恋の残響
第1章 春の気配と、君の残像
午前7時15分。薄曇りの空から、春のにおいがゆっくりと街に降りてくる。山下湊は、いつものように駅のホームに立っていた。けれど、今日も“あの春”のことを思い出してしまう。
3年前の春。彼はまだ大学4年生で、彼女は高校を卒業したばかりだった。出会いは、大学2年の冬。湊がアルバイトで勤めていた塾で、彼女――美羽はまだ高校2年生だった。勉強ができるタイプではなかったが、目が合うたびに照れたように笑うその表情が、妙に印象に残った。
最初はただの生徒だった。でも、ある日ふとした瞬間に、美羽がぽつりと言ったのだ。
「先生、彼女とかいないんですか?」
その声が、やけに近くに感じた。
――それからだった。
夜の講義後、ふたりでファミレスに寄るようになり、ラインでやりとりする時間が増えた。湊が大学の卒業論文に苦しんでいた冬、美羽がコンビニで買ったあったかい缶コーヒーを渡してくれたとき、彼はもう気づいていた。
「この子が、好きだ。」
付き合ったのは、湊が23歳の春。不安もあった。5歳差。学生と社会人。世界の見ている景色が違うことも、わかっていた。それでも、彼女の笑顔ひとつで、すべてが報われる気がした。
でも、幸せな日々は、永遠ではなかった。
彼女が別の誰かを好きになったのは、半年前のことだった。理由を聞いたとき、美羽は泣きながら言った。
「湊くんのことは、すごく好き。でも、なんか、ちがうの。うまく言えないけど……このままじゃ、私、わたしじゃなくなる気がするの」
言葉の意味は、今もよくわからない。ただ、彼女が自分の手の届かないところに行ってしまったことだけは、痛いほど分かった。
駅のホームに、風が吹いた。春一番かもしれない。けれど、湊の心はまだ冬のままだった。
スマホのロック画面には、まだ彼女との思い出の写真がそのままだ。削除できない。消したら、何か大切なものまで消えてしまいそうで。
発車のベルが鳴る。電車のドアが開き、人々が流れ込む。湊は、一歩足を踏み出して、乗り込んだ。
会社へ向かう日常。何も変わらないはずの景色の中で、心の奥には、まだ彼女の影が息づいていた。
第2章 止まった時計と、動き出す街
湊の勤務先は、都内にあるIT企業だった。ビルの10階。天井の低いオフィスには、いつも微かにコーヒーと機械のにおいが漂っている。
午前9時5分。PCを立ち上げ、Slackを確認し、タスク管理ツールを眺める――いつも通りの朝。けれど、ふと隣の席を見ると、新人の女性社員がコーヒーを片手に苦笑いしていた。
「この仕様書、マジで日本語になってないっすよね……」
「まあ、たまにあるよ、設計者の気分で書いてるやつ。」
そう答えると、彼女はくすっと笑った。その笑顔が、どこか美羽に似ていて、湊は一瞬だけ目を逸らした。
“あの子なら、こんなとき何て言っただろう?”
考えるつもりはなかった。それでも、癖のように思い出してしまう。二人で歩いた公園。雨に濡れながら笑った夏祭りの夜。ふいに繋がれた手のぬくもり――
記憶の断片が、不意に胸を締め付ける。
昼休み、湊は社食には行かず、自販機の前のベンチでひとり缶コーヒーを啜った。目の前のビルのガラスに、自分の顔がぼんやり映る。
「……老けたな」
小さく呟いて、思わず笑った。3年前、彼女と出会った頃は、もう少し自信に満ちていた気がする。未来に希望を持てていた。恋に夢中だった。
だけど今は違う。失った恋を引きずり、生活に流され、何となく日々をやり過ごすだけ。まるで、誰かが止めたままの時計の中を歩いているようだった。
その夜、湊は仕事帰りに、大学の友人・恭介と飲みに行った。彼は既に結婚していて、2歳になる娘がいる。
「お前、まだ引きずってんの?美羽ちゃんのこと。」
「……うん。っていうか、思い出さない日はないな。」
「ま、わかるけどさ。そろそろ前見た方がいいぞ。過去ってのは、見てる間は未来が遠ざかるだけだからさ」
恭介は、氷が溶けかけたハイボールを一気に飲み干してから、真顔で続けた。
「お前、ほんとに変わったよ。前はもっとバカだったじゃん。前向きで、うざいくらいに。」
「それ、褒めてる?」
「褒めてるよ。そろそろ、お前の時計、動かせよ」
その言葉が、思ったより深く、心に刺さった。
帰りの電車、車窓に映る自分を見ながら、湊はそっとスマホの写真フォルダを開いた。彼女と撮った最後の写真。笑っている美羽と、それを見つめる自分。
しばらく眺めたあと、湊は初めてその写真を削除した。
「……ありがとう、美羽」
電車の窓の外、街の灯りが少しだけ、優しく揺れていた。
第3章 風が変わる音
三月の終わり。街には春を知らせる風が本格的に吹き始めていた。
湊の部署では人事異動の季節を迎えていた。慌ただしい中、ふとした一言が社内にざわめきを生んだ。
「来月から、うちに新しいチームリーダーが来るらしいよ。外部からの中途採用で、しかも元デザイン系のベンチャー出身だってさ」
湊はその話を、軽く聞き流していた。誰が来たって、特に変わらない。仕事は淡々と進めていく。ただそれだけだ。
でも、その考えは、数日後に覆されることになる。
四月一日。会議室に新しいリーダーが現れた。
「今日からUXチームを担当します、三宅奈央です。デザインとユーザー体験周りを、もう少し技術サイドと近づけていきたいと思っています。よろしくお願いします」
その人は、少しだけ緊張したような笑顔を浮かべていた。年齢は、湊と同じか、もしくは少し上かもしれない。声は落ち着いていて、言葉に芯があった。
会議のあと、湊は偶然、給湯室で奈央と二人きりになった。
「山下くんだよね。UI周り、詳しいって聞いた」
「……ああ、まあ、多少は」
「じゃあ、今度レビュー一緒に見てくれる?あなたの視点、ちょっと借りてみたいな」
「はい、分かりました」
それだけの会話だった。なのに、会議室に戻る途中、ふと美羽の声が重なって聞こえた気がした。
“先生、頼りにしてもいい?”
あの頃、美羽はよくそう言った。そして自分は、応えたくて、認められたくて、夢中で努力していた。
湊はその日、久しぶりに仕事に対して、少しだけ前のめりになった自分に気づいた。
数日後。湊と奈央は、小さなミーティングルームでUIのデザインレビューをしていた。
「このボタンの配置、視線の流れ的に少し不自然に見えるかもね」
「……あ、それ思ってました。でも言えなかった」
奈央は笑った。
「思ってたなら、言っていいよ。現場の違和感って、デザイナーには分からないこと多いから」
会話のテンポは心地よく、彼女の言葉には一切の壁がなかった。初対面のはずなのに、なぜか話していて息が詰まらなかった。
“美羽とは、こんなふうに仕事の話をしたことはなかったな”
ふと、そんな比較をしてしまう自分に気づき、湊は心の中で苦笑した。
その帰り道。湊は駅のコンビニで、いつもと違う銘柄の缶コーヒーを手に取った。少しだけ甘いやつ。美羽がよく飲んでいたやつではなく、自分で選んだもの。
自動改札を抜ける風が、少しだけ柔らかく感じた。
止まっていた時計が、ひとつ、針を動かし始めたような気がした。
第4章 戻らない季節
その日の帰り道、春の雨が静かに街を濡らしていた。傘をさすほどでもない霧雨。駅までの道を歩いていると、ポケットのスマホが震えた。
画面に表示された名前に、湊の足が止まった。
美羽
半年ぶりの、着信だった。
驚きと、わずかな期待、そして深い戸惑いが胸を揺らした。何度か呼吸を整えてから、彼は通話ボタンを押した。
「……もしもし?」
「……湊くん、久しぶり」
声は変わっていなかった。あの頃のまま、柔らかくて、どこか少し泣き出しそうな声。
「うん。……久しぶりだな」
「急にごめんね。……ちょっとだけ、話したくなっちゃって」
その言葉に、湊は何も言えなかった。電話の向こうから聞こえる車の音が、ふたりの沈黙をつないでいた。
「……今、時間ある? 駅前のカフェ、まだやってるかな」
店内には、雨音を吸い込んだような静けさが漂っていた。
湊が席に着いて3分後、美羽が現れた。髪が少し短くなっていた。服の雰囲気も、以前より大人びて見えた。
「変わってないね、湊くん。なんか、ホッとする」
「そっちは……少し大人になった気がする」
美羽は笑った。でもその笑顔は、どこか遠かった。
二人は、昔話を少しだけした。塾のこと、大学のこと、些細な思い出。だけど、どれも表面的な会話だった。本当に聞きたかったことは、互いに胸の奥にしまったままだった。
そして、ようやく湊が口を開いた。
「……どうして、連絡くれたの?」
美羽は、少しだけうつむいた。カップの縁を指でなぞりながら、ぽつりと答えた。
「最近ね、ふとしたときに、思い出すの。湊くんといた頃のこと。あの頃、私、すごく甘えてたなって。ちゃんと向き合えてなかったなって」
「後悔、してるってこと?」
「ううん。……してない。でもね、ちゃんと“お別れ”できてなかった気がしたの」
その瞬間、湊の中で何かが静かに崩れた。
彼女は、戻りたいわけじゃなかった。ただ、過去に向き合いたくなっただけ。そして、それを話す相手は、自分しかいなかった――ただ、それだけだったのだ。
「そっか……」
美羽は、まっすぐに湊を見つめた。
「湊くんは、今……誰か好きな人、いる?」
一瞬、奈央の笑顔が頭をよぎった。
「……まだ、わからない。でも、少しずつ前は向けてる気がするよ」
その答えに、美羽は微笑んだ。そして、静かに立ち上がると、鞄を肩にかけた。
「ありがとう。ちゃんと会えてよかった。じゃあね」
その背中を、湊は引き止めなかった。もう一度好きになることも、もう一度戻ることも――できないと分かっていたから。
店を出たあとの空は、さっきより少しだけ明るくなっていた。雨は止んでいた。
湊はスマホを取り出し、美羽の連絡先をそっと非表示にした。それが、“本当の終わり”だと思っていた。
そして、翌週の月曜。会社のエレベーターで偶然一緒になった奈央が、ふと笑った。
「週末、どこか行ってた?ちょっと顔が晴れてる感じする」
湊は少し戸惑いながらも、こう答えた。
「うん。ちょっと、昔に区切りをつけたって感じかな」
「へえ。それって……いいことだね」
エレベーターのドアが開き、ふたりは並んでオフィスへ向かった。新しい朝が、始まっていた。
第5章 好きなのに、もう戻れない
あの夜の再会から、数日が経った。湊の中では、何かが静かに目覚めていた。
美羽の声、しぐさ、微笑み――それらが、思い出の中の彼女ではなく、“いま”の彼女として、心に染み込んできていた。
会ってしまえば、終わると思っていた。でも逆だった。彼女は確かに変わっていた。でもその変化さえも、愛しく感じた。
「……なんで、またこんな気持ちになるんだろうな」
夜の帰り道、湊は独り言のように呟いた。忘れようとした時間も、立ち止まった日々も、意味がなかったかのように、心は再び彼女へ傾きはじめていた。
そして、また美羽に会った。お互いに理由なんてなかった。ただ、「会おうか」という言葉が、自然と交わされた。
その日、美羽は紺色のワンピースを着ていた。高校生の頃にはなかった“静けさ”が彼女に宿っていて、湊は言葉を飲み込んだ。
カフェでコーヒーを飲みながら、ふたりは他愛ない話をした。昔のこと、最近のこと、仕事のこと。でもその合間に、ふとした沈黙が生まれた。
その沈黙の中で、湊は言った。
「……まだ、好きかもしれない。っていうか、たぶん、ちゃんと好きになってる。また」
美羽は、その言葉を真正面から受け止めたようだった。目をそらさず、でも悲しそうに、ゆっくりとこう答えた。
「……私も、そんな気がしてた。湊くんに会って、懐かしいだけじゃなくて……ああ、やっぱり好きだったなって、思った」
湊の心が、大きく揺れた。けれど、その次の言葉が、すべてを止めた。
「でも……戻れない、もう」
「……どうして?」
「私ね、あの頃の“好き”に戻りたくないの。依存してたし、自信もなかったし、湊くんに守ってもらうことで、自分の形を保ってたの。でも今は、ちゃんとひとりで立ってる。湊くんが、今の私を好きになってくれても……私は“あの頃の私”には戻れない。あの頃の関係には、もう戻れないの」
「じゃあ……今の“おれたち”じゃ、ダメなの?」
美羽は、黙ったままコーヒーに口をつけた。その沈黙が、答えだった。
帰り道、ふたりは駅まで歩いた。夜風が頬に冷たくて、言葉がうまく出てこなかった。
別れ際、美羽が言った。
「また連絡するね」
でも、それが“本当にまた会う”という意味ではないことを、湊は分かっていた。
彼女はきっと、彼女の道を歩く。自分は、自分の場所に戻る。
好きという気持ちが確かにあっても、交わる道はもう残されていなかった。
家に帰って、湊はスマホを開き、ラインの履歴を見た。そこには、数日分のやりとりが残っていた。どれも優しくて、どこか遠かった。
湊は、深く息を吸って、そっとスマホを伏せた。
好きだ。今も、ちゃんと。
でも、――もう、戻れない。
その現実が、ゆっくりと胸に沈んでいった。
第6章 幸せのかたち
季節は、春から初夏へと移り変わっていた。雨の匂いに混じる土のにおい、光の強さ、街路樹の緑――それらが、日常を少しずつ色づけていた。
湊の朝は、少し変わった。
目覚ましより早く起きるようになった。通勤電車の中ではスマホばかり見ずに、窓の外の景色をぼんやり眺めるようになった。
それは、何かが“変わった”というより、何かが“ほどけていった”感じだった。
ある土曜日、湊は何の予定もなかった。ふと、駅から10分ほど歩いた場所にある古本屋に足を運んだ。
そこは、大学時代によく通っていた場所だった。気まぐれで入った店内には、相変わらずゆっくりと時間が流れていて、心が落ち着いた。
彼は詩集の棚の前で足を止めた。特に詩を読むタイプではなかったけれど、なぜか今日はその静けさが心地よかった。
1冊、手に取った。何の期待もなくページを開き、偶然目に留まった一節を読んだ。
「愛した人が去ったあとに、何を持っていくか?その人の笑顔でもなく、思い出でもなく。そこに残るのは、自分が愛せたという事実だけ。」
胸の奥が、少しだけ震えた。何かが、少しだけ報われた気がした。
彼はその本を買った。
月曜日、いつものオフィス。奈央と打ち合わせの時間が重なったが、今日は特別な会話はなかった。それでもいいと思えた。
湊は、彼女に恋をしていたわけではなかった。ただ、彼女の前では“自分が素直になれる”ことに、少しだけ救われていた。
そしてそれは、恋愛とはまた違う、大切な感情だと思えた。
その夜、湊はノートを開いた。何年も使っていなかった、小さなメモ帳。そこに、思いつくまま言葉を綴った。
・朝に飲むコーヒーが、少しだけ美味しく感じた・道端の小さな花に気づけた・自分の手を、自分でちゃんと動かしていると思えた・好きだった人を、今でも好きでいられること
書いていて、ふと気づいた。「幸せ」って、手に入れるものじゃなく、気づくものなんだな、と。
失ったからこそ、見えるものがあった。愛したからこそ、今の自分がある。
湊は、静かに笑った。誰に向けるでもない、けれど確かな笑みだった。
その週末。彼はあるカメラを持って、ひとりで公園に出かけた。美羽のためにプレゼントとして買ったカメラだった。いつか美羽と歩いた道を、今は自分の足で歩く。
シャッターを切るたびに、世界の小さな美しさがレンズ越しに浮かび上がる。木漏れ日。子どもの笑い声。小さな風。花の影。
その一つ一つが、彼の心の空白を、静かに埋めていった。
そして湊は思った。
「もう、“誰かといること”だけが幸せじゃないんだな」
自分で歩き、自分で選び、自分で感じる日々。それこそが、彼が今、やっと手に入れた“幸せ”だった。
最終章 風の向こうに、まだ残る光
夏の終わり。
雨上がりの空に、淡い夕陽が差していた。
湊は、社外イベントのスタッフ控室で、奈央と並んで座っていた。
今日のイベントは成功だった。会場の笑い声や拍手が、まだ耳に残っている。
「お疲れさま、山下くん。上手く話せたね。ちゃんと届いてたと思う」
「いやいや。安心感があって助かった。奈央さんの声、落ち着くからさ」
そう言うと、奈央は少しだけ目を伏せて微笑んだ。
その笑顔を見ながら、湊の胸には、微かに“あの頃”の感情が揺れた。
今では、彼女との距離感も心地いい。
無理に踏み込まず、ただ自然に並んでいられる。
だけど、ほんの時折、ふと「もしこの人と出会ったのが、もう少し早ければ」と思ってしまう自分がいた。
けれど、奈央もきっと、それを感じているのだろう。
彼女の眼差しにも、どこか“届かない過去”の影が滲んでいた。
美羽から最後に連絡があったのは、一ヶ月ほど前だった。
「ちゃんと、好きになれそうな人ができた」
短いメッセージだった。
でも、その言葉の中には、迷いや背伸びではなく、静かな決意があった。
湊は「よかったね」と返した。
そう送った指先に、ほんのわずかな震えがあった。
美羽のことを、今でも完全には忘れていない。
あの笑顔、あの声、夏の帰り道――全部、胸の奥でまだ生きている。
でも、それでもいいのだと思えた。
忘れることが前に進むことじゃない。
残したままでも、ちゃんと歩ける。
美羽が別の誰かと笑っていられるなら、それでいい。
あの恋は、たしかに自分を育ててくれたのだから。
イベントが終わった帰り道。
湊と奈央は、駅までの道を並んで歩いた。
とくに会話はなかった。ただ、風の音と、蝉の声が二人のあいだを流れていた。
ふと、湊が言った。
「奈央さんって、過去の誰かを思い出すこと、ある?」
奈央は少しだけ黙ったあと、答えた。
「あるよ。たまに、夢にも出てくる。でも……嫌じゃないの。
その人と過ごした時間って、今の自分を作ってるから」
「……うん。わかるかも」
「たまに思い出すくらいが、ちょうどいいのかもね」
駅の灯りが見えてきたとき、風がふわりと吹いた。過去の記憶を撫でるような、やさしい風だった。
湊はポケットに手を入れながら、ふと空を見上げた。空は澄んでいて、どこか懐かしくて、それでいて新しい。
“きっと、これでよかったんだ”
そう思った。
そう思えたことが、今の彼にとっての“幸せ”だった。
二人は駅の改札で、軽く手を振って別れた。
歩き出した湊の背に、あの夏の光が、まだ少しだけ、優しく残っていた。
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