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中間考査と打ち上げ

 中間考査当日、教室の中はぎりぎりまで頑張る皆と既に燃え尽きたように悟りを開ている陽葵さんがいる。


「尚人君・・・離れ離れになっても、私の事は忘れないでね。」


「大袈裟だよ陽葵さん。部活でいつでも会えるし、クラスが変わったとしてもたったの二週間だけだしね。」


「そ、そうだよね。二週間なんてあっという間だよね。」


 頑張って笑おうとしているが、その笑みは少し引き攣っている。

 そんなに友達の事を思ってくれているなんて、と陽葵さんの優しさに感激する。僕とは心の広さが違う。


 予鈴のチャイムがなり僕も席に着く。

 一時間目は数学だ、僕もベストを尽くしてきたのでいい点数を目指そうと思う。


 配られてきた解答用紙を机に置いて先生の合図を待つ。


「それでは、始めてください。」


 全員に問題と解答用紙が配られると、試験が開始された。

  ペンの走る音が聞こえてくる。様子は分からないが陽葵さんも頑張っているようだ。

 僕も問題に意識を向ける。難関学校に相応しくそれなりに難しい問題が多い、応用の問題が多く基本が出来ているだけでは解けない問題だ。


 解き終わった。が、三十五分もかかるとは・・・三十分で終わらせるつもりだったんだが。

 そして五十分が経ち一限目のテストが終わる。周りを眺めると、皆それなりに感触は良かったようで笑みが漏れていた。まあ、あれだけ勉強していたんだ、彼女達の努力が報われるのは当然だと思う。


 そんな調子で五教科は進行していき、十四時に全て終了した。


「ふ~ 疲れた。」


 せめて二日に分けて欲しいものだ。隣の陽葵さんは真っ白に力尽きており、後ろの席の白雪さんもかなり疲れた様子だ。


  帰りのショートホームルームが終わると僕は二人に声をかける。


「ねえ二人とも、この後近くの店で打ち上げでもどうかな?」


「え? 行く行く!」


「私も行きます!」


 どうやら何も予定は入っていなかったようだ。早乙女君も誘おうとしたのだが今日はもう帰るらしい。帰り際にレインの交換はしておいた。レインというのはスマホのアプリで通話やチャットが出来る便利なインスタントメッセンジャーの事だ。


 なにやらご機嫌でどこかに電話をかけると直ぐに駆け寄ってくる二人(白雪さんは無表情)と共に近くの店を目指し学校を出る。


 途中一軒の店の前を通ろうとすると、二人が目を輝かせて立ち止まっていることに気づく。

 その店は庶民がよく助けられるジャンクフード店だ。僕もたまに通うことがあるが、お嬢様な二人は興味があるのだろうか。


「ここにする?」


「うん! 一回来てみたかったんだ!」


「私も少し興味があります。」


 なるほど。こういう場所に立ち寄ることがそもそも無いから逆に興味が引かれたのか。

 それならばと一緒に店内に入る。


「へえ~ いっぱいあるんだね。」


「迷いますね。何が良いのでしょうか?」


 二人はメニューの載っている看板を見ながら真剣に悩んでいる。


「じゃあ私チーズバーガー!」


「では私も同じものを。」


「了解。じゃあ二人はあそこの席で待ってて。」


 レジに向かって注文をしに行く。


「チーズバーガー二つと、チキチー一つあとはシェイクのストロベリーのMを三つお願いします。」


「は、はい! 九百三円になります!」


  代金を払う。店員さんが顔を赤面させるのにももう慣れてきた。異性に接触する機会が圧倒的に少ないのだからしょうがないのだろう。


  凄い速さでフードが作り終わったようなのでそのまま席に運ぶ。


「おお! どうやって食べるの?」


「ちぎるのでは?」


「いや、そのまま齧り付くんだよ。」


  と実践して見せる。

  二人は少し恥ずかしそうにしながらも俺を真似て齧り付いた。


「うん、美味しいね!」


  陽葵さんは気に入ったようだ。白雪さんも美味しかったのか静かにもきゅもきゅと食べている。


「そういえば、早乙女君と遊ぶ約束してるって聞いたんだけど本当?」


「うん本当だよ、出来れば他の人も誘いたかったんだけど、まだ早乙女君は皆を怖がってるみたいだからね。今回は二人で遊ぶつもり。」


「う~ やっぱりそうか・・・あわよくば私もなんて考えていたけど流石に無理だよねえ。」


「まあ、今回はね。でもその後であれば、呼びかけてくれたら一緒に遊ぶよ?」


「ははは、ありがとう。それって例えば家に呼んだとしてもきてくれたりするのかな? ああ、ごめん今のは忘れ――」


「別に構わないよ。」


「「いいの(ですか)!!」」


  二人の声が重なる。

  ん? 別に友達の家に行くのって普通だよね?


「じゃ、じゃあさ! 今度私の家に招待するから来てください!」


「わ、私も招待します。」


「ははは、招待なんて大袈裟だな。普通に遊びにいくさ。」


  二人は興奮している様子で他人の声が耳に入っていないようだ。

  呼ばれるにしても連絡は必要になるだろうから二人ともレインを交換する。


  レインに僕の名前があることに二人は嬉しそうにはにかむ。

  友達との距離が近づいた気がして嬉しいのだろう。僕も最初は人が増えていくたびに喜んでいたものだ。


  すっかりテストの疲れが吹き飛んだようで、その後は笑いながら店の前で別れた。


  別れた瞬間、恐らく二人の護衛だろう人たちがズラッと姿を現したのには驚いた。彼女たちが教室で連絡していたのは護衛してもらうためだったのか・・・誰かに見られていることは気づいていたがまさかこれほどいるとは、上流階級恐るべし。


少し投稿の間隔は空くかもしれませんがエタるつもりはありません。これからもよろしくお願いします(*´▽`*)

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