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それでも俺は  作者: 咲ヶ丘ゆづき
俺と騒がしいあいつ
2/9

不穏と裸エプロン

おはようございます!

こんにちは!

こんばんは!


咲ヶ丘ゆづきですっ!


【それでも俺は】第二部です!ぜひご覧下さい!


――――ここは、どこだ……。


……そうか、俺は死んだのか。


こんな時なのにあいつの顔を思い出す。


「りーくぅん?」


懐かしい声。


「えへへ、大好き♪」


優しくて、でも切なくて


「もう、知らない!りー君なんて!大っ嫌い!」


喧嘩もしたなぁ……まだあの時のこと、謝れてないや……。


「りーくん……りーくん生きてよ、死なないでよ、私を、一人に、しないで、よ……」


俺は気づけなかったのかもしれない。


あいつはずっと寂しかったんだ。いつも元気ではしゃいでて、だから見えなかった。でも一番辛かった。


神様、もしさ、生きれるんだったら、今度は気持ち、伝えなきゃ、だね……。


もう、伝えられない、


「好き」って



実は本当は好きだったんだと思う。矛盾はしてる。正直自分の気持ちが判らない。好き、というよりは憧れに近いかもしれない。辛いときも悲しいときも、泣きたいときでさえも笑って、くだらないけど、

楽しくて、そんな日常が好きだった。


そんなあいつが好きだった。


今はもう叶わない、願い。


※※※※


んっ……。い、生きてる……?


目を開けると、自分の寝室だった。ベッドで寝てたみたいだ。

少し息は苦しいけど、

でも、生きてる……。


額の血も止まっていて、不思議な事に、頭痛はしなかった。


「―――君……りーくん……」


隣に机で眠っているさゆりがいた。


ノートに何か書いているが

字がぐちゃぐちゃで読めない。


「りーくん、し、なないで……」


さゆりの目には涙の後が

残っていた。


髪もぼさぼさで。


 こいつは人前だろうと俺の前だろうとそう言うのは絶対に怠らない(おこたらない)

そんな彼女がこうなってる。

かなり心配かけてしまったみたいだ。


 こんなとこで寝ると風邪引いてしまう


起こそうか……それとも、そのまま、にするか、


俺は起こすことにした。


「さゆり、風邪引くぞ、寝るならベッドで寝ろよ」


「んーダメだよぉ、そこはぁ恥ずかしぃ……えへへ♪

え~やだ~足痛いもん

お姫様抱っこして連れて行ってよぉ~」



 寝言なのか?と疑問に思ったが、揺すっても一向に起きない。

はぁ……


「わーたよ」


俺はさゆりを抱きかかえた。髪の香りが鼻を擽る。


ベッドに寝かせて、ふとんをかける。


「ごめんな」


優しく髪を撫でた。


さゆりは、ふにゃっと笑っていてすごく気持ちよさそうだ。


「りーくん、す、き、」


「す……」


言いかけてやめた。ここで言っても、なんか違う。言うなら目を見て、心を見て、君を見て言いたい。


「おやすみ」


俺はそう言って、廊下で眠りに落ちた。


 小鳥がさえずる声で

目が覚めた。

最高の朝日和だ。


いつもなら二度寝するところだが……。


ベッドで眠っているさゆりの様子を見に行く。


まだ、すやすやねむっていた。


「し、にたく、ないなぁ……」


()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 起きたら後で聞いてみるか……。

 今でも生きていることが嘘のようだ。でも確かに

生きてることを実感している。


あんまり料理は得意ではないが、朝ごはんを作る。


今の時代ネットがある。


それで調べれば良いだろう。

冷蔵庫の中身を確認。


ん?プリンが消えている……。超行列で3分で完売するという幻のプリン。


え、ケーキも消えている。

妹(二次元)の誕生日に祝いで買ったのに。


まあ、いいか。


 冷蔵庫には、

キャベツ、レタス、にんじん、卵、ネギ、ニラなどがあった。

フライパンに火をかけ、卵を落とす。


スクランブルエッグ状にして一度皿へ。


次に野菜を切り炒める。


炒まってきたら、

スクランブルエッグをフライパンに入れ、混ぜて完成。


野菜炒めinスクランブルエッグ


我ながらに良いアイディアだ


 作り終わり、皿に移していると、さゆりが起きてきた。


「おはよぉ~りーくん……zzz」


「よ、おはよ」


いつも通りだったのでいつも通りに返した。


「私ぃ~もうちょっと寝てくるねぇ~……zzz」


「お、おう」


そう言った彼女の顔が変わった。俺をまじまじと見つめる。


「ん?ん???りー君?りーくん……。りーくん!!!」


笑っているような泣いているような、そんな顔でさゆりは抱きついてきた。


「りーくぅん!りーくん!!良かった!ほんとによかった!もう閻魔様に裁かれたかと……」


「どういう状況や」


でもよかった。また会えて、君の笑顔が見れて。


「さゆり、あのさ……」


「ん?どうしたの?もしかして寂しかったんだ~…ふふ~…やぁ~…っと私の魅力に気づいたのね!遅いわよ!」


「真面目な話だ、聞いてくれ」


俺がそういうと、ふざけた雰囲気はなくなり、耳を傾けた。


「あのさ、カバン見たとき、薬入ってたんだよ。何か病気なの?」


「あーあれね、貧血よ貧血」


「そっか……。寝言でさ、死にたくないって言ってたけどそれってーー」


「あああーお腹すいたよぉ、お!おいしそうじゃん!

何これ、作ったの?私のために?もう~…なんだかんだ言って優しいんだからぁ~そういうとこ

す・き♥️」



「何か、隠してない?」


一瞬、彼女の表情が曇り、瞳が揺らいだ様な気がした。


重たくなってしまった空気の中、さゆりは口を開いた。


「…………今は、言えないよ。でもいつか必ず言う、だから待ってて。そんなことよりぃ~お腹すいたぁあしんじゃううぅよお」


引っかかるところはあるが、多分彼女にも言いたくないことはあるのだろう。


だから、彼女の言うとおり待つことにした。


「分かったよ。今ご飯じゅんびす―――あ!」


ご飯炊いていない。てか、米自体がない。そういえ

ばこの前切らしてそこからコンビニ弁当だった。


「どうしたの~……?まさか……ご飯炊いていないとか言わないよね~…?」


「っ!!」


「図星ぃ!」


何でこいつこんな楽しそうなんだ。


「仕方ないな~10分待ってて、絶対に覗かない、いいね?覗いたら、目にレモン汁だよ?」


「どんな処刑法だよ!」


思わず突っ込んでしまう。


「じゃ、行ってくるね!」


そう行って彼女は、家を飛び出していった。



3分後戻ってきた。


米を背負って。


「私からのプレゼント。あ、わたしがいい?仕方ないな~まだ朝なのに~おませさん♥️」


やっぱうぜえ。


「ありがとな、米炊いとくーー」


「誰が、炊かせるって言った?いつ?何時?何分?りー君が私を、何回愛したとき!?まだ、プレゼントは終わってないの!りーくんはね、慌てすぎなの!恋は慌てると失敗しちゃうんだよ?あともう少し待ってて」


呆然としながら俺はさゆりが来るのを待っていた。


※※※※※※


少し廊下で眠ってしまったようだ。ガチャガチャいう物音で起きた。


味噌汁の良い香りが漂ってくる。


調理場にいってみると、エプロンを着たさゆりが立っていた。


「あ~…やっと起きた~…♪

おはようございます、ご主人様♪

んーお気に召さないですか?じゃあこれならどう?

おはようお兄ちゃん♪大好き♪」


何かよく分からないことを言っているが、俺には聞こえなかった。だって……だって……裸エプロンだぞ!?萌ーー違う!!


「お前!!なんつう格好してんだ!!」


「裸はダメなんでしょ?じゃあ、エプロン……裸エプロンや!って」


【裸エプロンや!】じゃねーよ!お前の頭の中えろしかねーのか!!」


「それはちょっと違うな~

私はただ、りーくんが好きなだけよ?おんぷ」


もちろん他の子よりあなたを愛してる自信はあるけどね。 

 笑顔で言うさゆりに

不意にときめいてしまった。


「それに主婦=旦那待つ=そうか、待っているのは私のことか……=って」


「最後の=、無言で止めんなよ!不穏過ぎだろ!」


「あーもうっ!ごちゃごちゃ言わないの!あんまり言うと!お小遣い減らすよ!」


「その手にはかからねーぜ!こっちには秘密の貯金通帳が……ぁ!!?」


ない、ないぞ!!


「あ、燃やしておいたよV」


「ブイじゃねええええええ!!」


今日の朝もいつも通りうるさかった。

きっと、これが


「幸せ」


皆様、【それでも俺は】の第二部を見て頂きありがとうございます!


これからも咲ヶ丘ゆづきの作品をよろしくお願いします(´・ω・`)b


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