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76 幕間~悪崎の末路~

 一方で、身内が殺人を犯した事で崩落し、学校を辞めざるおえなくなった悪崎は……。


「くそっ、何でこんな事に……!」


 何者かの手によって、山奥の全寮制の高校に入学させられていた。

 ボロボロのジャージを着せられ、屈強な先輩の下で素手によるトイレ掃除をさせられていた。

 しかし、それが悪崎のプライドを傷つけ、逆切れを起こしては先輩を殴り倒して学校から脱走した。


「俺様はあんな辺鄙な学校なんかに行かないんだ! 別の親戚の手を借りてでもあの学校をぶっ潰してやる! そして、全ての学校を支配してやる!」


 山奥の道を必死で逃げつつも、残った取り巻きや親戚と合流してでも自分の都合のいい世界に仕立てようとする、諦めの悪い悪崎。

 当然ながらそんな事が今の悪崎には出来るはずがない。

 

 彼は知らないのだ。

 この1ヶ月で悪崎の意思を継いだ取り巻きと自称陽キャグループの清光学園による居場所が徐々に失われていく事を。

 さらに親戚が運営していたあのSNSも別の財閥の怒りを買って、敵対的TOBを吹っ掛けられた上でなすすべもなく買収された事を。

 スマホを取り上げられて、この1か月間は悪崎にとっては理不尽な学校生活を強いられた事で外からの情報は入ってこなかったのだ。

 いわば、隔離された学校だといえよう。


 そんな場所から脱走して逃げようとする悪崎。

 しかし、追手は悪崎を見つけたようだ。


「いたぞ、あっちだ!!」


「くそっ、見つかった!?」


 追手に見つかった悪崎は、少し走ってから別の方向へひた走る。

 その方向へと走り続けてから、さらに別の方向へと舵を切る。


(俺様を捕まえるものなら捕まえて見ろってんだ)


 自信満々に追手から逃げる悪崎。

 その時に密かに追手とすれ違う瞬間を狙っていた。


「でぇい!!」


「なっ!?」


「しまっ、ぐわあぁぁぁぁ!!」


 悪崎は横から追手の一人を体当たりし、ドミノのように複数の追手のバランスを崩させた。

 その先は断崖絶壁となっており、悪崎の体当たりで足を滑らせた事で複数の追手は、崖から落下していく。


 グチュっという肉が潰れる音が響き、悪崎は安堵した。


「ふぅ、俺様をコケにした報いだ。 ざまぁみろ!」


 勝ち誇った表情でさらに山を下るように逃走する悪崎。

 これで、自分をコケにする人間はいないと……そう確信していた。


 しかし、それも叶わぬ夢となる。


「どこに逃げようとしているのだね?」


「な……!?」


 山を降りたら、そこには警察が待ち構えていた。

 後ろにも警察が待ち構えており、悪崎は逃げる事が出来なくなっていた。


「さっき、君は複数の人を突き落として落下死させたよね? 立派な殺人罪だよ」


(ど、どうやってアレを見て……!?)


 悪崎は信じられなかった。

 あの山奥で追手を突き落として死亡させた事など見られないだろうと思っていた。

 しかし、この警察たちは別の件で捜査をしていたが、丁度そこに居合わせた警察の数人が崖から落とされて死んだ様子を見たようだ。

 とんだご都合主義が生み出したある種の奇跡みたいなものだろう。


「さて、悪崎(わるさき) 悪次(あくじ)! 君を殺人の罪で逮捕する!」


 有無を言わさずに手錠を掛けられる悪崎。

 固まったままの悪崎を無理やりパトカーに押し込めて、警察に連行した。


 こうして悪崎自身も歪んだ考えの果てに、前科を作ってしまったのだ。


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