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【完結済】ミラディナは恋することをやめた   作者: 米野雪子


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10/17

友人の訪問




「ミラディナ嬢~‼︎ 来たよ~!」


「ようこそ、ウルドレット皇子殿下。長旅お疲れ様です。

 お疲れではないですか?」


「全然大丈夫!久しぶりだねっ♪

 ごめんね、領地まで押しかけてきて」


「いいえ。私もお会いしたかったので嬉しいです。

 私こそ、ご挨拶もせずに急に休学してしまい、申し訳ありませんでした」


「そんなの気にしないで。君の都合だもの。 

 でも、顔色もいいし表情も明るくなったね。元気そうで良かった」


「ええ、お陰様で。こちらでは、のんびりさせて頂いてます」


「うん、休むべきだよ。君、本当頑張りすぎだもん」


「ありがとうございます。…話しにくければ、ナイト語に切り替えますか?」


「ううん。日常会話は基本こっちのサンレッド語でいいよ。

 正確さが必要な勉強の時だけいい」


「わかりましたわ。皇子殿下は勉強家ですわね」


「俺の母国語ペラペラの君には負けるよ」



王族らしくない気取らない皇子は、学院でも人気があった。

まだ成長期なのか、身長は私より少し大きい位で男性としては少し低い。


明るくて人好きする彼の雰囲気は、自然と周りに人が集まる。

浅黒い肌に青い瞳、白っぽい銀髪の外見もエチゾチックで魅力的。

言語が堪能で意思の疎通が容易なら、

彼はもっと女生徒達の注目の的になっていただろう。




* * * * * * *




「ブラッド参りました。お呼びでしょうか、国王妃殿下」


「これは何だ?ブラッド」



バシッと報告書と嘆願書を

ブラッド王太子の顔面へ乱暴に投げつける。



「……っ…これは?」


「読んでみろ」


「………………」


「事実か?何か申し開きがあるがあるのなら、言ってみるがいい」


「ありません。事実です…」


「すべて真実か?」


「はい…」


「お前は何を考えて、こんな恥知らずな行いをした?」


「申し訳ありません。…自分でも…わかりません…」


「愚か者が…好いた女が初めて出来て、のぼせ上がったか?

 聞けば相手の令嬢は、平民上がりの男爵位とか…

 このザマでは、他国の諜報員の色仕掛けに簡単に籠絡されるぞ?

 歴代で初めての間抜けな国王になる気か?」


「返す、言葉もございません…」


「幸いなことに、筆頭王太子妃候補が辞退したのは、秘匿にされている」


「はい…」


「今年度の単位を全て取得し、その後エヴァーグリーン本家領地へ赴け。

 そして、ミラディナ公爵令嬢に再び妃候補に戻るよう説得し、

 連れ戻してこい。さすれば不問にする」


「は……え?あの…」


「あの令嬢が戻れば、辞退を希望している妃候補達も統制され大人しくなる。

 これ以上お前の愚かな行いで、王家の威厳を落とすような真似は許さん。

 勿論、この男爵令嬢とも二度と接触するな!」


「で、ですが…」


「王妃!無理を言うな!もう辞退は受理されている。

 それに、公爵令嬢本人とエヴァーグリーン当主の希望なのだ。

 一度反故した事を王家の権力でねじ曲げて不信を煽るな。

 賠償の慰謝料の支払いも、両者で了承済みなのだ」 


「慰謝料などいくらでも支払って構いませんわ。それだけの事をしたのです。

 提訴して軋轢を生まずに済んで、むしろ安いもの。

 そして、権力など使いません。ただし本人の気が変われば別問題。

 お前が誠心誠意、公爵令嬢に向き合い謝罪して、そして口説き落とし、

 王太子妃候補に戻りたくなるようにすればいい」


「やめんか。向こうは相応の理由がなければ、大事な娘に面会などさせん」


「理由など、どうとでもなる。できるな?ブラッド。いや、やれ。

 でなければ、第二王子ウィルアルドに継承権を移行するやもしれんぞ?」


「…そん、なっ…………はい、…善処します。王妃殿下」



苛烈な王妃の鋭い眼光に射殺されそうになりながら、

震える腕を抑え惨めな思いで、肯定するしかない王太子殿下だった。




* * * * * * *




「あ~助かった!やっと理解できたよ。これで残りの単位取れる!」


「皇子殿下の理解力が高いからですわ」


「君の教え方が上手いんだよ。本当にありがとう。助かった!」


「お役に立てて良かったです。妃教育が報われましたわ…」


「…あのさ、話変わるけど、いいの?あの王太子ほっといて」


「え?ブラッド殿下ですか?」


「うん。君のこと探し回ってたよ?」


「もう、関係ありませんから…」


「君、筆頭妃候補だろ?」


「……あ……え~と…なんと言いますか……

 多分知られるのは時間の問題なので、お教えしますが、

 内密にお願いできますか?」


「う、うん」


「王太子妃候補を辞退しましたの。

 色々影響を考えて、まだ表向きは秘匿にしてますが」


「えっ‼︎ ほんと?え…あいつそんな事何も言ってなかっ……

 ああ、そうか。何か様子がおかしかったのは、なるほどね‼︎

 まあ、でも良かったじゃん‼︎」


「ふふっ。同意していただけるのですね」


「あんな優柔不断の浮気者に、君みたいな才媛は勿体ないよ。

 王妃になっても、あいつの体裁の為に優秀な君が使い潰される

 未来しか見えないし。…誰にでもいい顔してさ…

 一番守らなきゃいけない人をほっといて………俺、あいつ嫌いだ」


「まあ、ふふふっ、言い過ぎですわ…」


「いいよ、これぐらい。みんな思ってる事だ。

 じゃあさ、ミラディナ嬢は、これからどうするの?」


「まだ、特には決めてませんわ。

 領地経営を学びながら、少しゆっくり考えようと思っています」


「ふ~ん……じゃあ提案、しがらみが無くなったのなら俺の国おいでよ!」


「えっ…」


「俺もこれで単位取得して休学できるし。それに俺の国見てみたいでしょ?」


「そ、それは…興味はございますわ」


「卒業パーティーまでに、こっち戻って来ればいい。

 もし、気に入ったなら俺の国で暮らすのもいいと思うよ?

 うちの国の盛んな繊維産業とか、君の商会は喉から手が出るくらい

 欲しいはずだろ?で、言語が堪能な君が貿易の窓口になればいい。

 選択肢は多ければ多い程いいでしょ?」


「あらあら…困りましたわ…大変魅力的な提案ですわね」


「悪い話じゃないと思うけどなぁ~♪」


「考えておきます…ふふっ」


「断らないってことは、了承だね!急いで単位取って準備しなきゃ!」


「あの一つだけ、来月辺境のお祭りに招待されてますの。

 それ以降で、よろしいですか?」


「うん!俺も一時帰国する準備もあるし、3ヶ月後位にする?

 君も、ここの領地でゆっくりしたいでしょ?

 親族に了承も取らないといけないだろうし。

 お互い手紙やり取りして決めよう!」


「分かりました。楽しみにしております」



そうだった。

私はもう自由なのだ。


ウルドレット皇子は、その後領地観光等で5泊して、

領地を見学して存分に楽しんだ後、学院で単位を取るため王都へ帰って行った。


彼の明るさのお陰で、何だか心が軽くなった気がする。

それに、先の楽しみも作ってくれた。


私は隣国に行く前に、ある程度の情報を学んで下調べをしておこうと、

本家の図書室で隣国の本をワクワクしながら読み漁った。 





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