波乱の予感
今、才桜学園の教師達は総じて驚愕の表情を顔に浮かべてていた。
それは一人の生徒の得点が原因である。
算数:100点
理科:100点
国語:100点
英語:100点
社会:85点
総合計:485点
これが唯の受験生であったなら超優秀という言葉だけで済んでいただろう。
しかし、残念ながら唯の受験生ではない。
男子の受験生なのだ。才桜学園に受験する男子は全国で見てもかなり多いが一般入試で入学しようとする男子は初めてだった。
まず、多くの職員が彼の家に今からでも面接に変えないかと提案していた。
しかし、それも当然であると思われる。
この世界の男性は基本なにもしなくていいのだ。
女性が働きに出て男性が家で待っているのが一般的であり、少し料理でも出来ればかなり立派な男性だと思われる。
当然勉強など二の次でありこの学園に入学した他の男子は総じて頭がそれ程良くない。しかし、彼らは勉強するために入学しているのでは無いのだ。
では何しに来るのか?
わざわざ男子が入学する理由、それは単純である。
未来の嫁探しだ。どこの学園も男子は己に相応しいと思うパートナーを見つけようとし、女子は男子に見初められようと努力する。
それが一般的であり今年も変わらないと思っていた・・・昨日までは。
しかしどうだ、この男子生徒は。
こちらは点数が足りずに落ちてしまうだろうと思っていた男子生徒は、女子に負けず劣らずの頭脳を持ちあろうことか総合5位というあり得ない順位をたたき出した。勉強面で言うのなら彼に見合う女生徒は4人という事になってしまう。
「彼は本当にカンニングをしていないのですか?」
思わず一人の教師が監督者に尋ねる。
「ええ、彼は誰よりもはやく問題を解き終わると試験の半分以上を見直しに回していました。」
その発言に再度一同は驚愕する。
この学園の問題は他校に比べ非常に難しいものだ。教師であってもうっかりミスをしてしまうことがあるというのにそれを試験の半分の時間で終わらせたというのだから驚愕も当然だろう。それも問題が分からなくてはやく終わってしまった訳では無く、5教科中4教科は満点であるのだ。
「今年は荒れそうですねえ」
と言うと一同も同意するように首肯する。
その男子生徒の答案用紙の名前欄にはこう綴られている。
大路 尚人――と。
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15:名無し
今日才桜学園の受験会場ですっごいイケメンいた!一緒に試験も受けたよ!
16:ななし
>>15
ちょいと休みな。
試験が悪かったんか? 男に会いた過ぎて幻覚でも見たんだろうさ。
17:雪女
>>16
私もみたのでおそらく幻覚ではないかと・・・
18:ななし
>>17
嘘?! あたいも見たかったなあ。
推薦だったからいけなかっただよ。
19:名無し
入学できたらあの王子様と一緒かあ~
自己採点もそんなに悪くなかったし大丈夫だとは思うんだけど・・・グへへ
20:ななし
>>19
よだれよだれ・・・でもその人一般入試で来たんなら入学は無理じゃ無いか?
才桜学園の問題って結構難しいし男の人が合格出来るとは思えないね。
21:雪女
>>20
残念ながら私も同意ですね。なぜ面接にされなかったのかは分かりませんが、彼の姿はもう見れないでしょう。
22:名無し
そんな?! 万に一つでも可能性は残っていないの!
あんなイケメンなんだよ! もう会えないなんて酷すぎるよ!
23:ななし
>>22
・・・そんなにいい男だったのか・・・あたいも一目見たかったけどまあ、十中八九無理だろうな・・・残念だが・・・
24:名無し
おお神よ! なぜ私にこのような過酷な試練を与えられるのか!
・・・ ぐすん、いいもん! てるてる坊主作って彼が入学出来るようにお祈りするもん!
25:ななし
こりゃ重傷だな・・・
まあ、彼がもし入学出来たらお前さんの祈りが神に届いたって事だな
26:名無し
>>25
絶対届くよ! いっぱいいっぱいお願いするんだから!
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