初めての男子クラスメイト
やっと引っ越し終わりました(o^―^o)ニコ
お待たせして申し訳ありません。最速で書いたので少しおかしいところもあるかもしれませんが、是非今後とも読んでいただけるとありがたいです。
それから一週間は特に何があったわけでもなく、ただ淡々と日々を過ごしていた。
まあそれも今日までだろう。
昨日のショートホームルームで本入部届の紙が配布されたので、それを助っ人部の顧問に見せれば僕も晴れて部の正式な一員となる。そうすればいやというほど活動することになるだろう。
今日は少し早く家を出たので誰もいないだろうと思いながら教室のドアを開けると、僕の予想と違い一人の生徒がすでに登校しており席に座っていた。
それも、僕の前の席だ。
てっきり男の生徒だと思っていたが、その容姿はは非常にかわいらしく、三つ編みを肩口からたらし、その大きな瞳はまるでハムスターのようだ。
彼女は僕の姿をその視界に入れるとすぐに俯いてがくがくと震えだす。
そんな反応を他人にされたのは初めてだったので少し驚いたが、どうということはない。
出来るだけ大きな音をたてないように歩き彼女へと近ずく、そして優しい声を意識して話しかける。
「初めまして、僕は大路 尚人といいます。これからよろしくね」
「へ?・・・」
彼女はそんな呆けたような声を出す。
まるで何を言われているのかがわからないようなそんな困惑の表情でこちらを見つめる。
少し考えるような仕草をすると、恐る恐るという風に声を紡ぎ出した。
「あの・・・あなたは、僕のことが気持ち悪くないのですか?」
「うん? すまない、言っている意味が分からないのだが?」
容姿も非常に綺麗で万人受けするだろうし、何かおかしな奇行に走っている訳ではない。
彼女がなぜそんな風に自己を否定するような考えをしているのかがわからず、首をかしげる。
「・・・だって、僕は・・・男の子なのにこんな女の子みたいな容姿をしてるから・・・」
「ふむ・・・」
・・・・男子だったのか。
確かによく見れば男物の制服を着用している。
あまりに女の子のような顔立ちだったので勘違いしてしまった。
しかし、だからといって、僕が彼を否定するような考えはどちらにしろ無い。前世でもそういう人はいたし、腐女子の委員長なんかは怪物のような咆哮を轟かせることだろう。
「そんなことで僕は気にしたりなんかしないさ、君は君なんだから、それが変わることはありえない。」
「でも・・・男の子は皆僕のことを気持ち悪がっていじめてくるんだ・・・だから」
「じゃあこうしよう。とりあえず僕と友人になってくれないか? それで友人として過ごしていく中で僕が本当はどう思っているのかを君が判断してくれればいい。それならどうかな?」
「ゆう・・・じん?」
「ああ」
彼はすこし考えるように俯いた後、かすれるような声で、うんと答えた。
「・・・僕の名前は、早乙女 鈴・・・これから、よろしく」
名前も少し女子に近い気がするが本当は女子でした、なんて事はないと信じたい。
それから時間がたつにつれてだんだんと教室に入ってくる人が増える。
クラスメイトは早乙女君を見ると少し驚き、彼に挨拶していく。
挨拶されるたびに彼はびくびくと震え、陽葵さんが挨拶してきたときはあまりの勢いに半泣きになっていた。
授業になると、彼は机に突っ伏して夢の国へと旅たつ。
先生は特に注意はしないようだがいいのだろうか?
まあ、男子に求められているのは勉強ではないことは分かっているのだが、どうにもまだそのことに慣れない。
授業が終わると、担当の先生がにやりと笑い僕たちに声をかける
「2週間後は中間考査なので皆さん頑張ってくださいね~」
そう、そろそろ中間考査の時期だ、まあ他の学校よりは少し早いかもしれない。
しかし、ここにいるのは、あの難関入試を突破してきた者たちだ。
余裕淡々とした表情で頷く。
しかし、先生の次の言葉に全員の表情が固まった。
「ちなみに、今回の考査の成績結果から2週間ほどクラス替えを実施します。」
どういうことだ?
そんな事は聞いたことがないし、要項やホームページにはなかったはずだが。
それに、それだと・・・
「私、考査当日欠席しようかしら」
「その日は恐らく風邪ですね」
「もしかしたら名前書き忘れるかも~」
まあ男子が勉強できないことを考えるとそうなるだろう。
「あと、男子はランダムで決まるのでへたのことは考えないでくださいね~」
先生の言葉に、まあそれはそうかと女子は頷く。
じゃあこれは他の人との交流を考慮したイベントということだろうか?
しかし、だとしたらなぜ成績順にする必要があるのか。あまりうまみがないような話に聞こえるが・・・
「あ~ ちなみに大路君は男子のランダムからは外れますよ」
なぜ、僕だけ?とそう思うと、またしても女子たちがボイコットをしようと話し出す。
「先生実はその日家族との旅行が・・・」
「犬との触れ合いがありますので・・・」
「えっとえっと、休みます!」
もしかして僕は嫌われているのか?
それとも相当の馬鹿だと思われているのか?
「皆さん勘違いしているようですが、大路君は入試の上位通過者ですよ。」
先生の言葉に陽葵さんがギギギっと壊れた機械のような動きで僕に顔を向ける。
「ほんと・・・なの?」
その言葉には嘘であってほしいという懇願が多分に含まれていたが、僕は正直に答える。
「まあ、僕より4人は上がいたんだけどね」
あはは、と頭を掻きながらそういうと、まるで示しあわせたようにクラスメイトは参考書を出して勉強し始める。
「あら?下野さん考査の日は家族との旅行では?」
「今なくなりました! あと集中していますので、話しかけないでほしいです!」
「宮下さんは犬との触れ合いはいいのかしら?」
「お母さまに任せますので大丈夫です! あと邪魔しないでください!」
なんという言いようだ。そして
先ほどの余裕が嘘のように皆猛勉強している。
先生はふふふっと微笑むと教室を出て行った。
陽葵さんは、
「ぐすんっ なんで賢いのよーー!」
と泣きながら勉強していた。
皆に負けないように頑張れと心の中で応援しながら、僕も参考書を開き勉強を始める。
誰かに負けるのは悔しいし、もし教えを請われたらしっかり答えられるようにしなければ。