”約束”
おはようございます!
こんにちは!
こんばんは!
咲ヶ丘ゆづきです!
ごめんなさい!一回間違えました!
あれは夢です!気にしないで下さい!
それは、気を取り直して!
New Go world!
僕は今、泣きながら歩いてる。どこかに行く訳じゃないけど、どこか遠くへ行きたかった。お金もないけど、荷物を持って家を出てきた。
「もう、あんな家戻らない」
これが今の僕に出来る
精一杯の反抗だった。
しばらく歩くと河原に辿り着いた。同時にお腹が鳴る。
「お腹……空いた……」
河原の草原に腰を下ろし、バッグを開ける。
持ってきたお菓子を探すが見つからない。どこを探しても食べ物も飲み物もなかった。別ポケットに何かの感触があり、見てみるとそこにあったのは女の子用のピンと絆創膏が一つあるだけだった。
「嘘……マジかよ……」
僕は、バッグをいくつか持っているけど、間違って持ってきたみたいだ。
少しは我慢しよう。五分、十分。ぐぅ~。ずっとお腹が鳴っていてうるさい。喉も渇いてきた。体が水分を要求している。
一度帰るか……いや、あんな啖呵切ったんだ。今さら戻る訳には行かない。
それにもうお腹が空いて、戻るにも体力が持たない。
バカな事したなぁ……。このまま、飢えで死んじゃうのかな、僕。
「どうしたの?顔色悪いけど」
頭が真っ白になっていると突然、声をかけられた。
その声は、静かな海のような
優しい声音の声だった。
顔を上げると、長い髪がサラッと風に流れ、右手に鞄を持ってニコニコしている女の子が立っていた。
ぐぅ~とお腹が鳴る。き、聞かれた……!は、恥ずかしい……。
「君、お腹空いてるの?ちょっと待ってね」
そういうと女の子は腰を下ろし、
鞄から赤色の弁当箱を取り出し、中からサンドイッチを渡してきた。
「食べていいよ」
「い、いきなり……君に悪いよ」
「じゃあ、いらない?」
お腹がまた鳴る。
「あんまり無理すると、倒れちゃうよ?黙って食べなさいっ!」
「うん。ありがとう」
僕は、女の子からサンドイッチを渡されると
ゆっくり口に運んだ。
口に入れた瞬間、
玉子の甘さがとろけて味覚を刺激する。パンの部分は柔らかく、玉子は、
はみ出してしまいそうなくらい詰められている。おいしい!
「おいしいね!あ、ありがとう!」
「そう?私はこのサンド
ウィッチ、他の人に食べさせると悪魔じゃんって言われるけどね」
「悪魔なんかじゃないよ!甘くて、でも甘すぎなくて丁度いいし、おいしいよ!」
「へへっ、ありがとう」
女の子は笑みを浮かべる。
「もう少しかな?あんまり一気に食べ過ぎると、後悔するよ?」
悪戯っぽく笑う女の子。
良く意味は分からなかったけど、最後の一口を口に入れる。
「おいしかったよ、ありがと……」
その時、レモンを丸かじりしたような急激な酸っぱさが口を襲う。
「どうしたの?大丈夫?」
言ってることは優しいが、笑いを堪えている。完全に僕で遊んでいる。
「何でも、ないよ……美味しい……ね」
不味い訳ではない。だけど、食べた人が悪魔と言う理由が分かった。これは、見た目に騙されるなって事か。
「ふ~ん」
女の子は面白くなさそうな声を出して、残りのサンドイッチを美味しそうに食べていた。
ようやく、酸っぱさが去って思ったことがあった。
「……甘さの誘惑だね」
「世の中甘いことはないんだよね~絶対に何か、辛さだったり、酸っぱさだったり予想外のことが起こる。
私は私自身がそれを忘れないように味にもしてるんだよ。甘さの誘惑……別名
みたいでかっこいいね!」
かっこいいのか……?
「驚かせたいなら、辛いものじゃないの?」
「ほら、今暑いし、クエン酸は取らないとね。そこは私からの気持ちかな。辛いのだとびっくりしちゃうでしょ?」
確かに、酸っぱいのはあったけど、体の怠さは少しなくなった気がする。酸っぱいのでも十分びっくりしたけどね。
「どうして、見知らぬ僕を助けてくれたの?」
「んー、なんかね、目的がおんなじぽかったからかな?君、家出してきたんでしょ?」
初めから解っていたように当然のように言った。
「何で分かるの!?
それに理由が同じって……、君も家出してきたの?」
「まあね。君はどうして何も持ってないのに家出なんてしてるの?」
「親とケンカしてね……」
「どんな理由で?」
「……親がウザかったからかな」
「なるほどね~」
「君は?どうして、家出してるの?」
そういうと一瞬女の子の表情が曇った。でも一瞬ですぐに笑顔になった。
「…………聞いたら、責任、取ってよ」
「うん?うん」
「言ったからね?!」
そう言うと女の子は静かに語り出した。
「家出、というか家に居たくなくてね。私、家にも、学校にも…………居場所ないんだ」
悲しみを堪えるように女の子は続ける。
「パパとママはいつもケンカばっかりで、お前なんていらない、産んだことを後悔したって……」
あんなに笑顔が眩しかった優しい女の子が、
そんな悩みを抱えていたなんて……。父親と母親に激しい憤りを感じた。
「学校でも、クラスメイトにもいじめられて、先生も助けてくれない。一人だけ、相談に乗ってくれた先生はいるけど、その先生からも裏切られたよ。相談したこと全て生徒、教員にバラされて、収まるどころかもっと悪化したよ」
「酷い……」
僕は、それしか言えなかった。傷心している心にかける言葉なんて僕はまだ知らなかった。
「パパもママも学校に行くのは義務だから行きなさいって……いじめられてる、なんて言ったら学校でもっと酷いことされるかもしれないし……」
よく見ると女の子の体の所々にすり傷やかすり傷があった。
女の子の瞳から一粒の涙が流れた。僕は、僕は何もできない……。自分の無力さに嫌悪感を抱いた。
「初対面なのに、こんな話、ごめんね」
どう返せばいいか分からず、僕はバッグから絆創膏を取りだした。
「ケガ、してるから」
「ありがとう……」
堪えきれなくなったのか、女の子は静かに泣き出した。僕は大丈夫だよなんてそんな簡単な慰めなんて言えず、静かに背中をさすっていた。
しばらくして泣きやんだのか、女の子は笑顔に戻った。
絆創膏は、一枚しかなくて、一カ所しか貼れなかった。
「僕は、僕は今は何も君に対して何も出来ないけど、たった一つしか傷を塞ぐことしかできないけど……
いつかは、傷が出来たら絆創膏みたいに塞いであげたい。全部の傷が治るまで、心の痛みが、ううん、もう傷つかないようにずっと護るよ。ずっと傍にいるから」
「本当……?信じて、いいの?皆みたいに捨てたりしない?」
悲しそうな目で僕を見つめてくる女の子。
「うん。約束」
「ありがとう……ありがとね」
女の子はまた泣き出してしまった。
「泣かないでよ……」
「だって……こんなこと言ってくれる人他に居なかったから……傷のことも誰も触れてくれなかった。見て見ぬふりされてた……だから……」
涙を拭い、
「さっきの事……絶対に
約束だからね!」
女の子は笑顔でそう言った。
遠くで学校のチャイムの音が聞こえ、気づくと真上にあった太陽は、赤くなっていた。
「私、もう帰らなきゃ……」
少し寂しそうな顔をして、
「今日は、ありがとねっ!」
女の子は笑った。
「それじゃあ、ね」
女の子は、背を向け歩き出す。
「ま、待って!」
僕は、思わず声をかけて止めてしまう。
「ん?」
「あ、あのね……次に会えるか、なんて分からないから……また会えますようにって、僕と君をまた巡り会わせてくれる御守り」
僕は、バッグからピンクの小さなピンを取り出し、女の子に差し出した。
「わぁ~ありがとう!可愛い!大切にするね!」
「君は、一人じゃないよ、僕がいる」
女の子は、僕との距離を縮めーーー。
頬にキスをした。女の子は顔が赤かった。僕もきっと真っ赤に違いない。胸が苦しいのと心臓の心拍数が速くなった。
「だい、すき……だよ……!また、必ず逢おうね!」
そう言って女の子は、僕に再び背を向け歩き出した。
僕は、今の僕には、まだ、ただ、背中を見送るしかできなかった。
「それでも俺は」
幼少期編ご覧頂きありがとうございました!
投稿遅くなって本当にすみません!
待っていて下さった方、本当に本当に本当にありがとうございます!何度も言います!
新しく読んで下さってる方、
投稿されてないときも現存?読んで下さった方ありがとうございます!
少しでも皆さんに、面白いって言って頂けたら、すごくすごく嬉しいです!
また次もよろしくお願いします!
new Go next world !