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『天照世界(あまてらすせかい)』  作者: 秋雨凌
~神様の名前を名乗る者~
2/12

第二話 事件の予兆

 正午。放課後を告げるチャイムが鳴る。それを聞いて鷹矢と崇はすぐにパソコンクラブへ駆け出す。

「ん?二人ともお疲れ~。」

 パソコンクラブには聖夜がいてサンドイッチを食べていた。

「……入学式の準備……。」

「あー……仮病使ってサボった。あ、サンドイッチひとつしかないけど食べる?」

「要らねぇよ!俺と崇は頑張って準備したんだ!聖夜、お前が仮病使ったとは許せーん!」

「うるさい!」

 ドアの方から声がしたのでその方を振り向く。そこには松三浦咲枝がいた。

「廊下まで聞こえたわ!もうちょっと静かにしなさいよ!」

「松三浦さん。サンドイッチ食べる?」

 咲枝は聖夜を凝視した。

「……なに?」

「何でもない。サンドイッチは要らないわ。さっきおにぎり食べたし。」

「ふーん。」

 聖夜はそう言いながらサンドイッチを一気に食べた。


           *


 鷹矢は家に帰ってからテレビをつける。両親は共働きで今日も出張しに外国へ渡っていた。

「あら?お帰りー。」

「……嶋さん……。」

 キッチンには家政婦の嶋さんがいた。

「今日はハンバーグですよ。トマト煮込みです。」

「ありがとうございます。トマト煮込み……大好きなのでとても嬉しいです!」

 そう言いながら席につく。嶋さんは皿を持ってきてご飯からハンバーグを並べた。

「嬉しいわ。……今日もパソコンやるの?」

「んー……宿題を終えたらやるつもりです。」

「そう……。今日ニュースでパソコンゲーム絡みの事件が起こっていたから気を付けてね。」

「……事件?」

 嶋さんは頷いて向かいの席に座る。

「そうなの。110人の個人情報が流出してしまったり……。」

 ふーん……と呟きながらご飯をかきこんだ。


 鷹矢はニュースを見ながら崇に電話をしていた。

『嶋さんのご飯美味しいよな~!』

「崇……。」

『はいはい。そのニュースは昼頃にやっていたんだと。110人ってもう盗めるレベルじゃないからハッカーだと思う。』

 ハッカー……。鷹矢はそう呟く。電話の向こうからそう、と呟くのが聞こえた。

『ちなみに俺らが今やってるゲームだから警戒した方がいい。』


『アナザーワールド』


 それが俺の今やっているゲームだった。三人のパーティで組み、共同戦するゲームだ。クエストによって魔法しか使えなかったり、剣しか通じないモンスターなど出現するので奥が深かった。

「どうやって……。」

『パソコンゲームは会社員や政府の人間も入り浸っているから攻撃ルートとしては格好の餌食だと思う。』

「それは崇の見解?」

『まぁな。』


 実は俺はあるプレイヤーに出会わなかったらゲーマーではなかったかもしれない。《アマテラスオオミカミ》。それを名乗る者はパソコンゲームの中でもゲームを知り尽くしたように最強だった。戦い方もそれぞれで面白く、一瞬でパソコンゲームの世界に惹かれた。神の名を名乗る者は俺が現れる頃にパソコンゲームから消えてしまった。

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