第三話 神の名を名乗る者
《アマテラスオオミカミ》はパソコンゲーム最強のプレイヤー。三年前、《エンジェリックヴァイパー》であった事件をきっかけに全パソコンゲームから消えてしまった。何人かの人達が探したのだが最強のプレイヤーにかなうはずもなく見つけることは出来なかった。
俺は《アマテラスオオミカミ》と肩を並べるようなプレイヤーになりたくて《ツクヨミ》という名のアバターでパソコンゲームの世界に飛び込んだ。
でも《アマテラスオオミカミ》がいなくなったのを知ってからは落ち込んだが、おかげで崇と出会うことが出来た。
だから俺は今でも《アマテラスオオミカミ》は本当に神だと思っている。そんなアバターを作り、俺をパソコンゲームの世界へ導いてくれた神の名を名乗る者と友達になりたかった。そして色んな話をしてみたかった。
「……気をつけるよ。」
そして事件が起こったのは5日後のことだった。
「えぇーっ!?」
朝テレビをつけると《アナザーワールド》がニュースになっていた。
『つまり、《ノア》と名乗るプレイヤーによって引き起こされた…と。』
『はい。再び個人情報が流出し、詐欺など多くなってきています。』
『アカウントが消滅して混乱している方もいますが……。』
『それも《ノア》によって引き起こされたことですね。』
『そうなんですか……。三年前にもこういう事がありましたが……同一人物なのでしょうか?』
『違うと思います。』
ちょっと展開早いな…ヤバい!そう思い、パソコンを開くと、メールが入っていた。知らないアドレスで首を傾げる。内容は
『バーカ。』
だった。迷惑メールか!それは削除してしまおうかと思ったが、パソコンゲーム内で削除が出来なかった。個人情報が流れていないのを確認し、パソコンを閉じる。
そして、一週間後のこと。事件は段々とエスカレートしてきた。
「よ。聖夜は今日用事があるってさ。」
「そっか。ゲームのことで相談あったからしたかったんだけどな…。」
「……萩原君は?」
咲枝が顔を出してきた。
「今日は用事だって。」
「そう。差し入れ持って来たんだけどな。」
そう言って咲枝は袋を置いた。
「近所からおすそ分けで貰いすぎたの。…ゲームは大丈夫?」
咲枝の問いに2人は頷いた。咲枝は笑ってパソコンクラブを去った。
「一応心配してくれたんだな。びっくり。」
崇の独り言に鷹矢は頷いた。