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プロローグ
幼い頃から仲の良かった男女が成長し、思春期にありがちなお互いを意識してしまい距離が空いてしまうという現象が発生するも「やっぱりお前じゃなきゃ駄目だ」「私もあなたが好き」という恥ずかしいやりとりを経てなんだかんだハッピーエンド。になる目前で、男の方が事故で死亡。涙腺崩壊間違いなし、小説はベストセラーに、映画は満員御礼、主題歌も大ヒット間違いなし。
というどこにでも転がっていそうでどこにも転がっていない水野冬馬の人生は、実際には誰も小説にすることなく、当然映画にもならず、地方紙の、隅から隅からまで読まなければ見落としてしまいそうなほどに小さな記事となり幕を下ろす。
それはいい。
後悔もあるし、やり残した事も山ほどある。次回で最終回の単行本も集めている週間漫画の終わり方もすごく気になる。
でも、それもいい。
ただ、泣き虫な彼女が泣き止む事ができるか、それだけがとても心配で、なによりも心残りだった。