デブは一日にしてならず カネかかってまんがな
今回の鍵言葉「デブ」「うまいこというね」「ミンチ」「雑脂肪」
誰かの無遠慮な指が、私の腹の贅肉をつまんでいる。「餅じゃねぇし」と言おうと思うが声が出ない。
ガムテープか何かでクチをふさがれているようだった。
「最近は本当に、安くなりましたね。質も低下してます。」年配の女性の声だった。
「そうですよね。昔は筋肉の次に高かったのに」若い女性の声もする。
私の贅肉をつまんでいるのは無遠慮なこの二人らしい。何の許可があって、おまえらは人の気にすることを堂々と喋りながら、腹肉なんかつまんじゃってるんだ。私が喋れないのをいいことに、二人は肉を揺らしだした。
「大体、貧乏人のデブってのは本当に始末悪いのよ。だって、デブになるまでの単価自体安いじゃない?」
言ってくれちゃうじゃないの。
「そうですよねぇ。この個体の場合、カレーとチョコレート八割ってとこでしょうね。マジキモですぅ」
若い女が言った。喋り方がいちいち腹が立つ。その後、ペンで何か書いているような音が聞こえる。人の肉質を評価しやがって。まるで精肉屋の枝肉みたい。
年配の女性はなおも遠慮なく喋り続ける。
「そう。全部、安い油。安い油摂取してさらに低レベルの油へ合成。つくづく、最近のデブは安くなったわ。こんな非生産的で無駄なものってないわ。一昔前はこの個体と同じレベルに太るためにはさ、もっといいもの食べなきゃ無理だったのよ。今じゃあ貧乏人ほど太ってるじゃない。これぞ…。」
デブレスパイラルなんていうんじゃないだろうな
「エゴの極み、ってとこですね最低。」
「っつーわけで、はい」私の腹に何か熱いものが押し付けられた。
「Dランクですね。あぁまた無駄な熱量が」
「増えていくわね。困ったものだわ。もう少し自覚出ないものかしら」
その後二人はクチをそろえていった。「ミンチになーれ」
足元からミキサーのような機械音がしてきた。
目が覚めた時には本当に冷や汗ものだったよ。
ミンチになってないか確かめたもん。




