、ソロ最強の呼び声高い竜の戦士、PvP最強の異名を持つ戦争屋――知名度も実力も日本でトップクラスのプレイヤーだ。


 実力者達の立ち会いに、周りのプレイヤー達は勝敗そっちのけで魅入っていた。


〝ダイキ達も本気出せばあの位強いのかなーと思ったら、最終日がマジで楽しみだよ〟


「(実現せず、か……)」


 2日目にダイキ達と交わした言葉を思い出しながら、ナハトは不敵に笑った。


「よお九曜。気にせず通れ――」


 居合い切りの格好でそう呟くナハト。

 九曜は意外そうな顔で彼を見た。


「どういう風の吹き回し?」


「気まぐれよ。それに花蓮には一度負けてんだ、ここでリベンジしておきてぇ」


 ナハトはそう言いながら、立ち塞がる花蓮とOさんに向け自身が使える最強の(アーツ)を発動させた。



 《侍の極意 居合い観音》



 ギイィィン! 

 という金属音と共に刀が抜き放たれた!



 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 完全蜃気楼(フルミラージュ)を解き、ダイキは辺りを見渡す。眼前に迫っていた膨大な数の帝国兵の多くが倒され、獲得ポイントも凄まじい数値になっていた。


「(ベリルの作戦が本当に上手くハマってる)」


 途中マリー達の参戦などイレギュラーこそあれど、当初ベリルが思い描いていた戦場になっている。


 像の恩恵とナルハの黄金の光に加え、Oさんが設置してくれた魔法陣のお陰で、いつもよりも何割増しかの威力が出ていた。


 MPの回復しだい時間切れまでこのまま青吉に頑張ってもらっても良いな――などと考えるダイキはある事に気付いた。


「あれ、花蓮さんとOさんは……?」


 先ほどまで横にいた二人の姿が無い。


 やられた? 

 いや、二人に限ってそんな事あるか?


 一抹の不安を覚えるダイキ。

 何かに気付いたダリアがある一点を睨んだ。


『来る』


 ダリアの見つめる先――男がいた。


 黒の髪に金色の瞳。

 チェーンソーのような大剣を持つ竜人族。


「約束を果たしに来たぜ!!」


 大戦争イベント最終日にして最大の敵。

 ダイキはアルデに目配せし、再び完全蜃気楼(フルミラージュ)を発動させたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新ありがとうございます。 楽しみすぎて早く次の話が読みたいです。
[良い点] 面白いです。 前話のロリスとマイヤの対比?もよかったです。 この物語は安心して読めるので本当にありがたいです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ