プロローグ
青春ものです!
俺は雪村 達也。この星峯高校に通う2年生だ。県内屈指の進学校に通ってはいるが、これまでの17年間、可もなく不可もなく生きてきた平凡な男だ。ウチの学校は部活動が盛んな事が有名で、運動部・文化部共に数が豊富だ。どれも同じくらい人気と言いたい所だが、案外そうでもなく学内トップクラスの知名度と人気を誇る野球部・剣道部と俺が所属している新聞部とはどうやっても埋められない雲泥の差がある。名門として県内どころか全国に名を轟かしている2つと比べ、新聞部は学内で明らかに厄介者として常日頃から煙たがられているのだ。そんな事実に絶望を覚えてしまい、当初あったはずの情熱はどんどん失せて、今では灰の一粒すら残さず消滅してしまった。そして終いには『学内の規律を乱している』なんていう難癖をつけられて生徒会と風紀委員から廃部一歩手前まで追い詰められてしまった。
その証拠に部室として使っている第三社会教室に置かれている世界地図やかつての先輩達が書いたであろう記事には目に見える程の埃がついていた。見ていて、ただただ虚しかった。俺たちの居場所はここまで変貌してしまったのか、と。
「俺達がこの部屋を使わなくなる可能性もあんのか…」
俺は思わず口走ってしまった。
「そんな不吉な事言うなよ、まだ正式に決まった訳じゃないんだし。」
「雪村くん 別所くん。皆がいない間に一緒に掃除しようよ。」
俺の両隣にいる2人も俺と同じタイミングで新聞部に入部した同級生達だ。俺を注意したポッチャリ男は別所 修、俺達に掃除を呼びかけた爽やかイケメンは黛 京介。前者は食事の事以外では部活のマスコット枠的な存在、後者は新聞部であるにもかかわらず、持ち合わせたルックスのお陰で女子達から人気を博している。
「今まさに先輩達や顧問の影山先生は直談判してる真っ最中だってのに呑気だな、黛は。」
「だからこそだよ、雪村くん!もし僕達の要求が通ったとしても、こんな部室じゃあ来る人も来ないからね!」
「それもそうだな、悪かった。」
俺は黛の確かな熱意を感じ取り、先程までの自分が少し情けなく感じた。俺はお詫びとして2人よりも多くのゴミをかき集めた。その甲斐あってか、掃除は予想していた以上にスムーズに進み終わった頃には部屋も自分達の心も晴れやかになった…気がする。
「やっと終わったな。」
「かれこれ30分位は経ってんのに、先生達まだ帰って来ないね。」
「もう少しで来るだろうよ。雪村も黛もそう慌てんな。」
俺達は未だに残っている不安を誤魔化す為に少し雑談をしていた。
「喜べ!存続決定だ!」
その時、顧問の影山先生が勢いよくドアを開けて叫びながら入ってきた。




