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幕間・川崎 陽葵

 初めて彼を見たのは入試の日だった。

 これまでしっかりと勉強してきたつもりだが、分からない問題が出たらどうしようと私が緊張している時に、彼が会場に入ってきたのだ。


 (かっこいい! ていうか男の人が何でここに?)


 男の人は簡単な面接で通る事が出来るのになぜ彼はこの会場にいるのかと疑問に思う。


 しかし、そんな疑問も彼を見ているうちにどこかへ行ってしまい。勉強にも集中できなくなってしまった。どうしても彼に目が引き寄せられてしまうのだ。これはまずいかもしれないと思い始めた頃、


 「一緒に頑張って入学しようね!」


 と笑顔で応援してくれた。

 その後の記憶はよく覚えていない。

 ただ己の人生で最も集中した時間だったと言うことは覚えている。


 家に帰ってからも彼の事が頭から離れない。


 「陽葵様、ご夕食の準備が出来ました。」


 「はい・・・少し食欲が無いので、後でもいいですか?」


 「体調が優れないのでしょうか?」


「 いえ・・・別に体調は大丈夫なのですが・・・」


 しいて上げるなら胸の部分がぎゅっとして苦しい。

 これは何かの病気なんだろうか? 初めての経験で戸惑ってしまう。


 パソコンを開いて彼の事を掲示板で呟くと彼は合格出来ないだろうという意見が多数でもう会えないだろうと書かれている。


 「むう~そんな事ないもん!」


 強がりで出た言葉だが、どうしても彼ともう一度会いたかった。

 男性と言うだけで珍しいのに、あんな物語にいるような人物なのだ、もう会えないなんて事は絶対に嫌だった。

 夕ご飯を食べお風呂から上がったら彼が合格出来るように渾身のてるてる坊主を作った。

 彼と一緒に学園生活を送るという輝かしい未来を願って。

 数日後、家に合格通知が届き家族総出で大きなパーティーをした。とても嬉しかったが、彼は合格したのかが分からなかったのでどこかしこりを残していた。


 入学式当日、その日は雲一つ無い快晴だった。


 お気に入りのてるてる坊主であるルーちゃんを鞄につけて学園へと向かう。

 車で移動している途中心臓の音がなり止まず幾度となく深呼吸を繰り返す。


 (ルーちゃんお願いします! 彼に合わせてください!)


 学園に着くとまずクラス分けが乗っている掲示板へと移動する。

 素早く写真を撮ると後ろの方へと移動する。

 その途中誰かとぶつかり、少しよろけてしまう。


 「あっ、すいません!」


 「いえいえ、全然気にしなくて・・・」


 と大丈夫だと答えようとするが、相手の声を私は知っている事に気づく。そう、この声は・・・

 恐る恐る顔を上げるとそこには私が心の底から再会を待ち望んでいた彼がいた。


 「って受験の時のイケメン!」


 思わず叫んでしまい周りの人に何事かと目線を向けられる。


 「お、おホホホ。すみません皆様、少々驚いてしまったものですから。」


 とおかしな人と思われたくないので精一杯誤魔化そうとする。

 黒歴史が増えてしまった・・・変に思われてないかなあ


 その場から離れたくて彼の手を無意識に掴んでしまう。

 しまった!と思ったときにはもう後の祭りだ。私は振り払われて怒鳴られることを考えると顔が青ざめていくが、彼は私の手を払うようなことはせず離れたところまで着いてきてくれた。


 「君、一般入試受けてた人だよね! 試験受かったの!」


 「ああそうだよ、僕のことを知ってるって事は君も一般入試を受けてたのかな?」


 「うん! 頑張って勉強したかいがあったよ! 私の名前は川崎 陽葵っていうの。これからよろしくね!」


 「ああ、僕の名前は大路 尚人だ。これからよろしく川崎さん」


 なんだか舞い上がってしまった私はそのままの勢いで彼に喋りかける。

 彼の名前は大路 尚人と言うようだ。まあ、私の中では大路というより王子に変換されてしまうが。


 「もっとお淑やかな人たちばかりかと思っていたが川崎さんみたいな人もいるんだな。」


 「むう~ それは私がとんでもないお転婆娘って言いたいのかなあ?」


 全くもって心外である!

 私のような淑女はそうそういないというのにやはり最初の絶叫が尾を引いてしまっているのだろうか? 出来ることならあの瞬間に戻りたい・・・


 「いやいや違うよ、陽葵さんは積極性が合って可愛らしい人でなと思っただけなんだ。誤解を招くような発言をしてすまない」


 「かっ可愛い?!」


 どうやら私が勘違いしていたようだ。

 それにしても男の子に可愛いだなんて言われる日が来るなんて・・・緩んだ頬が元に戻らない、今日が私の命日なのかも。


 その後に私と彼のクラスを確認するとおなじクラスだと言うことが分かった。

 ああ、神様ありがとうございます!


 「あの・・・できれば陽葵って呼んでくれると嬉しいなあなんて・・・」


 今の私は止められない! だいたんかもしれないけど下の名前で呼んで欲しい!

 しかし、断られたときのダメージも計り知れないので少しびくびくしながら彼の返答を待つ。


 「別に構わないよ、陽葵さんも僕のことを尚人ってよんでくれるかい?」


 ・・・やはり今日が私の命日なのだろう。神様最後にこんな素敵な出会いをありがとうございます。私の下の名前を呼んでくれるだけじゃ無くて彼の名前も呼ばせてもらえるなんて・・・



 こうして私、川崎 陽葵とこれから数々の伝説を残していく大路 尚人は出会った。


面白いと思ったら高評価とブクマ宜しくお願いします!!

そろそろ完璧超人らしい所見せていきます!

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