緑衣の聖者の巡礼路
オムニバス風
「あなたは聖者様ですか?」
「……何も、わからない」
記憶喪失の少年の物語はとある少女と出会い始まる。
何も覚えていない少年。
名前も年齢も何もかも覚えてない彼は、「世界を正さねば戻ってこない」ことだけを知っていた
自分が何を失って、何の役目があるのか。わからない彼は村の少女、エリカに「聖者様は乱れた霊脈を正常にしてくれる人です」と言われて「それが自分の役目かもしれない」と思うようになる。
そして、彼は少女エリカをお供に、乱れた霊脈を正すために巡礼の旅を始める。
霊脈が乱れると土地が荒れて、人の心も荒れてしまう。
霊脈が滞った土地ではいつもトラブルに巻き込まれてばかり。
凍った洞窟の霊脈を正した聖者は、氷の中で眠っていた青年「瓢」を新たにお供に加えて旅を続ける。
「聖者様」では味気ないからと「聖」と名前を与えられたり、エリカに「ヒジリ様」と呼ばれるようになったり。そんな何気ない会話をしながら巡礼は続く。
そして、何か腹に逸物を抱えるのはヒジリだけではなくて……
聖者とはなんなのか。巡礼とはなんなのか。そしてそもそも、自分はどこの誰なのか。
巡礼の邪魔をする謎の組織が現れたりしながら旅は進む。
登場人物
聖…ある日エリカの住む村に現れた記憶喪失の少年。緑衣の聖者と呼ばれ、世界を『正す』役目を持つ。
エリカ…教会で暮らす村娘。自らの意思でヒジリの付き人として巡礼路に付き合うことに
飄…自称、コールドスリープから目覚めた異能使いの青年。氷の異能を持つ。