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『天照世界(あまてらすせかい)』  作者: 秋雨凌
~神様の名前を名乗る者~
8/12

第八話 《アマテラスオオミカミ》からの挑戦状

 鷹矢はパソコンクラブに帰ってきた。そして自分のノートパソコンを開くなり悲鳴をあげた。

「どうした?」

 崇が近付くとぎょっとした。パソコンゲーム画面には1通のメールが入っていて《アマテラスオオミカミ》からだった。横を見ると咲枝はニヤニヤ笑っていた。

「何かチェス申し込まれてるみたいだな。」

「うん。やっぱり復活したってことかな?どう思う?」

 鷹矢は崇に尋ねる。崇は深刻な表情をしていた。

「どうかした?」

「いや、何で今さら現れたか予想もつかん。鷹矢は《アマテラスオオミカミ》と接点あったか?」

「あの《ノア》の前に1つメールが入ってた。」

 ふーんと言いながら咲枝を見る。そんなことしてたか……道理で《ツクヨミ》のことを知ってたわけだ。

「偽りはないと思う。やってみるだけの価値はあるだろうな。それよりも鷹矢は《アマテラスオオミカミ》と対戦する為にパソコンゲームの世界に入ったんだろうが。」

「冷静だね。」

「いつでも冷静だよ。」

 崇は笑った。そして自分のパソコンゲームを覗いてぎょっとする。《アマテラスオオミカミ》からのメールが入っていて内容がコレだ。



『チェスは容赦しないからね?君ならまだしも彼なら30秒でやっつけちゃうよ?』



「……鷹矢、俺も手伝っていいか?」

「え?いいけど。俺も自信ない。」

 崇は椅子を鷹矢の隣まで持ってきてパソコン画面を覗く。しばらくして咲枝は俺達の後ろにやって来た。

「私も見ていいかな?」

「あ、うん。チェスだよ。」

「お前……自分の事はいいのか?」

 咲枝は微笑んだ。

「こっちの方が興味あるもん。」




 五分後、《ツクヨミ》は見事破れた。

「やっぱ強いなー……。」

 鷹矢は机に伏せていた。後ろで咲枝は笑っていた。

「凄いね。《アマテラスオオミカミ》。」

「うん。」

「……でも……私は彼女のことが嫌いだな。強すぎて誰にも必要とされなくて妬まれるって悲しいもん。」

 崇は咲枝が《アマテラスオオミカミ》と知っているからか本心を聞いたような気がして黙りこんでいた。

「……《アマテラスオオミカミ》と会ったことあるの?」

「え?」

「だって彼女って言ったし……。」

「《アマテラスオオミカミ》って女の神様だからてっきり女の人かと……。」

「え!?そうなの?知らなかったな。」

 鷹矢は笑っていた。崇も頷いていた。

「俺も知らなかった。」

「でもさ。《アマテラスオオミカミ》を探していたから、崇と出会うことができたから。《アマテラスオオミカミ》はほんとに神様だよ。俺をパソコンゲームの世界に導いてくれた神様。」

 咲枝は鷹矢の後ろでハッとして微笑んだ。

「パソコンゲームの世界は様々な人との繋がりがあるんだよ。」

「?そうだね。」

 鷹矢は笑っていた。崇がふーとため息をついた。

「お前さ……全然分かってないだろ。」

「そうだね。くすっ。」

 困惑する鷹矢を他所に崇と咲枝は笑っていた。それはパソコンクラブが終わるまで続いていた。

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