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私のもちもの

今回の鍵言葉。「寒い朝」「丸腰兵隊さん」「自分の武器は」

私は何かのお笑いコントの衣装のように迷彩服を着ている。

性別は男性になっていたみたい。

性別が変わった夢を見るのは私の中ではよくある話。男になったからといって所詮は私だ。やはりイケテる人生を送っているわけではない場合が多い。今回は自衛隊さんか何かの武力を使うような部隊で訓練をしているらしい。一列に並んで仲間と点呼をとっている。


「番号!」

リーダーのような人が叫んだ。

間髪いれず私の横が「1」といったのでまねして大声で「2」といってみた。

ところが言った瞬間、仲間やリーダーに殴られる。なんで??

「馬鹿かお前は。1っつったからって横も見ないで2ってよく言えるな」

なにいってんだ。普通そうでしょ。口答えしそうな私の顔を、

リーダーはもう一発殴る。

「私が言っているのは、お前の確認不足がいけないという話だ。

きちんと己が2番目にいることを確認して返事をしろということ。もう一度!番号!!」


私の横がもう一度正面を向いて「1」といった。


こいつはずるいやつだ。最初から1だと思って前だけ向いてやがる。

自分が一番だと信じて疑わない、危ういやつだ。何でこいつの次に私が並んでいるんだ。

でも事実一番だ。まぁとにかく。

私は、横を向いて自分が2番であることを確かめ「2」といってみた。

今度は殴られなかった。


次に一人ずつ武器と防具の確認を始めた。

隣のやつが言っていることをそのまままねしてやろうと思ったが、

なぜか聞き取れなかった。彼は意気揚々と戦場へ旅立ったようだ。

私の番になった。リーダーは私の前に直立不動に立ち言った。


「武器は?」ぶ、ぶきっつったって。私民間人ですし丸腰でしょう。

あ、でも夢だからなんかもってんのかも。

ってポケットを探るが、ガムとミント菓子しかない。

背中を触ったりかばんの中を見たりするが、何にも入っていないんだ。

リーダーはイラついた様子で、「お前本当にノープランだな。もっとよく探せ」

言われてかばんをひっくり返したがごみしか入っていない。

「服も脱げ!」といわれたのであわてて服を脱ぎ裏地までひっくり返して探した。

糸くずに紙くずごみ、携帯電話、カナリア色のメモ帳にペン。ペットボトルに財布。


「武器なんてありませんよ」私はボソボソ言ってみた。

リーダーは「ごみの中もよく見ろ!持っていないわけがない。探せ!!!」

そういって、私がぶちまけたごみの類をひとつずつ開いてみようとしてくれる。

私もそばで一緒にごみをひとつずつ広げてみた。っつーか、今武器っていったろ?

武器ってのはこう、とがってたり何してたりで・・・。


「お前今からどこに行こうと思っているのだ?」どこって・・・。

「お前は明日目が覚める予定なのだろう?」当たり前ですよ。

リーダーは私をまた1発殴った。それから顔を上げろ話を聞けといった。

「才能は道を切り開く武器、金は己を守る防具。

お前は、何の準備もなく明日という戦場へ旅立っているのか??」

何の、って・・・。

「お前は、磁石も持たず行き先もわからず、目的もなく。

守るべきものもなく戦う術も知らずして。

こんな少しの金で命を守って戦場へ赴いているのか、と聞いているのだ。

こんな、こんな粗末な装備で何年も、目的もなくすごしているのか。」


と、言いながら後ろを振り返った。


「そら、もう時間だ。

身体だけを武器にしているといつかは絶対に破滅するぞ。

もういい!そら、行けよ」




背中をけられるように押し出されたら朝が来ていた。

寒い中、私は布団から背中をはみ出したような、

生き倒れの形でうつぶせ寝していた。

これからばたばたと、丸腰で戦場に突っ込んでいく。


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