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配達報告

 早速当初の依頼、カタリナさんの配達完了の報告するために王都レペンスの冒険者ギルドへと僕とモラルはやってきた。


「シヘンの冒険者ギルドより広いね。後、人も多い」


 モラルがキョロキョロと周囲を見渡しながら呟く。

 モラルの言う通りだ、シヘンの冒険者と比べて二周り程フロアが広い。後、内装も洒落ていて見た目が洗練されているような気がする。


 後、冒険者の数が多いためか、エルフやドワーフといった亜人もそれなりにいる。


「そうだね、流石王都って感じだね」


 受付のカウンターに目を向けるとカウンターも5つある冒険者の数に応じて、クエストを管理する受付嬢と窓口を複数用意しているんだろう。


 今は空いている時間帯のためか窓口が3つ空いているどうしようか……。

 逡巡している間に銀髪の女性と目が合う。


「お兄さん、空いてるで。こっちに来たってや」


 銀髪の女性がニコニコしながら手を振っている。目が糸のように細く、何となく猫や狐のような印象を持った。後、王都で西方訛りの人珍しいな。


 「あっ、よろしくお願いします」


 銀髪の女性に向かって軽く会釈し、カウンターの前に向かった。


「今日はどんな御用でっか? クエスト探しでっかね」


 銀髪の女性がニッコリと笑う。


「いえ、クエストの完了報告です」

「はぁ、お疲れ様やねん。では依頼票の提出をお願いします」

「こちらです。よろしくお願いします」


 銀髪の女性に依頼票を渡した。

 女性は依頼票を受け取ると一瞬ピクリと硬直する。どうしたんだろうか?


「はぁ、シヘンから来たんかい。遠路はるばるよぉきたなぁ。───ん? エレーヌ、カタリナ、レオン。はぁ、おたくら面白い依頼受けてんな。エレーヌとカタリナは元気してるかいな」

「え、ええお二人とも元気ですよ。二人のお知り合いですか?」


「二人は元気か。そりゃ何より。二人が王都にいた時は、ウチが面倒を見てやったさかい。あっ、ウチはクレールって言うの。よろしゅうな」

「あっ、はい。よろしくお願いします。ジャスティスです」

「よろしくお願いします。モラルです」

「礼儀正しくていいな。二人はエレーヌのお気に入りか?」

「お気に入りかどうかは分かりませんが良くしてもらっています。何でそう思ったんですか?」

「どうせカタリナが突発でエレーヌに泣きついたんやろ? それでエレーヌからお前さんらに振られたんじゃないのか? エレーヌもエレーヌで身内の案件は信用出来る人間に任すからな。違うか?」

「大体そんな感じだったと思います。流石です」

「カカッ、そりゃ傍で仕事を教えたのは私やからな」


 ケラケラと笑うクレールさん。エレーヌさんとは違うけど気持ち良い人だな。王都に来たというのに共通の知人がいると遠くに来た感じがしない。何だか不思議な縁があるもんだな。折角だからそれとなく依頼の件聞いてみるか。何かわかるかな。


「後輩を指導するってことはクレールさんって受付嬢の仕事長いんですか?」

「ん? まぁ古株やな。それがどうしたんや?」

「レオン子爵の娘さん、マリアちゃんに会ったんですが、とても利発そうな子でした」

「うん、あの子はいい子やで。貴族にしては珍しく平民にも優しい。貧民街の聖女の名前は伊達じゃないだろうな。でっ、何が言いたいんや?」

「貧民街でマリアちゃんを快く思わない人っていますか?」


 あー、話をド直球に振りすぎたかも。クレールさんが眉をひそめている。


「なんや。藪から棒に。貧民街の住人がマリア

を嫌うわけないやろ。そんなアホなことを考えるのは貴族か教会の連中ちゃうか。……で、何でそんなことを聞くんや?」

「実はですね、配達の時にレオン子爵から聞いたんですが、マリアちゃんが街で暴漢に襲われていたそうです」

「なんやてっ」


 クレールさんの声が低くなり、表情が険しくなる。


「幸い怪我はなかったようです。後味の悪いはなしだから自分達も何か協力出来ないかと思って」

「───お前さん達、目的はなんなんや? 殊勝な心掛けだけど冒険者なんやろ? レオンに貸しでも作りたいんか?」


 クレールさんから厳しめの指摘を頂戴した。まぁ、普通そういう反応するよな。正直に話すか。


「あー、いや。正直に話しますと、僕達はマリアちゃんが襲われていた現場にかちあって暴漢を退けました。その後にレオン子爵に事情を話して、暴漢を追いかけるように依頼受けたんです。なので何か心当たりあったらなと思ったわけです」

「なんや、まどろっこしいことするなや。そういうことだったらウチで出来ることなら協力してやってもいいで」

「ありがとうございます。まだ調べてみないことには何も分からないのでその際にはよろしくお願いします」

「任してとき。調べるツテはあるんか?」

「あります。なのでそれから当たってみようと思います」

「そうかそうか。ほな頑張ってな!」

「ありがとうございます。───あっ、一つ頼まれてくれませんか」

「何をだ?」

「シヘンの冒険者ギルドに手紙をお願いできませんか?レオン子爵から個人的な依頼を受けたので戻るのが遅れる旨を伝言願えますでしょうか」

「そういうことならお安い御用や。任しとき!」

「「よろしくお願いします」」


 ペコリとお辞儀する僕とモラル。

 クレールさんに協力してもらえそうだし後々役立つかも知れない。とりあえずレオン子爵から紹介状をいただいて自警団にあたろう。


大変お待たせしました。

引き続き精一杯やらせていただきます。

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