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楽しい時は徒に

作者: 高梨 ユキ❅

駄作すみません。良ろしければコメントをお願いします。

4歳と11歳。


「お兄ちゃん肩車して」

「おぅ!それぇ。」

「キャキャ。もっかい」

「良ぉし」

「キャッキャッ」

「こんなことが楽しいのかよ」

「お兄ちゃんだからぁ」

「たく」


仲むつまじい兄妹。

毎日のようにこの会話が繰り返されていたが・・・

そんな楽しい日々は徒に過ぎ


「肩車してやろっか?」

「ヤダよもうそんなガキじゃないもん」

「可愛くねぇな。

 ちょっと前まで喜んでたのに」

「何年前の話それ!

 あたしもう中学生になるんだよ?」

「そうだったな」

「だったら、ガキ相手みたく言わないでよ」

「へいへい」


母が混ざってくる


「なんか寂しそうね」

「別に」

「可愛がってたもんね。

 本当2年生までいつも甘えてもらえてたし」

「ちょっと大人なったからってカッコつけやがって」

「酷い何ソレ!」

「本当のことだろが。つい4年前のことだぞ甘えてたの」

「だからそれはガキだったの」

「今もまだガキの癖に」

「うるさいっ!」


母は片付けながら呆れる


「やめなさい。

 どうしてそんなに喧嘩ばかりするの」

「全部お兄ちゃん。

 あたし何も悪くない」

「梨華!」

「だって…」


妹、梨華。

小2までは本当に甘えていた。

兄が好きでたまらなく。なのに…


ある日兄は、風邪をこじらせた。そして肺炎。

大学受験を控え…毎日受験勉強に勤しんでいた兄は

風邪を放置。

肺炎にまで、こじらせてしまった。


「バカお兄ちゃん!

 学校と身体とどっちが大事なの」

「うっせぇな。

 学校に決まってんだろ」

「本当バカ!?

 身体に決まってんじゃん」

「心配してんのかよ」

「当たり前じゃん。兄妹だもん」

「バカみてぇ」

「あ。ひどっ!おかあさぁん」

「心配してくれてんじゃないの。酷い」

「なんでも良いけど梨華

 オレのそばに寄るな。

 知ってんだろ?オレの病気。移るぜ?母さんも」


寂しそうに何も言えない母。

梨華を連れ、部屋を出る


「お兄ちゃんもあなたが好きなの。

 あなたには特に移したくないのよ

 だから寄るなって」


梨華も、なんだかんだで少し寂しそうだ。


「お兄ちゃんのバカ。

 お父さんの二の舞なんか踏ませたくないのに肺炎なんて・・・」

「生きてるだけ良いじゃない」

「あれじゃ、そのうちお父さんの二の舞だよ」


父は、昨年肺を患い他界

喫煙家だった。


「お兄ちゃんなら大丈夫」

「当分はね」

「バカとか言っちゃダメよ?

 お兄ちゃん、元気ないんだから」

「けど」

「ダメなものはダメ」


つまんなそうな梨華。


「はぁい」


兄の薬は梨華がうるさいくらいに管理した。

手術も受けさせた。

それのおかげもあってか兄は奇跡の回復。

喜ぶ母と梨華。


「…肩車して」

「こないだヤダって言ったろが」

「良いからして」


久しぶりに、梨華を肩車する兄。


「重っ!」


梨華は兄の両肩を叩く。


「あぁ酷いっ!やっぱ

すぐ下ろして!」

「ワガママだなたく。

 やれと言ったり下ろせと言ったり」

「うるさい!」


母はまた呆れる。


「いつも喧嘩はやめなさいって言ってるでしょ

 どうして仲良く出来ないの」


兄妹は、突然笑いながらハモる。


「喧嘩するほど、仲が良いっての。」


母は笑顔で夕食にする。


梨華の兄との1番好きだった遊び・・・「肩車」・・・


兄の回復を喜び望んだが、自ら望んだのはこの時が最後だった。

梨華は、態度とは裏腹に少し大人になっても兄が好きであることに変わりなかった。


兄妹の幸せは続く。

最後までお読みいただきありがとうございました

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