第五話
自己紹介の流れに戸惑いつつも俺は不器用なりに気合いを入れて臨んだ。
「名前とクラスだけでいいから気抜いていいぞ。」
影山先生は溜息をついて、一年生達に言った。
「1年E組の不破 穂花です。」
俺に感謝を伝えた女子が最初に自己紹介をした。意外だ。
「よろしくね、穂花ちゃん!」
我那覇は距離を縮めようと早速、名前呼びを始めた。俺には到底真似できない芸当を当たり前の様にするのは生粋のコミュ強だ。
「次、俺ですかね…。」
ドレッドヘアーのチャラ男は意外にも恥ずかしそうに顎を掻く。
「案外、恥ずかしいな…俺の名前は毛利 隆次っス、自分も不破さんと同じE組っスね。」
コミュニティに入る緊張なのか、入学式から続く疲労なのか分からないが彼は気怠げに自己紹介をした。
「私が喋るタイミングがやっと来た!私は西垣 栞です!これからよろしくお願いします!」
抹茶色のツインテールを短縄みたくぴょんぴょんと回しながら元気よく挨拶して来た。
そのキャラ付けは後々苦労するぞ…後輩よ。
続いてさっき我那覇に女子に間違われた男子が徐に挙手をした。
「僕の名前は天城 大吾、1年B組出席番号2番。ここに入ろうと思った動機は部活の中で一番楽そうだと思ったからです。」
「えらい正直だな…3年の先輩達には絶対に言うなよ、天城君。」
彼のいい加減な動機に黛は心配した。確かに3年の先輩達が彼の理由を聞いたらヤバい…特に七瀬副部長は鬼の様な形相になるだろうなぁ。
「オレは吉尾 信幸。1年C組、んでもってコイツの幼馴染です。」
そう言ってオールバックの彼は隣に座っている天城君を指差した。天城君は嫌そうに掌の上に頭を置いた。それだけで彼も相当面倒くさい奴という事を俺は察した。
「僕が大トリなの…嫌だなぁ。」
「こんなんで緊張すんなよ。すぐ終わるぜ?」
吉尾君は馴れ馴れしく緊張している長髪サラサラメカクレの彼に腕を組む。
「わかったよ、吉尾君。ぼ、僕の名前は1年F組の相馬 純平です、お見知り置きを。」
「お見知り置きなんて言葉、先輩に使うなよ。嫌でも互いに覚えるモンなんだから。」
「そうですよね、へへへ。」
俺はテンパっている相馬君に対して少々嫌な発言をしてしまった。
こんなに個性豊かな後輩達に囲まれるのを想像したら、俺は自然と胃腸が痛くなった。




