獄卒達への供養
フィクションの童話です
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とある村のとある白髪の老婆が語ったお噺
地獄には、この世で極悪事を働いた人間達の魂が詰め込まれているのじゃ
この世を去ったあと、閻魔大王様の前に連れていかれてそして裁かれてのう
地獄行きの沙汰を下された者は、執行官によって容赦なく地獄に投げ込まれるのじゃ
罪深いものほどその魂は重く、その重みにより地獄の奥深くまで沈んでいってしまうのじゃよ
実は、地獄に落ちるのは自らの罪の重さからなのじゃなぁ
だから、罪のない者達ほどあの世では魂も軽くて高く高く天に昇るわけじゃよ
地獄にはのう、見るだけで泣きわめいてしまいそうな、それはそれは恐ろしい姿をした大きな獄卒達がおっての、地獄に落とされた者達を容赦なく痛めつけるのじゃ
でも実はなぁ、獄卒達は面白がって痛めつけているのではないのじゃ
閻魔大王様からの命令で、地獄へ落ちた者達が、生前どれだけ極悪事を働いて、周りを苦しめてきたかを身をもって解らせ、反省させ、罪滅ぼしをしたいとの慈悲心を目覚めさせて、一日も早く許されて地獄から出て行って貰えるようにするために、痛めつけるのじゃ
だからのう、獄卒達も命令とは言え、こんなことをすることに胸を痛めておるのじゃ
この村では昔からその獄卒達を供養するための法要があるのじゃ
それはのう・・・
1月16日と7月16日の地獄の釜の蓋が開く日には、おにぎりを供えるのじゃよ
盂蘭盆会と言っての、ご先祖様がこの世に帰ってくるのじゃが、もちろん地獄に落ちている者達は出ることができない
そうなると、獄卒達も気が抜けないので、せめてこの日ぐらいは労をねぎらうために、おにぎりを供えるのじゃ
だから、おにぎりは地獄に落ちた者達に対しての布施ではなく、地獄で胸を痛めて働いている獄卒達のためなのじゃ
この世で、おにぎりを供えると、あの世ではそのおにぎりが、ご飯でできたそれはそれは大きな山の上を転がって地獄まで落ちて行くそうじゃ
そしてのう、その転がる間におにぎりは周りのご飯をくっつけてどんどん大きくなっていくそうじゃ
それはそれは大きな体をした獄卒達じゃろ?なので、おにぎりも大きいのがいるのじゃよ
そして深い所にいる獄卒達ほど大きなおにぎりが手に入ると言うことじゃ
獄卒達はそれを受け取ると釜の蓋の開いた地獄から天を見上げて、涙を流して感謝するそうじゃ
ところが、獄卒達はそれを食べないのじゃよ
その大きなおにぎりを小さく分けて、地獄に落ちた者達に与えていくのじゃ
日ごろは獄卒達の痛めつけに嘆き苦しむ地獄の者達への獄卒達の慈悲心からじゃ
獄卒達がおにぎりを受け取った時に涙を流したのは、この哀れな地獄に落ちた者達にも供養ができる感謝からだったのじゃ
獄卒達は、地獄へ落ちた者達が悔やみ、心を改め、一日も早く解脱してほしいと日々願っておるのじゃよ
だからのう、今を生きる者達は、地獄へ落ちて自分が苦しむだけでなく獄卒達を苦しめないように善業を積み上げて毎日を暮らすことが大切なんじゃよ




