プロローグ
この世界には魔法というものが存在する。しかし詠唱とかそう言うやつは全く必要ない。必要なのは数あるうーむなんと言えばいいのだろう、場所というか力ある塊というか・・・・まあそんなところに自分の力を流し込めば発動するようになっている。
結局のところ必要なのは魔力?と精神力のみである。そして魔法の種類はどの場所に魔力を流し込むかで決まる。
火、氷、雷、風、光、闇。この基本の6属性に、無、治癒、シールドの3属性。そして今のところ魔法は6+3の9属性に分かられている。いや9個の種類の場所しか発見することが出来ていないという言葉のほうが正しいかもしれない。そんな子供でも知っている事をわざわざいうなって?あえてですよ、あえて。
まあみんな知っているようにほぼ全ての生活は魔法によって行われている。だが戦闘において魔法という形で使うことはあまりない。エンチャント。この方法が使われている。
どんなものかみんな知ってると思うがこれは場所にながしこんだ魔力によって得られたエネルギーを自分の体に使うというものだ。そうしたらその使った人間は超人的な力を得ることができる。いや超人的等というレベルではない。例えば反射神経、人間の反射神経の限界0.2秒を軽く超える。0.000000000000000000000000000000000001秒以下で反応することができるようになる。事実上0だ。
さて何故こんな誰でもわかることを説明しているのか。そのために今から話をしようと思う。自分の記憶にあることを他人のことのように話すのはとても違和感のあることだが・・・・・・。それはエイトが故郷に帰る時の話。
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「で、なんであなたはここに乗っているんですか?」
少年なのか少女なのかよくわからない、神しか作れないほどの整った顔を持った金髪の少年が少女に問いかける。
「乗りたかったからだよーーー」
「理由になってない事わかってるよね。」
「うん!」
「はあ、げんきのよろしいことで・・・・・・。」
少年からため息が漏れる。もうこの時点で彼女を車から下ろすことが出来ないことを少年は理解していた。
「大体、皇帝陛下がこんなことしていていいんですか?」
その言葉に少女が頬を膨らます。
「敬語やめてよ!」
「わかったわかった。もう敬語辞めるから。ね。」
少年がその言葉とともに少女の頭を撫でる。少女はとたんに上機嫌になったのか、顔を緩ませる。
こんなのでも歴代で最も優秀な皇帝陛下アンリエッタ皇帝陛下として国民に知られているのだ。
「さっきの質問の答えね。いま私はエイトと同じように地方の視察を目的として、エイトの護衛があることを前提に外出の許可を得ています。だから無断外出でもないし、いざ何か事件が起こったらゲートで戻ったらいいから大丈夫。」
正直どうやってそんなめちゃくちゃな条件をのますことができたのかものすごく気になるところだが
この子にはそんなこと屁でもないだろう。
「何言っても無駄そうだからもう諦めるよ。逆に一緒に来てくれるっていうのは僕個人としては嬉しいしね。」
「え?」
アンリエッタがつい思わずといったような声でほんの少し顔を赤くしている。
「多分ひとりでいることになると思ったけど話し相手がいてくれて嬉しいよ。特にアンリエッタだからね。話題には困らないし。」
「そう・・・・。」
アンリエッタはその言葉に少しだけ落ち込む。ちなみにエイトは鈍感などではない。それどころか逆にこういう事には敏感であった。だからアンリエッタの自分ですら気づいてない気持ちにもなんとなく気づいていた。彼自身も彼女に惹かれているところがある。というよりか自分自身で世界で2番目に大切なものと思っている。しかしそれに応えることはできない。地位の差というものもある。だけどそんなのは理由ではない。一番の理由は・・・・・
「どうしたのいきなりだまりこくっちゃって?」
アンリエッタが僕の顔を覗き込んでくる。
「なんでもないよ。ってかアンリエッタのいるせいで前が見えん。」
「ごめんごめん。」
アンリエッタが元の位置に座る。いきなりこんなことやられるとしんぞうにわるいからやめてほしい。
「そうそうひとつきいていい?」
「うん?そりゃいいけどなに?」
「なんで車なんか使ってるの?いつもはゲートで移動してるのに。だからこそ一緒に来たんだけどさ。」
まあたしかにおかしいと思うだろうね。うーんなんていようか。
「ごめん聞いちゃいけなかった?」
アンリエッタが怪訝な顔をしている。こんなんで疑われても困るしな・・・・。
「いやいやそんな隠すようなことじゃないから。そんな大した理由じゃないよ。ただ・・・・・・。」
そのときだった。車の目の前にいきなり人が現れ強制的に車は止まることとなった。車が壊れるという結果によって。
「久しぶりのカモじゃねえか。おい。」
車がたくさんの人に囲まれる。これは盗賊に襲われてしまったらしい。
「おい。出てこいよ。自分がどんな状況にあるかわかってよな」
「どうするのエイト。これ絶体絶命ってやつだよね。」
なにか楽しそうに聞いてくる。ああ、確かに絶体絶命だ。
「わかった俺が先に出るから。そっちは後から出てきて。」
「おい早く出てこないとこんな車ぶっ壊してしまうぜ!」
この世界じゃエンチャントした人間をこの世のどんな物質でも止めることはできない。車なんて髪よりも柔らかい。
「わかったわかった今出て行くから。」
車の扉が開きエイトの姿が現れた。
「「ホオオォォ」」
それと同時に盗賊たちから声が漏れる。
「ものすごい上玉じゃねえか。」
俺の車を止めた奴がついといったような声を漏らす。はあ。慣れてるっちゃ慣れてるが・・・・
「お前らは男にも欲情するような奴らなのか?信じられないね。」
この言葉に盗賊たちが動揺する。そして俺の車を止めた奴が恐る恐るといったように
「まさか・・・おまえ・・・・男だっていうのか・・・」
俺は初対面のやつに男として見られたことが一回しかない。嘆かわしいことである。
「ああ 男だよ。お前らと変わらない男だよ。」
「おい・・・嘘だろ・・・・その顔で・・・・?」
盗賊たちは心底驚いた顔で俺の顔をアホみたいに見つめている。やっぱいくら慣れてるとはいえ・・・ムカつくなあ。
そのときまた俺の車の扉から人が出てきた。アンリエッタだ。
盗賊が騒ぎ始める
「お、おい」
「あ、あれって・・・」
「「アンリエッタ皇帝陛下!!!!!」」
盗賊たちが見事に声をハモらした。普通この後盗賊たちは目の色を変えてアンリエッタに襲い掛かっていくところだが、この国エスタリーシャではそんなことはありえない。エスタリーシャの皇帝陛下は
政治の法律の作成に関わることができない代わりにすべての最終決定権を持っている。なぜなら・・・
「に、逃げろ!殺される!!!!!」
「う、うわぁぁぁ!!!!!」
「た、たすけてぇぇぇ!!!!」
アンリエッタはエスタリーシャで最高の魔法使い。たった一人で戦略魔法を使うことができる。
「待て待てぇぇ エンチャント『爆神』」
ここでおかしく思う人もいるだろう。普通人は一度に一属性の魔法しか使うことができない。これはみんな知っていることだ。だが稀に同時に2つの属性を使うことが出来る人がいる。こいつらのことをダブルマジックといっている。
あなたたちならこのことのアドバンテージがよくわかるだろう。1属性の魔法より2属性を融合した魔法の方が圧倒的なエネルギーを持っている。エネルギー比率は1:1億。数字じゃあまりわからないと思うから、100対1で無傷で勝利することができるぐらいだ。
これは誇張ではない。逆に小さく見ているぐらいだ。まあそういうものだと考えてくれていい。そしてアンリエッタはフォースマジック。4つの魔法を使うことが出来る。
「ぎゃあァァァァァァァァ」
盗賊たちは散り散りになってにげようとする。全員俺の車より速い速度で走り去っていく。やはり全員
エンチャントしていたらしい。しかし全員ファースト。火と風と闇の融合エンチャント爆神のスピードに勝てるわけがない。はしから順番にどんどん気絶さしていく。
お、なんか俺の車止めた奴が歯向かおとしている。
「こんなんで負けてたまるか!!!!ガ八っ。」
あらら一瞬で負けちゃった。というか勝負になるわけないか。ん?なんか一人こっちに来るぞ?
「どうせやられるくらいならお前一人ぐらい!!!!」
そのまま風のエンチャントをまといながら突っ込んでくる。
「しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええ」
そして思いっきり拳をふりかかって・・・・・
「あれ?」
彼は思いっきりスカした。そしてそのまま俺の横をすごい勢いで通過していった。
「お、お前何しやがった!」
なんとか体の体勢を整えてまたこちらに向かいながら大声で叫んでいる。
「いやそっちが勝手にスカしただけだろ。大体一回目で攻撃できてなかった時点でもうお前終わりだぞ。」
「何ふざけたこと・・・・・・・・・・」
いきなり止まって震え始めた。当たり前だ。逃げてきた本人アンリエッタが現れたんだから。
「これで最後の一人。」
「ひぃぃぃいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!」
さてその間にやることやっておきましょうか。
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結局盗賊たちはゲートの魔法によって首都に送られた。
「どこに行ってたの?」
アンリエッタが聞いてくる。ありゃりゃ気づかれてたみたい。どうやってごまかそうか。
「ちょっと車を直すためにね。一回ゲートの魔法使って戻ってたんだよ。」
ちゃんと車は直している。変に思われることはないだろう。
「ほんとにそうかなぁ?まあいいか。早く乗ろうよ」
アンリエッタが俺の車にまるで自分のもののように乗ってくる。
「おいおい、俺の車だぞ。」
やっぱ頭いいやつだからごまかしきれなかったか・・・・でもそれと同時に優しい奴だからな。
車を走らせる。思いっきりアクセルを踏み込む。けれどエンチャントした時より早くなることはない
昔、それももう忘れられてしまったぐらい昔。人間は自分の出来ることを増やすためにいろんな技術そして科学を生み出した。しかしこの世界の人間は自分自身の能力が万能とも言えるぐらいに発展している。この世界の人間はある一つの発展の最終形態なのかもしれない。
「それで、結局なんでこんなドライブしてるの?」
アンリエッタがつい今思い出したかのように俺に問いかけた。
「なに、あの時言ったように大した理由なんかないんだよ。これからすごく忙しくなるからさ、最後くらいゆっくりしようと思ってさ。」
「ふーーん。」
アンリエッタがまったく信じてないような目で見てくる
「大体そんな大層な理由ないんだから。理由を付けるとしたらこうなるってだけで。ほんとなんとなくだよ。」
「それもそっか。」
「それにさ、こういうのもいいだろ?」
そこでアンリエッタが満面の笑みを浮かべる。
「うん、そうだね。」
車は走っていく。 その盗賊達に襲われたところの近くにひとつの岩があった。そこに綺麗な花が置いてあった。
ここは魔法世界ロード。人間が既存の兵器よりも強くなってしまった世界。
いきなり友達にバレました