第七話
「彼女とは通っている塾が一緒でね。」
吉尾は嫌そうに話す。
「あの女は勉強よりも男が好きなマセた中学生として悪名が轟いてたんスよ。いろんな人とヤッてて、それで塾生達から嫌われちゃって。最後は、あの問題の先生との件がバレたのが決定打で、辞めたって噂が立つ位には。」
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彼の話を折る勢いで部室のドアが開く。
「フフフフ、話は聞かせてもらったぞ。これを利用しない手は無いな。」
藤堂部長が悪の帝王の様な出立ちで現れる。
「へぇ、この案件に一枚噛んで見るのも面白そうだな。」
隣の七瀬副部長も悪役の秘書みたいに見えてきた。
「とりあえず件の葉山氏の知人何人かリサーチするか。他の部員にも協力願いを出しましょう。」
俺は先輩御三方と比べ、ややドライに言った。とは言っても心の中は誰よりもノリノリだ。
「黒い噂ってのが本当な事ってあるんだね〜。」
「我那覇さんみたいな人でも、他人に引く事ってあるんだ。」
我那覇と黛が写真のコピーを何枚か机の上にドサっと置いた。どれもこれもあまりよろしく無い物ばかりで、とてもじゃないが県内の名門校に通っている一年生がやるとは思えない。
彼女の素行に引いているが、我那覇と黛も自分達の調査力にもドン引きした方が良い、普通の人は多分そこまで他人にそこまで興味を持たないだろうから。
「へぇ、だからか。」
俺はある2枚の写真を見て抗争の理由が分かった。1枚はバスケ部のエース 伊坂と手を繋いで一緒に私服で映画館に入る様子を撮った写真、もう一枚はサッカー部のキャプテン 矢島と同じ様な私服で遊園地に入る様子を撮った写真だ。
「要は2股って事だよね。どっちも学校の中じゃ腫れ物に近い存在ってのが、彼女の男の見る目の無さが露呈しているよね。」
黛が毒を吐く。
「酷い事を言いますね、黛先輩って。」
西垣がツインテールをぴょこぴょこと振って分かりやすく怒る。
「アハハ、西垣って頭柔らかくないんだな。こういうゴシップをどこまでも追及するブン屋の特性を理解出来てないとはな。」
七瀬副部長がせせら笑う。
「ブン屋も何もお前達はまだ未成年のガキだろうが。」
遅れて入ってきた影山先生が舌打ちをして部室に入った。
「話がある、もちろんお前ら全員にな。」
彼女は頭を掻きむしって面倒くさそうに言った。
俺は波乱に巻き込まれる事をこれで察知した。




