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本当はナノマシンが

今回の夢の鍵言葉は「イキガミ」「予防接種」「ナノマシン」なんだか面倒な夢だったよ。

予防接種が大嫌いだった幼いころの私。体育館を走り回って捕まえられた迷惑なガキだったのだ。

大柄な保健婦さんに捕まえられて注射を受けさせられた覚えがある。その時の保健婦さんは「あなたのためなのよ静かにしなさい」と言っていた。私はその時「でもその中にナノマシンが」とか言いやがった。


「肺動脈の中でバンっていうって??あなた本当に影響受けやすいのね。

実際今あんたいくつよ?本当に頭おかしいわ」

保健婦さんが大笑いをしていた。

「でもね。もし本当にナノマシンが埋められているとしたら、爆発するのは今じゃあないわよね。」


ん??と首をかしげた私の周囲の風景ががらりと変わっていく。


暖かい光がわたしの周囲を包んでいた。

和やかな笑い声に混ざって咳払いや叫び声が聞こえたりする。テレビの時代劇の大音響や「かんごふさーーーん」と呼ぶ声や。目の前には車椅子の爺さんが坐ってティッシュペーパーに痰を吐いていた。


「まひろさーん おトイレはもう済みましたか??」


先ほどの保健婦さんと同じ顔をした人が近づいてきた。しかし服装が違う。胸元には大きな名札が縫い付けられている様子だが、文字は見えない。彼女は私に異常に顔を近づけて、馴れ馴れしく声をかける。


「おトイレ、いきましょうか。ご飯の前だから混む前に行ったほうがいいわよ。」

私が意思を伝えようとする間もなく、私が坐っている椅子が彼女によって押される。

あぁ私車椅子に乗っているのかしら。


彼女は花がきれいだとか風が冷たくなったとか、私にとってどうでもいいことを喋りつづける。

私は返事もできずにただ座っている。私は畳の上に寝かされてオムツを変えられているようだった。


「まひろさんにとって今日は特別な日だからね。オムツは厚めにしましたよ。キレイな桜を見ながら、ゆったり横になるのがいいのよね。」


そういって私を車いすに乗せて桜の木の下に連れて行った。木の下から見る桜の美しいこと。そして私が寝かされた周囲には、犬の写真とダンナの写真が立ててあった。


「今まで国家の繁栄のために、労働力を提供してくださってありがとうございます。

そして健やかな老後を国家にささげて下さり感謝をしています。

老いてなお、お国のため私達の未来のために尽くしてくださるあなたに敬意を表します。

あなたが受け取る予定だった年金は、国家の借金返済のために使用されます。

では、ご冥福を、お祈りいたします」


ある男性がそう言って、私に向かって両手を合わせた。すると、私を連れてきた保健婦さんがぼそりと小声で言った。


「まぁこの人認知症だから話したってわかんないわよ。

よかったわよね。こういう人は別にイキガミきたって動じないんだし。自分の身の振り方も考えられない人だし医療費もかさむんだから。それにこの人家族いないんでしょ?いなくなったってそんなに影響ないんじゃないの?」


そういったのが聞こえた。


私は驚き、我に返って起き上がろうとしたが、身体が重く起き上がることができない。

周囲の人たちがわたしを見下ろして手を合わせている。


ちょ、ちょっと待ってくれ!!




びっくりしたら目が覚めた。夢でよかったと思った。


年金すら払うことができなくなるかもしれない、混迷した財政状況。

あの大災害に打撃を受けてダウン寸前の経済。ネトウヨがデマを煽り、不安に駆られている私達無知で無責任な大衆。色々なことに不安になるほど、色々な影響を受けちゃうんだろうなぁ。

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