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先輩

 「あはは、いや~見苦しい姿を見せてごめんなさいっす。なんせ男子が来るとは思ってなかったっすから」


  ようやく先輩達が落ち着いたとこで机を囲んでお互いの自己紹介をする。


 「私の名前は(あざみ) (かえで)っす! 一応ここの部長をしてるっす!」

 「わたくしは西蓮寺(さいれんじ) 百華(ももか)と申します」

 「私は五十嵐(いがらし) 謳歌(おうか)だ!」

 「ボクは水瀬(みなせ) (しずく)。副部長の職を承っているよ、よろしくね」

 「スピ~、スピ~」


 「僕は大路 尚人です。こちらこそ宜しくお願いします」

 「川崎 陽葵です。宜しくお願いします!」


 まあ、若干一名自己紹介が出来ていないが、また起きているときに挨拶すればいいだろう。

 それにしてもよく眠っているな。


 「うん? ああ、すまないね彼女の名前は天音(あまね) 音夢(ねむ)って言うんだ。まあ、大抵寝てるからあまり気にしなくても良いよ。」


 そんな適当な感じでもいいのだろうか?

 ちなみに先輩方は全員が2年生であるらしい。


 「それにしても本当に驚いたっす、普通男子は文芸部とか茶道部に入るもんだと思ってたんすけど」


 「他の人がどうなのかは知りませんが、こちらの方が人との交流を意識するならば絶好の場であるのではないかと思いまして。まあ、あとは単純に体を動かしたかったっていうのもあります。」


 この世界の男子は一体どういう風に過ごしているんだ?

 全員アウトドア派なのだろうか。少しは運動した方が健康にいいよと言いたい。


 「う~ん・・・動くのはちょっと・・・それよりも応援とかしてくれると運動部は絶対喜んでくれると思うっす!」


 「そうですわね・・・男の方に運動はちょっと・・・」


 あれ? なんだか雲行きが怪しいぞ。

 ま、まさか、またなのか?!僕はどれだけ貧弱に見えるんだ!今朝の電車に引き続きここでもそんな風に見られるとは・・・これは本格的に鍛え直さないといけないな。

 わ、話題を変えるか。


 「そ、それよりもこの部活は主にどういうことをやっているのでしょうか?」


 「そうっすね、主に自分の能力を活かせる部活の助っ人に行くんすけど、例えばここの歌ちゃんこと謳歌ちゃんは運動が得意なので、バレーボールやバスケットボールなんかの運動部に助っ人に行くっす」


 「おう! 今日はバスケットボールから助っ人を頼まれてるんだ!」


 「わたくしは楽器と演劇が得意なので、吹奏楽部や演劇部によく頼まれますわね」


 「ボクはパソコンが使えるからね、よく先生に機材の助っ人を頼まれるね」


 なるほど、得意を活かせるようにか・・・

 僕の得意ってなんだろうか?ただ苦手はないような気がするが。


 「私も運動が得意なので五十嵐先輩のお手伝いをしてみたいです!」


 「おういいねえ! 一人だけ運動部に行ってたから実は寂しかったんだよ」


 流石陽葵さんだ、もう早速活動しようとしている。

 まあ、仮入部もまだなんだが・・・その積極性には目を見張る物がある。僕も負けてられないな!


 「僕も行っても良いですか?」


 「「「「「え?」」」」」

 「スピ~スピ~」


 皆の驚いた声と寝息が被る。寝顔が可愛い先輩だなあ


 「あ、ああ! 応援しに行ってくれるって事っすか! いやあ尚人君が運動使用とするんじゃ無いかと一瞬焦ったっす! あははは」


 「な、なるほど。全く・・・驚かさないでくれたまえよ」


 「それにしてもよろしいのですか? 男性はその・・・汗臭いような場所は苦手だと記憶しているのですが・・・」


 「ええ、全く問題ないですよ」


 ここではあえて運動しに行こうと思っていることは口に出さない。

 僕は貧弱だと思われてしまっているためここで言ってしまったら、力ずくで阻止されてしまうかもしれないからだ。


 「それじゃあ私に着いてこい! 今から体育館に行くからな」


 「「はい!」」


 五十嵐先輩の覇気のある声に思わず返事をしてしまった。頼りがいのある先輩だ。

 体育館に行く道中、五十嵐先輩に質問される。


 「どうして大路君は運動部を見に行こうかと思ったんだ?」


 「そうですね。人が一生懸命に頑張って汗水垂らしている姿が僕は好きなんですよ。なんだか生きてるって感じが伝わってきて胸の部分が熱くなるんです。」


 別に嘘は言っていない。

 最も大きい理由は体を動かしたいからだが、そういう姿を見るのも嫌いではないし一番の理由を聞かれたわけでもないのだ。


 「へえ~ じゃあ尚人君は私が汗水垂らして頑張ってる姿を見ても好きだと思ってくれるの?」


 「もちろんだよ。陽葵さんは全力で前へ進んでる姿が一番綺麗だと思うからね。そのまま変らないで欲しいな。」


 「き、綺麗!・・・えへへ~」


 なんだかいたずらをしようとする子供みたいな表情で陽葵さんが喋りかけてくるが、それに正直な気持ちを伝えたら、なんだかへにょへにょになってしまった。やはり笑っている顔が陽葵さんは一番だな。


 「き、君は本当に変ってるな・・・そんなことをいう男子なんて初めて見たぞ。いや、そもそも私が男子とこんなに長く話したのも初めてなんだが。」


 「そうなんですか?」


 三人で喋りながら体育館に向かう。


 ああ、はやく()()で動きたい。


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