第7幕
「島津と吉井の結末」とはいかに。
島津の記事が出た後、反響はすごかった。窪田に使われた労働者も含めての壮絶な中傷合戦になった。世間では血で開発したデバイスと言われ、実際には全く売れなかった。そのために窪田の会社は破産した。しかし窪田は依然として優雅な生活をしていた。そのため、市民は激昂し、差押え人員を増設するよう国に訴えた。
国側もそれを受けて提出から7日の審議という異例のスピードで法案を通したのであった。それでも法律の施行前には遡及できないので、窪田は移動中に義挙に走った青年に負傷される事態となった。
窪田は一命をとりとめたのでその後被害者としてメディアに訴えたのが火を油を注ぐ結果となって遡及する法律ができた。
これについては会社法人だけでなく経営者層の個人資産までもが国によって口座が特定され差し押さえられることとなった。
このために民衆が殺到し、裁判所には恐喝まがいの事件が多発した。
一方で関係職員に催促をする行為が禁じられ、暴言を吐くものや暴力に訴える恐喝することを禁じられた。罰則の強化と構成要件が緩和された。
私は思う。今島津は花形のコメンテーターとして働いている。私はといえば、この事件の取りまとめを島津のゴーストライターとして執筆している。テレビでは島津の映像と輝かしい光があふれ、私は照らされていた。同じものを当てられた私は逆に眩しいと思うだけだった。
今私はどこにいるのか。そして、何をしているのか。どこでこうなってしまったのか。ひょっとしたら私がこうなってしまったのは会社にいるからではなく、こうして選択を自分でしてきたからではないか。
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