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プロローグ
──聖水。
女神の泉から湧き出るそれは退魔の力を宿しており、人々は魔族の脅威に対抗する為、それを求めた。
やがて、一人の王が泉に辿り着き、聖杯一杯分の聖水を汲んだ。
人類の平和を脅かす魔王は、そのたった一杯の聖水を恐れ、持てる全ての武力を行使して王国を攻めた。
しかし人類もまた、そのたった一杯の聖水によって希望を持ち、最後まで誇り高く魔王軍と戦った。
王とその従者は魔族の包囲を潜り抜け、遂に魔王の元に聖水を持ち来すことに成功した。
青ざめながら後ずさる魔王。
聖杯を翳しながら進む国王。
人類と魔族の、長く続いたこの戦争は、人類の王によって終止符を打たれた。
そうして次の魔王が現れるまで、束の間の平和が訪れたのだ。