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バスケットボール部

 そうこうしているうちに体育館へと到着した。

 相変わらず設備が素晴らしく、とても高校の体育館とは思えないような物ばかりある。


 五十嵐先輩について行き、館の中に入るとボールをつく音と大きなかけ声が聞こえてきた。

 まだ距離があるというのにこちらにまで練習の熱気が伝わってくる。

 

 階段を上ってバスケ部の練習しているであろう場所へと移動する。

 先輩はドアを開け放つとずかずかと中に入っていく。


 「部長さん助っ人に来たぜ!」


 「い、五十嵐さん、それは有難いのだけど後ろの人たちは? なぜか男の人がいるように見えるのだけれど?」


 五十嵐先輩は練習している生徒の一人に近づくと軽く挨拶を交わす。このひとがバスケ部の部長さんなのか、どこか凜としていて綺麗な人だ。身長もかなり高い、僕は185センチメートルあるが僕と同じかもう少し高いぐらいだ。手足もすらりとしているし、モデル体型というやつだろう。


 「ああ、後ろの二人はうちの部に見学に来たんだがな、今日バスケ部の助っ人やるって言ったら、一緒にやりたいって言ってきたから連れてきたんだよ。」


 「今日は宜しくお願いします。僕はとりあえず隅の方で応援させていただこうかと思っています。」


 「私は参加させて貰おうと思っています! お役に立てるよう頑張ります!」


 ふふふ、初めから参加出来るとは思っていないさ。試合が始まって少し小休止でもあればその瞬間が勝負だそれまでは精一杯応援させて貰おう。


 「本当に! それはとても有難いのだけれど・・・こんな汗臭いところにいて気分が悪くなったりしないかしら。」


 「全然大丈夫ですよ」


 臭いが気になるなんて事は全く無い。

 少しの臭いも気にしてしまうのが女の子というものなのだろうか? 


 「それじゃあ今日はどうしようかしら、うちにも新入部員が入ってきたし・・・ああ、そうだわ!」


 部長さんは何か名案が思い浮かんだのか両手を合わせて目を光らせる。


 「今日は私と五十嵐さんそれとそこの女の子の、えっと名前は何というのかしら?」


 「あっ、川崎 陽葵と言います!」


 「陽葵ちゃんね、いい名前だわ。それで、この三人と新入部員の5人で勝負しましょう!」


 「いや部長! 流石に新入部員が可哀想ですよ! 部長と五十嵐さんが組んだらただの蹂躙になってしまいます!」


 部長さんの意見にバスケ部の部員が意を唱える。

 普通3対5なんて勝負にすらならないと思うのだが、この二人はそこまで規格外ということだろうか?


 「まあまあ、やってみないと分かりませんしもしかしたらこちらが負けてしまうかもしれませんよ?」


 「いや・・・そんなことにはならないと思いますよ・・・」


 部員達は全員納得いかない表情をし、次いで、新入部員であろう少女達に近づいていくとその方を叩いて悲しい表情を浮かべる。


 「頑張ってね・・・心を強く持って・・・」

 「あの人達が異常なだけだから! 気落ちしてやめないでね!」


 「は、はあ?」


 新入部員であろう少女達は何が何だか分からないというように首を掲げている。


 それから、試合のセッティングをして各々がアップを始める。

 陽葵さんもユニフォームを借りて気合い十分という感じだ。


 「それじゃあ今から試合を始めます!」


 十分にアップが出来たところで号令がかかり、全員がコートに集まる。

 そして、悲劇の試合が始まった・・・


 「おらああああ!」


 五十嵐先輩はまるで障害など気にしないとばかりに前に突き進む。まるで台風のようだ誰も彼女を止めることが出来ていない。


 「皆もっと頑張れるよー!」


 部長さんは敵を応援する余裕まであるのか、プレイしながら相手を鼓舞している。


 「えい!」


 陽葵さんは回ってきたボールをその正確無比なシュートで得点を決め、着実に点数を伸ばしていた。


 新入部員はその圧倒的な力に対抗する手段が無く、唯々蹂躙されてしまう。

 しかし、その中で一人だけ動きが別格の生徒がいるが、残念ながら部長さんにマークされていて全く力を出せていない。


 彼女は確か同じクラスの黒井 千早という人だ。

 長い髪をポニーテールにして括り、どこか五十嵐先輩に似た覇気を持っている。

 仲間のサポートに回ったりして頑張っているが、どうにも相手の方が上手のようで点数に結びついていない。


 僕も時々応援して鼓舞するが、彼女達は応援されているのに点数を出せないことにどこか重荷を感じているように思える。


 試合が始まって十分、第一クオーターが終了した。

 現在の点数は10対53。今回は第二クオーターまで試合をする事になっているが、今から逆転するのはかなり難しいだろう。


 僕は、静かにその場から立ち上がる。


 部長さんの所まで行くと、自分の希望を唱える。


 「すいません。僕も参加してもいいですかね? 新入部員さんのチームに入りたいんですけど。」


 ここまで待ったのだ、もう十分だろう。


 ようやくまともに体を動かせそうなことに思わず口角が上がってしまった。


次回、無双

大変お待たせしました。ようやく主人公の完璧超人の一端をお見せする時が来ました!

なんだか焦らすような感じになってしまい申し訳ありません。

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