ベンチ×ベンチ
時計はまだ足を上にくつろぐ程度に開いていた。
この季節の暖かな日差しと体を撫でる風を1番に感じれるこの時はまさしく祖先の過ごした大いなる自然の記憶を呼び戻すに雰囲気わしい柔らかな衝動だ。
俺はポエミーな感覚に浸りつつ改めてベンチに深く腰を下ろした。誰かに見られたらなんとも言えない恥ずかしさもあるだろうが、しかし幸いにも、ここモードル学園のすみっこベンチの周りに自分を見る奴はいない
ベンチ「…」
俺「…」
ベンチ「…」
俺「…」
俺(なぁ、酸素が酸化されるって知ってるか?
狐に摘まれたような言葉だろ?)
ベンチ「…」
俺(うんうん、確かにわかる。
でも酸化の見方を変えれば酸素の酸化さえも可能になる)
ベンチ「…」
俺「…ぁ…」
ベンチ「…」
俺(だめだ、独り言は苦手だ。
1人でぶつぶつ言ってもっと自分と共鳴した喋りが欲しい…)
ベンチ「…」
そのまま何も出来ずにベンチを後にした。
カップルが来た。
ベンチ「こいつはいつもケツがホカホカしてる」
俺「…」
ベンチ「ボソボソ喋んなよ」
俺「…」
ベンチ「私は足が4本もあるもんね!」