57 花蓮先輩から聞いた悪崎達の事実
「悪崎の退学だけでなく、羽鳥先生も辞めちゃったんだけど、何か分かります?」
「あー、アレね」
昼休み。
僕と冬先輩、そして桐生君と花蓮先輩が屋上で昼食を摂っていた時、僕は花蓮先輩にホームルームで知った内容の事情を聞いてみたのだ。
「実はきーくんの妹さんを殺した記者たち、実は悪崎の身内と羽鳥先生の身内だったのよ」
「おおぅ、マジか」
あの時に脅迫と公務執行妨害での現行犯逮捕され、さらに余罪として殺人罪で再逮捕された記者たちだが、何と悪崎の身内と羽鳥先生の身内だったようだ。
奴らが自殺に見せかけた仕込みと報道をした事で、誰もがこの記者たちが殺したという事実を封じる事が出来たのだ。
しかし、花蓮先輩達が後をつけている事を知らずに桐生君に脅しを掛けた際に口を滑らしたのが運の尽きだったようだ。
「特に悪崎の両親は身内が犯罪者になった事で、警視庁や教育委員会を辞めざるおえない状態になったからね。 まぁ、あいつの兄がやらかしたツケがきちゃったのかもね」
「ただ、奴の意思を継ぐ取り巻きや陽キャグループはまだ健在ですよ」
「こうなれば、周囲の影響力は削れるからすぐに大人しくはなるよ。 まぁ、お父さんも今回の殺人の件は予想外だったみたいだけど」
「別の形で悪崎が追い込まれちゃったからねぇ」
今回の悪崎の退学の件は、記者をやっていた悪崎の兄が殺人を犯したという事実で、身内から犯罪者が出たため、居られなくなった。
そういう理由での退学は学園長も予想外だったようだ。
だが、悪崎の影響力はこれでかなり削れるはずだ。
まだ取り巻き達と奴の意思を継ぐ陽キャグループがいるため、見張りの先生の配置は継続するらしいけどね。
「今は確かに奴の意思を継いだ取り巻き達がいるけど、こうなった以上徐々に居場所を失っていくと思うよ」
「確かに、禁止しているカースト制度を未だに支持してますからね」
「とはいえ、悪崎という元凶がいなくなったし、意思を継いだとしてもこの学園では、意味を成さなくなるわ」
悪崎の意思を継いだとしても、カースト制度を禁止している清光学園では、先輩達や教師達によって睨まれるし、普通のクラスメイトからも睨まれるだろうな。
「あのSNSの件も例の運営会社に【楠財閥】が敵対的TOBを仕掛けたみたいだしね。 裁判も例の運営会社は訴えを棄却される見通しだよ」
「花咲ちゃんとこの財閥とは仲がいいからね。 もちろん花蓮先輩のとこの財閥とも」
「うへぇ……」
エグいタイミングで別の財閥が仕掛けたとか。
まぁ、あれであのSNSがマトモに機能してくれればいいし、桃花さんも彼氏さんの件も安心だろう。
「さて、そろそろ時間が迫りそうだし、トイレに行ってから教室に戻ろうか」
「教室まで送ってあげるからねー」
「お願いします」
そろそろ昼休みも終わりそうなので、冬先輩や花蓮先輩と一緒に、先にトイレを済ませてから教室に戻った。
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