表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
281/304

大戦争イベント最終日⑤

お久しぶりです


再書籍化されます

詳しくは活動報告にて

 

 蘇生し特攻してくるプレイヤー達を範囲攻撃で焼く――一方的な攻撃を可能としているのは、全拠点確保の効果に加え、足元に浮かぶ魔紋の効果が大きい。


「片足入ってれば恩恵あるからね!」


 そう言いながら隕石を降らせるOさん。


 これはOさんのスキル『描く魔法陣』によるものらしいが、効果については本人もよく分からないらしい。ただ、この上にいる限り範囲魔法強化の恩恵が受けられるとのこと。


「残り何分ですか?」

「今ちょうど5分、ですね」


 残り5分――

 

 この数相手に俺達だけでよく耐えている方だ。俺達の仕事は概ね完遂しているが、このまま5分粘れればなおよしといった所か。


『!』


 何かに気付くダリア。 


 視線の先に目を向けると、

 帝国兵達の様子に変化が見られた。


「黒の靄?」


 機械の体から立ち込める靄のようなもの。

 体はガクガクと震え、やがて動きを止める。


 夕焼けの空に何かが映った。


『見よ! これがボクの最高傑作! 〝竜を殺す種族〟として生み出した機人族の力だ!!』


 どこかで見た顔が声高らかに宣言する。

 消えゆく彼の笑い声。


 そして確かな変化が生まれていた。


「ステルベン。やっぱりストーリーが絡んできますね」


 苦虫を噛み潰したような顔で呟く花蓮さん。


 機人族の体に〝何か〟がダブる。

 それはまるで亡霊のような、幻のような姿。


 宙吊りになったそれらが機械の体に吸い込まれると同時に、帝国兵士達が各々武器を取り出した。


 大剣や盾、中には杖を持つ者もいる。

 機人族って魔法が使えないんじゃ……?


 Oさんの魔法が着弾する。


 しかしそれらは帝国兵士達が作った結界や壁によって防がれる。敵の群れに単身飛び込むヘルヴォルが思うように戦えていない。


「明らかに強くなってる」

「それだけじゃない、ですね。本来の力(・・・・)が引き出されてます」


 そう言いながら右手を上げる花蓮さん。上空には風神雷神が陣取っており、それは逆三角形の形に見えた。


「デルタ……」

「フォース!!」


 放たれた三色の光線が帝国兵の群れに突っ込んでゆく。対する帝国兵士は折り重なるように合体し、それは巨大な鋼の盾となった。


 光線がぶつかり――跳ね返る。


「げっ!」

「ぎっ!」


 花蓮さんの手を掠める形で通過した光線は、風神雷神を巻き込みながら後ろの王国プレイヤー達に突っ込んでいった。


「撤退しますか?」


 やばそうですよみたいな顔の花蓮さん。

 風神雷神が消されたことにはノータッチなんだ。

 日頃の行いって大事だなぁ。


 相手は謎の強化で連携を取るようになり、それまでの動きとは全く違う攻撃・武器を扱う。その上Oさんや花蓮さんの範囲魔法をも凌ぐとなれば――


「……」


 俺は反射的にベリルを見た。


 流れ弾でやられたプレイヤー達を見つめ、何かを思う彼女。軍師ベリルの初舞台。俺達が残り時間も耐え抜いて、作戦大成功の完全勝利をあげてやりたかったが――ここまでか。

 


「加勢します!!」



 俺達を包み込む黄金の光。


 不思議と力が漲るその光は、いつかストーリークエストで見たあの光に酷似していた。


「王国の危機は世界の危機ですよね」

「民はわたくしが守ります」


 風に靡くトレードマークのスカーフ。

 金色の髪と意志の強い青色の瞳が揺れる。


 冒険者ナルハ。


 王女マリー。


 こうして、火蓋は切って落とされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 再書籍化おめでとうございます! 更新待ってました!
[一言] 待ってました! 再書籍化おめでとうございます!
2021/08/01 12:35 退会済み
管理
[良い点] 再書籍化おめでとうございます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ