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それでも俺は  作者: 咲ヶ丘ゆづき
俺と騒がしいあいつ
5/9

貫く意地と初めてのキス

咲ヶ丘ゆづきです!いつも読んで下さりありがとうございます(_ _)


【それでも俺は】第五部です


ぜひご覧下さい!

ボスは店を出ると、部下達もその後をついて行った。


「……行こっか」


「そう……だな」


なんと答えればいいか分からず、相づちをうった。


「引いてる?」


「何が?」


「……さっきのこと」


さっきのあの熱論か……。俺は……。


「んな訳ねーだろ。お前もそう想ってくれてる……そう思って嬉しかったぜ」


「へへ……やっぱ、好き」


さゆりは、泣きそうな声で小さく呟いた。そしてしばらくすると笑顔になった。元気になった……のか?まぁ、笑顔になってよかった。俺はこいつの笑顔が好きだからな。


 俺達も会計を済まし店から出た。出たところの数メートルにある裏道でボス達が待ち構えていた。

 走って逃げようかとも思ったが、後ろも部下に囲まれてしまった。


 ボスは筋肉がすごい。

よく見ると所々、傷がある。先程の甘い雰囲気はなく、殺し屋の様なオーラを放っていた。


「良く逃げなかったな。まずは、話を聞こうか」


「あのですねボス、そこの女が俺達に舐めた口きいて俺の手をぉぉおおおっっっぐふぁああ!???」


部下の一人が話し始めると同時にボスは部下にラリアットを食らわせる。


「てめぇ、女の子がいるんだ……レディーファーストだろうがっ!!!」


「ご、ごべんだざい……」


「改めて、話を聞こうか」


目で殺してくる。

動けない。足が地に張り付いているのに体はガタガタ震えていた。


「別に……なにもなかっ――――あ」


さゆりは冷たく言い放とうとしたが、何かを思いついてしばらく口を噤んだ。


「何だ、言ってみろ」

何かを決したようにさゆりは顔を上げた。


「あ、あのね泣

この人達が私を襲おうとしてきたんです……私、こ、怖くて……。

触ろうとしてきたから反射で骨折っちゃったみたいで……ご、ごめんなさい!!」


何という豹変振りだろう。とても可愛いが俺にはある意味恐怖だ。


「そこの男は使えないのか」


「使えないです」


おい、何で即答なんだよ……。傷つくよ……泣いちゃうぞ。


「使えないです。だけど……大好きです」


「そうか……」


「ボスさん、あの人達から私達を助けて下さい泣

わ、私、こ、怖いんです

また襲われそうで……」


話を聞いたボスは、部下達を睨んだ。


「この話は本当か?」


「ボス、お言葉ですが、この女が言ってるのは全て戯れ言で事実を偽造おおぉ

ウギャファッーー」


「てめぇみたいなゴミの底辺の意見は聞いてねえ。それにな……女の子が泣いて訴えてんだ。嘘な訳ねーだろ」


ボス……騙されてるけど……。可愛さに……。


「そんなことないですぜ、ほんとぉおおおーーー」


「俺は、男の意見は聞かねえ」


「り、理不尽……」


 ボスはさゆりに近づく。そして、膝を折り、地面に手をつけ頭を下げた。


「俺の部下が、」


 一呼吸置き、


 「本当に……申し訳なかった……」


 ヘラヘラしているが、部下、と言っている、そして部下からボスと呼ばれているのでどのくらいの規模なのかは判らないが、それでも部下の行いを長が謝罪する、それは威光を持った人間が簡単に出来ることではない。それでも涙を流し、過ちを悔やみ、プライドを捨てるボスの姿には心に来る物があった。


「顔を上げてください。貴方は……いい人ですね。部下の為に頭を下げる。簡単な事ではありませんよ。

これからは、私達の街を守ってくださいね」


「ははっ!」


「じゃあ、私達は行きますね」


「お待ちなされよ、さ、最後にせめてお名前を教えて頂きたい」


 そう言われたさゆりは俺の方に指を指した。


「あの男がどうか致しましたか?」


「こいつの事がさ、私好きなんだ。頼りないけど、本当に私を想ってくれてる。そんなあいつに私一途なんだ、だから、名前は内緒」


 人差し指を口に近づけて片目を閉じて笑顔を作った。


「誠に……恋をされているのだな。拙者応援致すぞ」


「ありがと」


「あ、あの~」


話に入る隙がなく、小声になってしまった。


「あ?」


ボスは、先程のさゆりへの態度と俺への態度が打って変わっていた。いや、変わりすぎだろ。怖えんだけど。

 震える体を抑え、近くに休めるところがないか尋ねた。ボスと言われてる程だ。きっと、いい場所を知っているだろうと勝手に思っていた。


「休めるところ?どこに参るのだ?」


「ホテルかな。ラブラブの方の」


「ホ、ホテルだとぉおおおお!うらやま……んん!!けしからん!やはりここで息の根を止めようか」


「違えわ!!行かねーから!!どこか温泉かどこかないかと思ってな」

こいつ、ただの変態じゃねーか?変態の長なんじゃないのか?


「あ、温泉いいね!さすがりーくん!」


「き、貴様!!温泉に一緒に入り一夜を共に過ごすだとっ!!!うらやましすぎr……んん、この先に拙者の仲間が経営していて温泉に入れるところがある。景色もいい。そちらに参るといい」


やっぱりただの変態だろこいつ。


 ボスは一生懸命道をさゆりに教えていた。変態といえども漢だ。まあ、任せていいだろう。俺は道に関して数式より理解が出来ない。地球は無限ループの迷路なんじゃないか?


 一通り説明を終えたのか、地図をもらって駆け寄ってきた。


「これから、りーくんとムフ……ムフフフ」


よだれ垂れてるから。にやにやすんなし。


「ねえ、どうせならさ、ボスさんも来ない?」


「拙者がでござるるか??ヤッタぜ」


嬉しすぎて顔がにやけてやがるし、聞こえないようにしていたんだろうが、歓喜の声がバッチリ聞こえた。うん、ただの変態だな、こいつ。


「ありがたきお誘い光栄でござる。しかし、今回の一件、長として、手前の力不足で起きてしまったこと。それを投げ捨て、楽しむことは出来ぬ、二人で、楽しんで来られよ。それに貴殿達の愛には勝てぬ。感服いたした。拙者は自分を見つめ直すため、旅に出る。御免」


「そっか、ありがとね。

また、ね」


そういうとさゆりは俺の手を引いて歩き出した。


「いい新婚旅行を!お幸せに!」


なんか勘違いされてるような気もするが、気にしないことにした。


見えなくなるまで手を振り最後は子供のようにぴょんぴょんと手を振りながらジャンプしていた。


「いい人だったね」


「ま、まぁな」


変態ではあったが。悪い奴ではなかったな。


「温泉楽しみだね」


「そうだな」


「あのさ、りー君」


そういって少し高い位置にある俺の唇にさゆりは唇を重ねた。

太陽は少し傾いて夕日になり赤くなっていた。だから、さゆりの頬が赤いのはきっと夕日のせいだろう。


「ずっと大好きだから」


夕日から伸びた影は俺達のようで重なって、手を繫いでるようだった。


「ほら!早くっ!行くよっ!」


照らされたさゆりの笑顔は

夕日よりも何よりも輝いていた。

【それでも俺は】をここまで読んで頂きありがとうございました!


皆様に少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです!これからも頑張ります!

咲ヶ丘ゆづきでしたっ!(´・ω・`)b


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