紹介状受け取り
クレールさんへ配達報告を行い、レオン子爵の屋敷へと戻った。
「お待たせしました。戻りました」
「おかえり。無事に渡せたかな?」
「ええ、渡せました」
レオン子爵に向かって愛想笑いを浮かべる。
しかし、内心はちょっと気が重い。
「冒険者ギルドでクレールさんに会いました」
「ふむ、クレール嬢と会ったのか」
クレールさんの名前を聞いてレオン子爵の顔色が曇る。
理由はクレールとのやりとり。
マリアちゃんの状況について部外者にちょっと喋りすぎたと思っている。奥歯に何かが挟まった表情をしている。
そんなレオン子爵を見て不安がむくむくと膨れ上がる。
「クレールさんに配達報告を行う際に、マリアちゃんの件について話したんですが不味かったですかね」
「どう話したんだい?」
「マリアちゃんが暴漢に襲われてそれを撃退した旨、襲われていた理由について自分が調査を行っている旨です」
「クレール嬢の見解は?」
「……貧民街の犯行とは考えづらい。貴族か教会内部で良く思っていない人間の犯行ではないか。必要があれば冒険者ギルドでも協力する───とのことです」
「分かった。ありがとう。」
難しそうな表情はしているが怒った様子はないレオン子爵。
僕の反応に気付いてか、レオン子爵が笑いかけてきた。
「隠すことでもないから気にしてないさ。それにクレール嬢が相手じゃ隠し通せないからね。クレール嬢と話をしていたら何となく話したくなったんだろう? あの人はそういうのが上手いからね」
「言われてみれば、この人になら話してもいいかなと思ってました」
「そういう手合いも世の中にはいるから気をつけるように」
「分かりました。気をつけます」
レオン子爵から気にしていないと声をかけられて内心でホッとした。
その上で捜査の仕方について気をつけないと駄目だよな。同じ聞くにしても貧民街でどんな犯罪が普段起こってるのか。教会の関係者を狙った犯罪とかって起こりやすいのかという聞き方が良かったと思う。
少なくともマリアちゃんに関する話題を直接聞くよりかは良かったと思う。
「紹介状が書けたから自警団の所へ頼めるかい?」
「任せてください」
「バッチも返却するよ」
「ありがとうございます」
レオン子爵から紹介状とバッチを受け取る。
次はしっかりやろう。気持ちを引き締めた。
「ジャスティス君は真面目だね」
「えっ?」
「別に失敗したわけでもないのだからクレールの件は気にしなくていいよ」
「恐縮です」
「でも、ジャスティスのそういう所が私は良いと思います」
「モラル嬢に同感だね。───ああ、忘れてた。君達にこれも渡さないとね」
自身の懐に手を突っ込むレオン子爵。何かを掴んでそれを手渡ししてくれた。感触は硬い。金属だ。
レオン子爵の手が離れて渡されたものを確認する。金貨が2枚もある。
「えっ、そんなっ。まだ依頼も達成してないのに報酬をいただくわけにはっ!」
「ジャスティスの言う通りです。金貨2枚もなんて……」
金貨2枚は、銀貨20枚相当の価値がある。
僕達は2ヶ月は軽く暮らしていけるだけの資金だ。気軽に受け取るわけにいかない。
「ははっ、君達は謙虚だね。これは報酬じゃなく必要経費だよ。使い道は君達に任せる」
「……分かりました。お預かりさせていただきます」
そう言われたら受け取るしかない。断るのもかえって失礼だ。
「うむ、そうしてくれ。お金はあって困るものじゃないからね。君達が必要だち思ったときに使うといい」
「「分かりました」」
本当に使う機会があるか疑問に覚えながら頷いた。余ったらお返しすればいいよね。
「報酬については別途支払おう。それでは依頼を頼めるかね?」
「勿論です。任せてください」
「手がかかり見つけてきますね。悪い奴は縛り首にしちゃいます!」
「捕まえるだけでいいから。殺しちゃだめだからね?」
「分かりました。殺さない程度に縛り上げます」
これには僕もレオン子爵も苦笑いだ。
まずは自警団に行ってみよう。
ちょっと文字数少ないですが、区切り良い所で投稿させてもらいました。
主人公が自分の落ち度自覚してて、それを負い目っぽく感じちゃってるのはお話的にアウトな感じしないでもないですが、ここら辺が今の自分の実力って感じします。
とりあえずお話を組み立てるの最優先って感じで引き続き頑張ってみます。




