第2幕
吉井は驚いていた。取材は進んでいた。
いや、どうも取材が違う方向に取材が進んでいる。
最初はただの相手の商品の案内であった。
自分で組み立てが容易な最新の拡張デバイスの説明だ。
これ自体は画期的であって記事にすべきものであった。
しかし目の前の、この会社の社長窪田は嬉しそうに自分の会社の前科を言っている。
この商品を開発する時には困難があったそうで、その後サービス残業で労働者が精
神疾患にかかり、それも契機として公正労働法で、送検、有罪になったという。
しかし、労働者の反発を半ば無視をして、製品開発に持って行ったとのこと。
そういう苦労があって今の製品の開発ができたという。
吉井はこの窪田という男に純粋に興味を持った。
忘れかけていた好奇心というか、なぜ公正労働法違反までして製品を開発したことを説明したのか?
製品を開発することは別に企業として当然だ。
しかしなぜ苦労話にわざわざ犯罪を犯したことを自慢するのか。窪田はどんなことを今後する予定なのか。これに興味を持ったのである。
吉井は窪田に対して聞いた。「社長すごいですね!どうやってもこの製品を開発したかったんですね。」
「そうだな。糞みたいな社員を取り替えるのは苦労したよ。」
「糞?とは?」
「あいつらは残業代を請求しよった。もちろん雇う時に残業代は払わないと言っていたのに。あいつらはそれでいいといって雇ったのに。あいつらは詐欺師だな。俺を騙している。」
「なるほどね。そういう奴の思考はどんなんだったんですか?」
「口々にやつらは法律はこうです。とかいうので、言ってやったよ。「会社では俺が法律だってね。お前がいうほどに法律はお前を守らない。」」
「なるほど、それで相手はどうなったんですか?」
「相手は役所に駆け込んだんで、役所の担当者にも、私は払う気はないっていったんだよ。すでに5、6人の残業代を支払っていないから300万近くになっていたんでね。」
「それで支払いがなかったことで、取り調べを受けたんだ。さすがに国には逆らえないから、罪と罪状を説明してもらって罰則はいくらになるかと聞くと30万支払うこともあると聞いてれならこれを払う方が得だなということで罪を認めてすぐに支払うことにした。刑事は支払わないと刑務所で労役をさせられるからね、無駄な時間はしたくないからね。」
吉井はそんな状況でも損得が回るのだと思った。
「窪田社長。民事裁判の方はどうしたんですか?」
民事裁判の方はどうなったのか。そうすると窪田は吉井を見て嬉しそうにこういった?
「吉井さん、知りたいかい?」
細く長く続けられるとうれしいです。