88 海水浴②
「あはは、そーれっ♪」
「わぷっ!?」
僕と冬先輩は、パラソルがある場所からはあまり離れていない場所の浜辺でお互い水を掛け合っている。
こうしている冬先輩の笑顔がかなり無邪気で可愛い。
この人が【清光の十女神】の一人と言われるのも納得がいく。
まさに『べあうちふる』ってやつだ。
「いや、ゆーくん。 そこは『ビューティフル』だよ。 ってか『べあうちふる』って何さ?」
冬先輩……、しれっと人の心を読まないでください。
しかし、ふくれ面している先輩も可愛いなぁ。
「まぁ、いいか。 どうやら他のカップルも無事に水着お披露目も終わったようだし」
「そうみたいですね。 スイカ割りでしたっけ?」
「うん。 海と言えばスイカ割り。 ボクにとっては定番さ」
どうやら、桐生君達へのお披露目が終わったようなので、スイカ割りをするためにパラソルに戻る。
冬先輩にとっての海の定番であるスイカ割りを僕もやる事になるだろうね。
「おーい、冬。 このスイカでいいかー?」
「うん。 そこに置いてくれる?」
「じゃあまずは私がやるんだね」
神薙先輩が冬先輩の指示の下でスイカを置く。
まずは花蓮先輩が、スイカ割りに挑むようだ。
僕達は声を掛けながらの観戦だ。
「目隠しおっけー。 じゃあ、始めて!」
「よーし!」
冬先輩に目隠しをさせられた花蓮先輩が、スイカ割りに挑む。
スイカの場所をみんなで教えながら、花蓮先輩を導く。
「てーい!!」
その後で、花蓮先輩が棒を振り下ろす。
「あー、外れたね。 僅かに」
「ううぅー、悔しいー!!」
「ミスったからって食べられないって事じゃないからね。 じゃあ、次は桐生君かな」
「ウス!」
花蓮先輩の一撃は外れたようで、悔しがっていた。
そんな花蓮先輩を冬先輩が宥めながら、次の桐生君に目隠しをする。
その後も神薙先輩、冬先輩、烏丸君と順番にスイカ割りに挑んだが、みんな上手く当てられないようだった。
いや、冬先輩は当てたものの、スイカが割れるには至らなかったのだ。
「次はゆーくんだね。 頑張って!」
「優真、冬に男を見せてやれ!」
「頑張れ、優真君! 全てはキミに掛かってるぞ!」
(すっごいプレッシャーを掛けてくるなぁ、先輩達は……)
そして、次は僕の番だ。
冬先輩は僕に目隠しをしながら頑張れと声を掛け、神薙先輩や花蓮先輩も僕を応援する。
いやー、プレッシャーなんですけどねぇ、その応援は。
「プレッシャーに負けるなよ、春日井」
「僕達の無念も晴らしてくれ」
「いや、無念って……。 死んでないだろ」
さらに桐生君と烏丸君も応援に入った。
というか烏丸君、無念って死んでないだろう……。
ただ、スイカ割りに失敗しただけじゃないか。
みんなに見守られる中で、僕ははスイカ割りに挑むのであった。
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