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文芸部員の日常。

作者: 黒瀬 紫音

女の子ばっかの文芸部に男だけど入ってみた。どうも黒瀬です。演劇ラヴな音楽部員だ。演劇部?知らんな。



その日、僕は半端でない雨音に叩き起された。

「夏至過ぎの7時だってのに……」

その先の言葉はきっと「こんなに暗い」だな。とりあえず、僕はスマホの充電コードを抜き、そのまま某SNSを開いた。


『警報出てるんだけど学校行こっかな』

こんな感じの投稿がタイムラインの上の方にあった。どうやら友人Mのらしい。彼女、Y市とかいう危険地帯に住んでいる。今朝ももちろん上記の通り。が、何をとち狂ったかゲス高生はこう返信した。

『コンサートあるし来れるなら来い』


そしてそのゲス高生黒瀬はG県最強の地、K市に住んでいたのだからもちろん制服に着替たりなんだり。その間にMは返信したらしく、スマホをいじりながらスナックパンをもぎゅもぎゅ貪り食ってたら通知が。

『意地でも行くつもり』

アッハイ。


言い忘れていたがMも音楽部員である。そりゃそうだわな。生きてて怪我しなけりゃもーまんたい。



教室に着くと、たくさん人がいた。この日は家や近所、通学路なんかが危険なら公欠……なのに。ウソついてズル休みしても欠席つかないのに、公欠はひとりだった。Mは来ていた。



さて、ここからが放課後の話。掃除をすっぽか……他の人にお願いしてMと僕は音楽室へ向かう。途中、黒瀬の元担任の教室の前を通ったので宣伝してみた。

「今日コンサートあるから来てね!」

この雨の中外でやるよーな部活はないと踏んで。だがそれは誤算だった。

「ごめん今日メモリアルで色々」

悲しいです。


とまぁ、このせいで黒瀬のテンションは下がったのだが大会には来てくれるだろうし去年九月の定演は来てくれてたし次に期待で。


その後、音楽室でMと黒瀬、それから友人Y(違うクラス)とメシ食って外へ出た。ここからJRまで行くのだがやっぱり雨は。

M「バカみたいに降ってんな」

Y「歩く?」

ぞ「いやバスだろ」


校門をくぐり、バス停まで歩く。雨のせいでMのリュックがかなり濡れてしまう。黒瀬はリュック持ってこなくて正解でした。

そしてバスに乗る。

M「Y市特別警報出たんだが」

黒「マジか。帰れんの?おまい」

M「親に連絡するわとりあえず」

Y「にしてもこれでK市無傷なんだろ?黒瀬」

黒「だから妹たち昨日学校行ったしな」

Y「マジか……」


なんやかんや話しつつ現地に着いた。昨日は休校でリハが出来ず、今から軽くやるらしい。が、僕らはぶっつけだった。Nコンの課題曲一曲だけど。でも自由曲の方が好きです(バカ正直)。


始まるまでまだ時間があったので、そこにあった短冊に書いたんだ。願い事を。

『役者になるんや。しお。』

もしかしたら見つけた人いるかもね〜。そういえば『無事に帰れますように』って書いてた奴もいたな。察しろ。


気付くともう14時。開演、三年の先輩の声が聞こえてくる。可愛いし歌うまいし羨ましいです、はい。そしてカリスマ感があるし……。僕は届きません。すげぇや。その才能恵んでください。アルトの音域すら低すぎてまともに出ないよーな僕にならくれたっていいでしょ、なんてね笑。


軽音チームの演奏も終わり、次はNコンチーム。中等部が先だから我々三人含む高校チームは待機。先輩方、MもYも楽譜装備だが僕は楽譜ボロボロですし諦めました。記憶力、任せた。


(成長したな……)

後輩の演奏はうるっと来てしまった。去年一緒に歌った声だけど、去年よりまとまって、音もとれてて。男子二人は特に変わったな、とか思いつつ嬉しくて。


そんな優しい気持ちで高校の演奏に挑んだ黒瀬。


☆惨☆敗☆


・・・だってさぁ。リズム狂うしソプラノ強すぎてバランス悪いしアルト声バラバラだしテノール音取れてないしベース不安定だし……。最低。伝わらないかもしれんがグダグダだった。歌詞が乗せらんない(著作権がNHK厳しい)のでこう細かく突っ込み出来んが。泣きたい。


恥ずかしい思いしながらステージから降り、控えに。その時既にコンサートからは気持ちが離れて行っていた。自分ら終わったしその上あんな……もうやめよう。


そして飛んでいった意識はどこへ向かったかと言うと。


雨である。


1曲、また1曲。僕の中ではBGM程度にしかならないがコンサートは進む。雨は止まない。


楽器の音が響き、声は向こうへ届いていく。雨は止まない。


Y市、S市、その他幾つかの市に出された特別警報も、もちろんそのままにコンサートが終わった。


車に機材を運ぶ時もやっぱり雨。エレクトーンが濡れたらヤバいな、僕のスマホほどではないにしろ笑 (どうでもいい)。救いだったのはOBの先輩方から差し入れを頂いた時には雨が落ち着いていたこと。おかげでスマホも無事に帰ることが出来た。


二年の先輩と電車に乗り、某ゲームの話で盛り上がってから先輩より先に下車して自宅へ向かう。畑の隣を通る近道で登下校しており、いつもそこを歩くのだが。


水たまりが出来てましたはい。


ついさっきまでの豪雨を忘れていた黒瀬君は残念なことにいつも通りその近道へ歩いていった。馬鹿である。しかも引き返すことも出来ない(というより面倒)な上自宅まで五分もかからないので突っ込むことにした。


ぬかるみに足を取られないよう1歩ずつそーっと運び、くるぶしまで浸かる勢いの水たまりを避けるように。それでも指定のハイソックスはずぶ濡れであった。


まーたローファーに土の汚れがついてしまった。夏休みには洗わねばならん。



P.S.今年は八月九日にNコンのG地区大会があります。応援して頂けたら嬉しい……な?

この後ちゃんと友人Mは自宅にたどり着きました。

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