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完全蜃気楼

書き方を変えてみました

かなり短いですが、キリがいいので投下です

 

 場所は変わって砂の町周辺。

 この場所を選んだ理由は簡単で、この完全蜃気楼(フルミラージュ)が周囲にどの程度の影響を及ぼすか分からなかったからである。

 竜属性魔法の竜化に当たる強力なスキルだと俺が勝手に予想しているだけなのだが、もし仮にそれが正しければ、周囲のプレイヤーをも巻き込みかねない。

 そんな理由から、見晴らしのいい砂漠を選んだといった経緯だ。


「まずは誰をベースに発動させるかだが……」

『はい』

『はい! はいはいはーい!』


 横一列に並ぶ召喚獣達を眺めながら、この中で周りに影響を及ぼす可能性が最も低いのは誰かを考える。

 ダリアとベリルは迫力・威力共にパーティ1・2を争うほどであるためダメ。部長とアルデは適任だとは思うが、彼女達には未知数の〝魔王術〟が眠っている。

 となると――


「青吉、使う魔法はウォーターカッターだけ。それと、スキル発動中の体の具合も教えてくれ」

『わかった』


 消去法に近いが、青吉に頼むことにした。

 召喚獣達には事前に〝新しいスキルを試す〟事を伝えている。


「いくぞ、『完全蜃気楼(フルミラージュ)』」


 スキルが発動されたと同時に、ダリアは赤・部長は黄・アルデは緑・ベリルは白の魔石のような姿となり、青吉の中へと入っていく。

 青吉の体が光に包まれ――青吉は別人となっていた。


『おー』

「おお……」


 身長はすでに俺を超え、185程の長身に。

 見た目だけでいえば年齢は二十代後半。青髪はナチュラルマッシュになり、顔付きは非常に端正かつ中性的。色白の肌が更にそれを際立たせる。

 自分の体をまじまじと観察した青吉は、見下ろすような形で俺へと向き直った。

 

『すごいよこれ、力が漲ってくる。それに姉さんたちもちゃんとここにいる』

「なるほど。声が聞こえないって事は、力から意識も全部青吉に集約された形だな」


 完全蜃気楼(フルミラージュ)について理解を深めている俺たちの前に、サンド・デビルが2体現れる。

 レベル的に青吉とどっこいだが――


『邪魔……ウォーターカッター』


 鬱陶しそうに青吉が横一文字に指を切ると、直後、サンド・デビルの体が横にズレていった。

 即死――それも最下級呪文の一撃で2体同時。

 予想はしていたが……しかしこれでは今の青吉がどの程度なのか、全く把握できない。

 仕方ない、場所を変えようか。



*****



 飛龍の巣に着いた俺たちは、襲いくる飛龍をターゲットにして改めてテストを行う。

 飛龍の巣の適正は50前後であるため、青吉にとっては早すぎる狩場。しかしあの威力を見せつけられては、最下級呪文オンリーでも問題ないとさえ思えてくる。


「青吉、次もウォーターカッターだけでやってみてくれ」

『わかった』


 すっかり美青年へと成長を遂げた青吉は、親指と人差し指を立て、銃に見立てて飛龍に狙いを定め『ウォーターカッター』を放った。

 凄まじい速度で着弾したウォーターカッターによって脳天を貫かれた飛龍は、頭からポリゴンの粒子を漏らしながら体を爆散させた。

 はるか格上相手にも最下級呪文で一撃。つまり彼の中に入っていった姉達の力+親密度のボーナスが、今の彼に上乗せされていると考えて良さそうだ。

 単純に考えて、彼1人で1パーティ並みの実力。これが6体目、7体目の召喚獣まで加わったとなればその実力は――恐ろしい。


 青吉は両方の手を銃に見立て、飛び交う飛龍に連続してウォーターカッターを浴びせていく。

 あるものは羽を貫かれ谷底へと落ちてゆき、あるものは体に風穴が空いたままこちらに反撃の炎を吐き、あるものは一撃で事切れていた。

 反撃の炎も青吉にとっては有利な属性であるため、二発目のウォーターカッターによって搔き消す+反撃が決まり絶命。ここいら一帯の飛龍の湧きが追いつかなくなる頃に、俺のMPが悲鳴をあげる。


「っと、そろそろMPがやばいか。青吉ありがとう、一旦町まで戻ろうか」

『ん』


 まだまだ試したい事はあるがはっきり分かった事は、完全蜃気楼が俺たちにとって、現状で最強のスキルになったという事だった。

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