30 部活動を始めます②
さて、僕は空いてる席に座ってアプリをダウンロードする。
僕が使っているパソコン席の両隣には冬先輩と桃花さんが座っている。
「これ、『RPGデキール』製のゲームですね。 幾つかプラグイン素材も入ってますから中身は期待できそうですね」
桃花さんはこれからやるテストプレイのゲームがあの簡単にRPGが作成できるツールソフトの『RPGデキール』製のゲームだと見抜いた。
確か、素でも作れるがプラグイン素材を上手く使えば本格的なゲームを作れるというソフトらしい。
「すごいね桃花ちゃん。 よく知ってるね」
「私もこれに触れたことがありますから。 兄の手伝いでですが」
「お兄さんも?」
どうやら桃花さんは『RPGデキール』に触れたことがあるらしい。
兄の手伝いで触れたことがあるみたいだが、彼女に兄がいたのか。
「兄が入っている同人サークルで全年齢のゲームを作っては同人販売サイトで販売してましたね。 私はそのテストプレイと、修正作業を手伝っていたので」
「あ、もしかして『タンバリンソフト』っていうサークル?」
「そうです。 冬先輩、知ってるんですね」
「ボクもパソコンにそのサークルが作ったオリジナルゲームをインストールしてるからね。 同人にしては市販顔負けの出来だし、よくハマってるよ」
いやー、次から次へと桃花さんの周りの秘密が暴かれるなぁ。
彼女の兄が有名サークルの『タンバリンソフト』に入ってて、有名な同人RPGを売ってたとは。
しかも冬先輩、その同人ゲームも買っていたとは……。
僕はそのゲームは持ってないから、話についていけないぜ……。
「オープニングは問題なく動いてますね」
「流石に出だしで躓くわけにはいかんだろうし」
「問題は操作が出来るようになってからだね」
オープニング自体は問題なく動いている。
これは見たところ、ファンタジーRPGのようだが、現代要素も少し含まれている。
いわゆる『現代ファンタジー』っぽい感じかな?
「あ、ここに誤字が」
「本当ですね。 余計な文字が混ざってます」
導入イベントに入った所で、誤字がちょくちょく見え隠れしている。
誤字の部分をメモしながら次へ移る。
「コンテストが終わるまで暫くはこんな感じになるけど、大丈夫?」
「僕は大丈夫です」
「全く問題ありません!」
冬先輩はタイミング的にコンテストへ向けた応募作を作っている時に入部となったので、僕達に大丈夫か聞いたようだ。
僕も桃花さんも問題はなく、他の新規入部者も同様にやる気満々だった。
「それなら良かったよ。 さて次は……」
「あ、この壁、プライオリティミスですね」
「本当だ、壁のはずが通れるようになってる」
冬先輩がみんなの意思に安堵し、テストプレイを再開する。
そこに桃花さんがプライオリティ設定のミスを発見したようだ。
流石は『RPGデキール』を弄ったことのある桃花さんは、こういうミスも見逃さない。
同時にゲーム作成の大変さを身をもって知ることとなったのだ。
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