表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

まぁ、すごい数ね。でも負けないわよ

 真昼(まひる)決闘(けっとう)、という映画(えいが)のタイトルを私は(おも)()していた。()たことはないのだが、(いま)状況(じょうきょう)にピッタリなので。白黒(しろくろ)映画(えいが)西部劇(せいぶげき)というのは、ちょっと私の(この)みに()わない。機会(きかい)があったら恋人(こいびと)と、お(うち)デートで()てもいいかなぁ。それも今日(きょう)()()びてからの(はなし)だ。


(あらわ)れたな、地球(ちきゅう)代表者(だいひょうしゃ)よ。()(まえ)()いたいことがあれば、()いてやるぞ』


 アメリカ(だい)都市(とし)上空(じょうくう)(せん)メートル。青空(あおぞら)(もと)、そこに私と、(やつ)らは()かんで対峙(たいじ)していた。(そら)()ぶクジラみたいな宇宙(うちゅう)(せん)が、(さかな)そのものの(うご)きで(ゆる)やかに()をくねらせながら、何十(なんじゅう)何百(なんびゃく)という単位(たんい)空中(くうちゅう)出現(しゅつげん)(つづ)ける。異空間(いくうかん)からの侵略者(しんりゃくしゃ)で、そいつらの宇宙船から、拡声器(かくせいき)(とお)したような(おど)文句(もんく)(ひび)いてきた。


「それはどうも! じゃあ()うけど、そっちの代表者は()てこないの? こっちは私一人(ひとり)なのに、(こわ)くてクジラの(なか)()きこもったまま? (かお)()せなさいよ、(かお)を!」


 スーパーヒロインである私にマイクは必要(ひつよう)ない。よく(ひび)大声(おおごえ)で、(てき)()かって(あお)ってあげた。ここで私のコスチュームについて説明(せつめい)しておくと、全身(ぜんしん)(あお)のスーツで(つつ)み、背中(せなか)には(あか)のマントを()けている。(じつ)のところ、衣装(いしょう)()まりはなくて、もっと少女(ガーリー)(けい)(ふく)()(たたか)うこともあった。しかし今日のような、大きなバトルの日には、やはり勝負服(しょうぶふく)()るべきだろう。


『……エスカレーター・ガール、大丈夫(だいじょうぶ)? 私は(なに)もできないけど、くれぐれも油断(ゆだん)しないで』


 と、私が(みみ)装着(そうちゃく)している超小型(ちょうこがた)無線機(インカム)から、恋人であるオペレーター(じょう)の声が聞こえた。彼女の職業(しょくぎょう)は、正式(せいしき)名称(めいしょう)はどうでもいいけど地球(ちきゅう)防衛軍(ぼうえいぐん)アメリカ支部(しぶ)(つと)める、作戦(オペ)指揮官(レーター)だ。二十代(なか)ばだから階級(かいきゅう)(した)()なのだけど、そこは私の恋人だからという特別(とくべつ)(あつか)いで、(つね)に私の戦闘(せんとう)後方(こうほう)から(ささ)えるべく基地(きち)から指示(しじ)()してくれている。


大丈夫(だいじょうぶ)大丈夫(だいじょうぶ)貴女(あなた)(あい)がある(かぎ)り、私は()けないから。それより私との()()(そな)えて、よく(やす)んでおいてね」


 からかいを(ふく)めて(つた)えてから、インカムでの送信(そうしん)終了(しゅうりょう)した。送信(そうしん)ボタンを()さない(かぎ)り、こちらの声が彼女に(とど)くことはない。(たたか)いを(つう)じて、断末魔(だんまつま)(さけ)びが()きるかもしれないのだ。私は彼女に、余計(よけい)(こころ)(きず)()わせたくなかった。


 おっと、(つた)(わす)れていたが。そう、『エスカレーター・ガール』というのが私の名前(なまえ)だ。コードネームというわけでもなくて、そもそも私には、これ以外(いがい)の名前がない。奇妙(きみょう)名前(なまえ)由来(ゆらい)については、(のち)ほど(かた)るとしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ