第六話
数日経ち、3年の先輩方と1年の交流もある程度出来始めた。俺含め全員、燻っていた頃が嘘みたいに元気に振る舞っている。
「なあ、知ってるか?雪村。」
「どうした?鬼塚先輩。」
鬼塚先輩はニヤニヤと俺に聞く。
「ほら、バスケ部とサッカー部の喧嘩だよ!アレについて取り上げようぜ。」
「あー、あの抗争ですか。所詮チンカス同士なんだからヤンキー漫画みたいな派手な事にはならないでしょ。」
サッカー部とバスケ部は今、1年のとある美少女をマネージャーとして獲得する為にステゴロの喧嘩をしているのだ。どちらかのスポーツで勝負するのでは無いというのが実にカスだ。どちらにもスポーツマンシップという考えが欠落しているのは明白だ。
「野球部とか剣道部を見習って欲しいですよね。校庭だけじゃなくて廊下だとかトイレとかでもやるから否が応でも巻き込まれちゃって大変。」
吉尾がウンウンと相槌をうちながら割り込んできた。
「あんまり話割り込むなよ。びっくりするじゃないか。」
俺は彼に呆れながら注意する。彼は噂好きかつ口が軽い事を最近知ったので、こういう時に後輩としての可愛げが全て無くなる嫌な後輩だ。
「まあ良いじゃねえか、雪村。吉尾、お前に聞きたい事があるんだが、1年の美少女について何か知ってるか?」
鬼塚先輩が口に人差し指を当てて俺に注意し、同じ1年だから事情を知っている可能性がある彼に聞く。
「えっと、葉山さんの事ですか?」
「おっ、知ってんのか!」
予想通りの結果に先輩は心を躍らせる。
「写真、見ます?」
「ああ、気になるからな。」
俺がそう返事すると彼はおもむろに携帯を取り出し、俺達に写真を見せる。そこにはアイドルみたいな端正な顔立ちの少女が映っていた。
「まっ、同じクラスなんで。アレは悪女っすよ。」
「悪女?どういう事なんだ。」
"葉山"という人物に対して、彼は嫌悪感があるらしく、苦虫を噛んだ様な表情で彼女を評した。
「彼女はゲスですよ。物に例えるなら猛毒の毒林檎。」
彼は椅子に座り、話し始めた。




