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45 もう一組のカップルと屋上で

「はい、ゆーくん、あーん♪」


「あむっ」


「ふふっ、ボクのお手製の昆布入りおにぎりのお味はどうかな?」


「うん、美味しいですよ」


「えへへ、それは良かったよ。 お気に召したみたいで」


 お昼。

 僕と冬先輩は、いつもの屋上でお弁当を食べていた。

 そしてここ最近は暫くすると冬先輩が『あーん』してくる辺りも定番になってきた。

 もう、慣れてしまったので僕はありのままに応じている。

 悪崎の件で色々ありすぎているから、こんな事くらいはいいよね?


「おーおー、見せつけてくれるじゃないか」


「あれ、紬ちゃん?」


「神薙先輩と……そこの彼は……?」


 そんな事を思っていたら、神薙先輩と大人しい男子が屋上に来た。


「彼は1-Aの烏丸(からすま) 北斗(ほくと)。 料理部に入った男子だ」


「料理部に? 料理男子なのか……、羨ましい」


「僕も一応、ゲームやアニメも好きだけど。 そのせいで悪崎の手下に理不尽に『陰キャ』呼ばわりされたし」


「僕も同じだな」


 神薙先輩と一緒にいる彼は、料理部に入った1-Aの烏丸(からすま) 北斗(ほくと)君らしい。

 彼も一応、ゲームやアニメも好きらしいが、それによってクラス内の悪崎の取り巻きによって理不尽に『陰キャ』呼ばわりされたらしい。


「紬ちゃんはその烏丸くんと一緒に?」


「ああ、最近になって付き合う事にしたんだ。 アタシから告白してOK貰った」


「まさかの告白でビビったけど」


「あー、当初の悪崎のルールがこびり付いてるから……」


 やっぱり烏丸君も悪崎のルール……『陰キャ』や底辺は【清光の十女神】に話しかけてはいけないというルールが過ってしまったわけか。

 しかし、それでも付き合うようになったのは、神薙先輩が押しに押したからだろう。

 あれ、冬先輩もそうだけど、女子の先輩って結構攻めが多い?


「そして、今回は北斗が作ってくれた弁当で一緒に食べようとして屋上に来たのさ」


「なんとぉー!?」


「冬先輩、それはどこのアノーさんですか?」


「じゃあ、早速紬先輩に食べさせますよ」


「おう、頼むぜ」


 冬先輩の叫びに突っ込む僕を尻目に、烏丸君はおかずを神薙先輩の口に差し出した。

 さっきやった『あーん』なんだけど……。


(神薙先輩の様子から、餌付けみたいな感じだなぁ)


 うん。

 やっぱりどう見ても餌付けです、本当にありがとうございます。


「むむむ、紬ちゃんと烏丸くんのイチャイチャがすごい! ボク達も負けてられないぞ、ゆーくん!!」


「競うな競うな」


 冬先輩の見せつけられた感じのテンションにやや呆れる僕だが、まぁ僕も冬先輩が好きなんだっていうのは証明したいし、こっちも『あーん』し合う事にした。


 二組のカップルが『あーん』し合っていちゃついているせいで、他の屋上でお昼にしている生徒の食事が糖分過多になったのは言うまでもないだろう。


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