94 梓部長からの事前報告
「やぁやぁ、わざわざ悪いね。 夏休みなのに」
「梓部長。 どうしたんですか、急に」
冬先輩やみんなで海水浴に出かけて数日後。
僕と冬先輩や桐生君、そして桃花さんなど『ゲーム&アニメクラブ』の部員が、部室である第一パソコン室に集合していた。
というのも、昨日に梓先輩から『明日、部室に来て欲しい。 詳細は部室で話すよ』というメールが届いたからだ。
何があったのかと思いつつ、今日の朝に冬先輩と桃花さんと合流し、部室に向かったのだ。
「実はね、我が『ゲーム&アニメクラブ』の過去の出し物をコミケとは別のイベントで売り出すことにしたんだよ」
「コミケとは別の?」
「そう。 夏のコミケは基本お盆に開催されるだろう? だけど、殆どの子たちがお盆は帰省してると思うんだ。 だから、太田財閥が運営するアニメショップが会場となる別のイベントで過去の出し物を売りにだそうと思ってね」
「なるほどー」
「花咲ちゃんのアニメショップ、そんなイベントもやるんだね」
どうやら梓先輩は、本来のコミケとは別のイベントで過去にこの部活で生み出したイラストやゲームなどを売りに出すようだ。
本来の夏のコミックマーケットはお盆にかかる週末に行われる。
多くのサークルなどが様々な出し物やコスプレで賑わっているという。
だが、それだとここに居るメンバーの大半が、帰省してしまう為に、三学年生で話し合った結果、来週に開催される太田先輩の財閥が運営するアニメショップで行われるコミケの小規模版のイベントに参加するというものだった。
個人的にはそれは助かったと言えよう。
何せ、今年のお盆は父さんの実家に帰省するからだ。
例の糞な親戚を来させないようにしたので、安心して帰省していいと言ってくれたのだ。
当然ながら、早紀ちゃん家族も同じ地域なので、そこでも早紀ちゃんと触れ合えるから、それが楽しみなのだ。
冬先輩もそれを理解してくれている。
「それで、過去の出し物ってどんなのですか?」
「過去に作ったゲームと部員が描いてくれたイラストと同人誌。 後はコスプレ衣装だね」
「衣装も作ってたんですか」
「流石だなぁ」
「太田財閥のアニメショップでのイベントは、コスプレをして売り子するのは禁止だが、コスプレ衣装を売り出すのは禁止していないよ。 これらを売り出して得た資金を部費に充てる予定だよ。 学園長から部費は支給されてるけどね」
梓部長は、太田先輩の財閥が運営するアニメショップイベントに過去に作ったゲームや同人誌、コスプレ衣装を売りに出すそうだ。
目的は部費の確保。
一応、学園長から部員の数に応じた部費が支給される。
この『ゲーム&アニメクラブ』もそれなりの部員がいるので、部費に余裕はあるのだが、梓部長はいざという時の為に少しでも部費を多く貯めたいのだろう。
また、夏コミと違ってコスプレイヤーはお断りだが、コスプレ衣装を売るのは禁止されてない。
何とややこしい事か……。
あと、ここの部員にもコスプレ衣装を作れたとは。
「開催はお盆が明けた週の土曜日になるよ。 その日に朝9時にアニメショップに集合だよ。 風邪などで行けない場合は連絡をするようにね」
最後に梓部長がそう言って、今回のミーティングを終わらせた。
僕達はその後で部室で少しアニメなどの話をしてから帰宅する。
お盆が明けた週の土曜。
つまりは夏休み末期にその小さなイベントが行われるわけだ。
コミケには行けないが、部員としてそのアニメショップのイベントには出ておかなきゃなぁ。
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