48 部室での交流①
一時、悪崎の取り巻き達が凶器を持って襲撃するというアクシデントがあったが、先輩達の対処のおかげで警察に連れて行かれたし、その後の学園長の仕込みのおかげで周囲が騒がなくて済んだ。
悪崎一族を毛嫌いするメディアには補導の報道はさせたが、この清光学園にメディアが殺到する事はなく、部活が中止にならずに済んだ。
そんなわけでやってきた『ゲーム&アニメクラブ』の部室として使われている第一パソコン室で冬先輩と僕、そして桐生君と桃花さんと梓部長ともう一人の先輩で話をしていた。
今日はテストプレイはお休みにして、交流に時間を割くという。
桐生君への配慮と言えるだろう。
「それにしても、無事に桐生さんが部活に入れてよかったですよ」
「そうだねぇ。 まさか悪崎の息が掛かった記者たちに脅されていたとはねぇ」
「家族がゲームやアニメに関わる仕事をしていると分かってから、奴らは根絶やしにしようと躍起になってたからな。 その足掛かりとして妹を殺されて以降、家族もろとも嫌がらせされたよ。 部活に入らせないように脅していたのもその一環みたいでね」
「今は訴えられている私の彼氏は、それをSNSに悪崎が自慢の書き込みを見て批判しつつ拡散しましたからね。 大手の会社や有名クリエイターも同様です」
まず桐生君が無事に部活に入れたことを喜び、そこで桐生君は改めて今まで部活に入ることを躊躇った理由を明かした。
悪崎の書き込みを批判した桃花さんの彼氏も今回の件でも思う所があったようだ。
「それよりも、私は花蓮くんと君が付き合い始めたのには驚いたよ」
「あー、元々花蓮先輩は俺が気になってて、心配もしていたようです。 今回の件で支えさせて欲しいって言われましたね……って、昨日部長も知ってるじゃないですか」
「確かにあればボクもびっくりしたさ。 花蓮ちゃんの隣にいたからね」
「カップル結成スピードについてはとやかくは言えませんがね。 僕と冬先輩もしかり、神薙先輩も料理部の一学年男子と出会ってすぐに告白したっていうし」
「あ、あー……。 確かにそうだねぇ」
その後で昨日の花蓮先輩の公開告白の件について触れた。
やっぱり、みんなあの大胆な告白にびっくりしたようで、それでも支えてやりたいって言う花蓮先輩の想いの強さに桐生君はOKを出したそうだ。
まぁ、似た理由で付き合っているのは僕と冬先輩のカップルだったり、神薙先輩と料理部の一学年の男子である烏丸 北斗君もそうだしね。
僕がとやかく言うとブーメランになりかねないんだよ。
「ああ、そういえば例の事件で取りやめていたあの『マジカルエミリー』シリーズ、復活するらしいよ」
「え!?」
「本当ですか!?」
「おおぅ、ゆーくんは分かるけど、桃花ちゃんまで!?」
「俺も気になりますね。 妹が気に入っていたので、途中で取りやめになったのが惜しい位です」
そして、僕が同人を避ける要因となったアニメの『マジカルエミリー』について梓部長から切り出した。
どうもここで復活をするらしい。
それを聞いた僕も食いついたが、桃花さんも食いついたみたいだ。
桐生君も妹さんの好きなアニメだったようで、気になっているみたいだった。
「本当さ。 ただ、悪崎の息の掛かったメディア会社はがさ入れをされたけど、まだ生きてるからね。 アニメやゲームを潰そうとネガティブな記事を作る可能性もあるよ」
「それだけはやめてほしいですね。 なんだかんだで人気のニチアサアニメでしたし」
「そうですね」
とはいえ、復活の障害はある。
本来はコミュニケーションが苦手て友人が少ない者を指す『陰キャ』を奴らはゲームやアニメなどを趣味にしている者をそう呼んでいる位だ。
あのメディア会社も必死でネガティブな記事を報道するなどして阻止してくるだろう。
「そこは、花蓮先輩の親父さん……学園長が仕込みを入れるって言ってたな。 奴の周囲はこれをきっかけで徐々に潰れているみたいだし」
「なるほどねー」
「じゃあ、学園長を信頼しましょうか」
桐生君は花蓮先輩から聞いたのだろう。
学園長がそこに仕込みを入れると言ったようだ。
それなら、信頼しても大丈夫だろう。
どこかの日で復活を待とうじゃないか。
「さて、次の話題は……」
そこで梓部長が三度話を切り替えた。
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